ネット上の企業批判は名誉毀損?対処法や弁護士への訴訟依頼時の費用

この記事ではネット上の企業批判の対処方法を中心に解説しています。

  • ネット上の企業批判は名誉毀損とみなせるのか

企業批判の中には見るに堪えないほどネガティブで攻撃的な批判もあり、

「名誉毀損なのではないか」

と疑ってもおかしくはありません。

「お客さまや就活希望者がこんな批判を見たら・・・」と思うと焦りますよね。

そこで今回解説するのは以下の3つです。

  • 「名誉毀損」の成立条件
  • 名誉毀損と見なせたときの対処方法(削除・投稿者特定)
  • 実際に名誉毀損とみなされた事例

いずれも「企業批判を名誉毀損としてみなせないか」という点に注目した内容となっています。

この記事では「対処方法」をわかりやすく紹介しますので、「具体的にどうすればいいのか」という点が分かりますよ。

問題の企業批判にどう対処していけば良いか考えていきましょう。

それでは解説していきます。

企業批判・誹謗中傷・名誉毀損について【基本】

本題に入る前に名誉毀損・企業批判・誹謗中傷の基本を押さえておきましょう。

なんだか紛らわしいですね。

 

ここを押さえておけば、スムーズに読み進めることができますよ。
みなさんが問題とする書き込みと照会しながら、それぞれの意味や違いに注目してみてください。

企業批判

企業批判とは、企業に関するレビューのことです。

例えば、以下のような書き込みがそうですね。

  • 〇〇会社の月の残業時間が100時間を超えていておかしい
  • 〇〇会社では残業代が出ないから正すべき
  • 〇〇会社はホワイト企業だ
  • 〇〇会社はパワハラ・モラハラ・セクハラが横行しており、問題企業だ
  • 〇〇会社は待遇が良いし、モチベーションを高めてくれる企業だ

レビュー自体は客観的な意見であり、内容がポジティブ・ネガティブであるかに問わず、「事実」であれば正しい批判と言えます。

事実じゃない場合はどうなるんですか?

 

事実ではない企業批判はデマ・ガセネタとされ、名誉毀損に該当する可能性があります。
詳しくは後述の「結局ネット上の企業批判は名誉毀損にあたるのか」を参考にしてみてください。

誹謗中傷

誹謗中傷は、特定の個人を傷つける目的で書き込まれた暴言・悪口のことです。

  • 〇〇会社の営業部〇〇は低学歴
  • 〇〇会社の経営者〇〇は無能

このような悪口を言いふらす誹謗中傷は名誉毀損が成立しやすいとされています。

例えば、企業批判の中でも内容がネガティブで、明らかに従業員や会社を攻撃する目的で書き込まれている場合は、名誉毀損とみなせます。

企業批判を「誹謗中傷」とみなすことができれば、名誉毀損が成立する可能性が高くなります。

 

でもどうやったら名誉毀損が成立するんですか?詳しく知りたいです。

 

以下をご覧ください。

名誉毀損

名誉毀損とは、人の名誉(権)という権利を傷つけられる行為のことです。

名誉とは、名声・地位などの社会的な評価のことであり、法律で守られている権利となっています。

また、対象を「人」としていますが、対象は個人だけではなく「法人」「団体」などの組織も含まれます。

つまり、企業も名誉毀損の対象になる可能性があるということです。

それでは名誉毀損が「どのような時に成立するのか」という点を見ていきましょう。

名誉毀損が成立する条件は以下の通りです。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

引用刑法「第二百三十条」 ※下線部加工

これは「名誉毀損罪」を定める刑法の条文ですが、このままでは難しいので条文を分解して考えてみましょう。

  • 「公然と(公然性)」:誰でもアクセスして閲覧できる場所(掲示板・SNS・口コミサイトなど)で
  • 「事実を摘示(てきし)し」:誹謗中傷・ウワサ・デマ・ガセなど何らかの情報を示して
  • 「人の名誉を毀損した者」:個人・企業の名声・信用といった価値を傷つけた人物
  • 「その事実の有無にかかわらず」:示された情報は真実・虚偽に関わらない

