この記事では、風評被害の実態と対処方法について解説しています。
ネット上に悪質な書き込みが投稿されると、「風評被害」が心配になりますよね。
企業の場合は風評被害が拡散すると、業務に支障をきたす可能性もあります。
風評被害は防止することができますが、早急な対処が必要です。
そこで今回紹介するのが「風評被害」が対策・予防となります。
風評被害の特徴から実例、対処方法まで徹底的に解説していきますので、読み進めながら対策の準備が出来ますよ。
「ネット上の風評被害をなんとか対処したい」という方はぜひこの記事をご覧くださいませ。
それでは解説していきます。
ネット風評被害とは?特徴について
風評被害とは、事実とは異なる情報(嘘のウワサなど)が拡散されることで被害を受けることです。
実際にテレビや新聞などの「報道」で、誤った情報や勘違いを受けるような内容を公表してしまったために、企業が損害を被るといった例があります。
これに対して、「ネット風評被害」はインターネット上で起きる風評被害であり、情報を拡散する主体は報道各社とは限りません。