整理すると、

ネット上(掲示板・SNS・口コミサイトなど)で、何らかの情報(嘘か本当かは関係ない)を提示して、個人・企業の名声・信用といった価値を傷つけた人物

となります。

例えば、以下のような記事・投稿の内容が対象となります。

  • 〇〇は犯罪者
  • 〇〇は低学歴
  • 〇〇は詐欺師

ウワサレベルの内容や例え真実であっても、名誉を傷つけられれば「名誉毀損」となります。

ただし、名誉毀損が成立しない「例外」が存在します。

名誉毀損が成立しないケース

名誉毀損は以下の3つの条件をすべて満たすと「免責」となり、成立しません。

  • 情報の内容が社会の役に立つものである(公共性)
  • 社会の役に立てるために情報を公開した(公益性)
  • 情報の内容が嘘ではなく、真実である(真実性)

もし問題としている書き込みや表現が上記3つをすべて満たすとみなされた場合は、名誉毀損が成立しないので注意が必要です。

例えば、企業内部で発生した犯罪や社内で起きた社会問題的な情報は、国民の議論の材料となるので公共性があります。

また、そのような情報を開示する行為にも、十分に公益性があると言えます。

「名誉毀損が成立しない」という可能性も視野に入れておきましょう。

事実を示さなくても名誉毀損が成立する場合がある

ネット上の攻撃的な批判の中には、問題の記事や投稿の内容に情報が含まれていないもあります。

例えば、

  • 〇〇株式会社はバカ
  • クソ企業

といった罵倒レベルの内容です。

このような情報が含まれていない内容でも、文脈上で名誉を毀損していれば「侮辱」とみなされる可能性があります。

下記は侮辱の成立条件です。

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

引用e-gov 刑法「第二百三十一条」

つまり、何の情報も示していない罵倒でも、ネット上で人の名誉を傷つけるものであれば「侮辱」として「名誉毀損」とみなせるということです。

名誉毀損の条件を満たせなくても、侮辱の条件を満たしている可能性があるので書き込みの内容をよく確認しておきましょう。

また、ここまでの内容のおさらいに最適な記事がありますので、つまづいた方は下記の2記事を参考にしてみてください。

 

結局ネット上の企業批判は名誉毀損にあたるのか

結論から言えば、「企業批判は名誉毀損に該当する可能性もある」となります。

しかし、あくまでも「可能性」ですので、名誉毀損に該当しないケースもあります。

名誉毀損に該当するケースとしないケースについて見極める必要がありますね。

名誉毀損に該当するケースと該当しないケース

ここまでの内容を整理すると以下のようになります。

企業批判
名誉毀損に
該当する
  • 嘘情報・デマ・ガセネタなどで攻撃が目的の書き込みの場合
  • 会社・従業員に対する誹謗中傷を含む場合
  • 罵倒を含む場合(侮辱)
名誉毀損に
該当しない
  • 社会の役に立つ情報が含まれ、それを開示する目的で
    投稿されたものであり、かつその情報が真実である場合
    (公共性・公益性・真実性)
  • 単にネガティブな内容
    (「ダメ」「マイナスイメージがある」といったもの)

名誉毀損に該当するネット上の情報は

攻撃性が明らかで特定の個人・企業の社会的評価(名誉)を低下させる可能性がある書き込み

です。

つまり、企業批判も内容によっては名誉毀損に該当します。

例えば、企業批判にありがちな以下のようなフレーズ。

  • 〇〇は超過勤務を強いる
  • 〇〇はサビ残ばかり
  • 〇〇ではパワハラ・モラハラ・セクハラ横行

これらが嘘の情報である場合は、

「会社のイメージや評判を下げる(攻撃を目的とした)書き込み」

として名誉毀損に該当する可能性が高くなります。

ただし情報が真実である場合は、公共性・公益性・真実性の観点から「免責」となる可能性もありますので注意しましょう。

「ブラック企業」は名誉毀損に該当するのか

結論から言えば、「ブラック企業」という表現を名誉毀損として扱うのは困難です。

まず、名誉毀損の条件が成立するためには、事実か事実ではないか判断できる何らかの情報が示されている必要があります。

例えば、パワハラ・モラハラ・セクハラの事実を示唆する情報は、事実か事実ではないか判断を下すことが可能ですよね。

しかし、「ブラック企業」については言葉の定義が曖昧であるため、事実か事実ではないかという判断すら下すことができません。

「ブラック企業」と書き込まれていても、そもそも定義が定められていないため、それを嘘と立証することはできないのです。

ゆえに、「ブラック企業」という書き込みを名誉毀損とみなすことは難しいとされています。

それでも「ブラック企業」という単語が明らかに企業を攻撃する文脈で使われているケースは存在します。

この場合、「ブラック企業」という単語をそもそも「事実の提示」とみなさなければ「侮辱」が成立し、名誉毀損に問える可能性はあります。

「ブラック企業」を名誉毀損とみなすためには、侮辱が発生していることを立証する必要があると覚えておきましょう。

名誉毀損にあたる企業批判は削除する【対処方法】

名誉毀損に該当する書き込みは、その書き込みを管理する運営会社に依頼することで削除することができます。

風評被害が拡散する前に問題の書き込みに削除を依頼しましょう。

基本的な流れは以下の通りです。

運営会社に削除依頼の流れ
  • ステップ1
    利用規約・法律を確認
    問題の投稿にサイトの利用規約違反や法律違反がないか確認
  • ステップ2
    違反項目を通報
    問題の投稿を違反項目を根拠に通報・報告して削除を依頼する
  • ステップ3
    問題の投稿は削除される
    問題の投稿は数週間程度で削除される

後はブログサービス・SNS・口コミサイトなどサイトの形式に応じて適切な手段で削除するだけです。

それぞれのサービスでの削除依頼方法をご紹介します。

具体例1:ブログサービスへの削除依頼方法

ブログサービスのブログ記事上の名誉毀損の場合は、以下の3ステップで書き込み削除を依頼します。

ブログサービスのブログ記事上の削除依頼の流れ
  • ステップ1
    直接交渉
    ブログ記事の投稿者に直接記事の削除を交渉
  • ステップ2
    削除依頼
    交渉に応じない場合は、ブログ記事を運営会社に通報・削除依頼
  • ステップ3
    削除要請
    ステップ2も失敗した場合は、ブログの運営会社に「送信防止措置依頼書」を提出し、記事の削除を要請

上記の流れは各ブログサービスでほぼ共通しています。

具体的な流れや対策方法については下記の記事で解説しますので、参考にしていただければ幸いです。

具体例2:SNSへの削除依頼方法

匿名掲示板やTwitter、動画配信サービスといったSNSでは以下の3つの方法で対処していきましょう。

  • 方法その1:自力でSNS上の誹謗中傷投稿に削除を依頼する
  • 方法その2:弁護士に削除を依頼する
  • 方法その3:警察に通報・相談する

以下の記事では、

  • Twitter
  • Facebook
  • インスタ(Instagram)
  • Youtube

の例も交えて解説していますので、SNSで名誉毀損を受けた方は以下へとお進みください。

 

 

具体例3:口コミサイトへの削除依頼方法

企業批判が一番多いのは口コミサイトですよね。

口コミ削除依頼方法はどのサイトでもある程度は同じです。

以下の3つの方法で名誉毀損口コミの削除を依頼しましょう。

  • 方法その1:自力で口コミを削除する方法
  • 方法その2:弁護士に口コミを削除してもらう方法
  • 方法その3:業者に口コミを対処してもらう方法

以下の記事で3つの方法の具体的な流れをご紹介していきます。

 

 

【確実・迅速】弁護士に削除を依頼する方法と費用

確実かつ迅速に対応したいならば弁護士に依頼する方法がベストです。

まずは弁護士を探しましょう。

弁護士への依頼から削除完了までの流れは以下の通りです。

弁護士への依頼から削除完了までの流れ
  • ステップ1
    弁護士を探す
  • ステップ2
    問題の書き込みを削除してくれる弁護士を選ぶ
  • ステップ3
    弁護士と法律相談する
  • ステップ4
    弁護士に問題の書き込みの削除を依頼する
  • ステップ5
    弁護士が裁判所を通じて書き込みを管理する運営会社に「仮処分」の申立を行う(仮処分とは、人権などを保護する権利保護の一種で仮処分が通ると投稿の削除が法的に可能になる)
  • ステップ6
    書き込みの削除が完了

6つのステップがあり、裁判も起こしていますが、裁判外で解決すればより短いステップでの書き込み削除が可能です。

また、弁護士には得意分野があり、誰に頼んでも成功するというわけではありません。

ネット削除に特化した弁護士の探し方や依頼方法、削除にかかる裁判期間については下記の記事が参考にしていただければ幸いです。

また、弁護士費用については以下の表のようになっています。

費用
法律相談料 初回が無料の法律相談所もある
/2回目以降は1時間10,000円程度
裁判外での削除依頼
(任意での削除依頼)
100,000円
~200,000円
裁判手続を用いた削除依頼
(仮処分)
200,000円
~300,000円

上記の費用も含めて、複数の方法を選択したいという方は下記の2記事がおすすめですよ。

 

批判している相手を特定・損害賠償を請求する方法

特定・損害賠償の手続きは法律な知識が必要であり、知識がない状態だと失敗のリスクが高い上に時間がかかり効率も悪いです。

早期解決のためにも、特定・損害賠償は弁護士に依頼しましょう。

まずは、以下の流れで投稿者を特定していきます。

投稿者特定までの流れ
  • ステップ1
    問題の投稿が「権利侵害」に該当するか(違法性があるか)確認
  • ステップ2
    違法性があれば訴訟を起こし、投稿者のIPアドレスなどの情報を開示させる
  • ステップ3
    IPアドレスなどの情報から投稿者のプロバイダを特定する
  • ステップ4
    プロバイダに訴訟を起こして、投稿者の記録を保存させる
  • ステップ5
    プロバイダに投稿者の名前、住所、メールアドレスを開示させる(特定完了)

数回裁判を起こしていることが分かりますね。

ゆえに、特定にかかる弁護士費用の合計(相場)は500,000円~1,000,000円と高額になります。

この弁護士費用は損害賠償請求の際に相手に請求することも可能です。

具体的な手続きの内容や損害賠償(慰謝料)の相場は下記の2記事が参考になりますので、読み進めながら特定の準備を進めていきましょう。

 

過去に名誉毀損とみなされた事例

より理解を深めるために、実際に名誉毀損とみなされた事例を見ていきましょう。

事例その1:ヘイトスピーチが名誉毀損に

在日韓国人の自営業男性(35)=沖縄県石垣市=をインターネット上の匿名掲示板で誹謗中傷し名誉を傷つけたとして、石垣区検が市内に住む男性ら2人を名誉毀損(きそん)罪で略式起訴していたことが、5日分かった。

石垣簡裁はいずれも罰金10万円の略式命令を出した。

差別問題に取り組む弁護士らによると、在日コリアンに対するネット上の匿名ヘイトスピーチを同罪で処罰するのは全国初。

被害男性は民事訴訟も提起する方針。

(八重山支局・新垣玲央)

引用沖縄タイムス「在日韓国人男性にヘイト投稿、名誉棄損で罰金10万円 沖縄で全国初の命令」

匿名掲示板での「ヘイトスピーチ」が名誉毀損とみなされた例です。

また、中傷された男性が起業した会社についてのいわれのない批判もあり、客足が遠のき、売上が10分の1近くまで激減したとされています。

企業批判がこの事例の本筋ではありませんが、特定の個人(従業員)を対象とした名誉毀損が書き込まれた場合、上記のように名誉毀損とみなされる可能性があります。

事例その2:口コミサイトで名誉毀損

四国のある会社が、社員や元社員からの口コミ情報を掲載する転職支援サイト「転職会議」に「管理職に全く管理能力はない」「社長のワンマン」などと書かれ、プロバイダーに投稿者の個人情報を開示するよう求めて提訴した。

高松地裁は8月末、会社への名誉毀損(きそん)と認め、「意見・論評の前提となる事実が全く不明」として開示を命じ、そのまま確定した。

引用千葉雄高「口コミサイトに悪評投稿は名誉毀損?身元開示命令に懸念」朝日新聞デジタル

口コミサイトでの会社への書き込みが名誉毀損と認められた事例です。

個人情報の開示を命じているとあるので、投稿者の特定が成功した例でもありますね。

まとめ

今回は様々な単語が紹介したので、一度整理しておきます。

  • 企業批判:企業に関する客観的なレビューのこと
  • 誹謗中傷:特定の個人を傷つける目的で書き込まれた暴言・悪口のこと
  • 名誉毀損:人の名誉(権)という権利を傷つけられる行為のこと

口コミサイトや匿名掲示板上での企業批判は、名誉毀損に該当する可能性があることが分かりました。

もしネット上の書き込みの内容に問題がある場合は、誤情報がネット上に拡散する前に、この記事で紹介した方法で削除を行うことをおすすめします。

当メディアでは様々なサイトでの削除依頼方法を紹介しています。
ホームから問題の対処方法が見つかるかもしれませんので、ぜひご確認くださいませ。

コメント

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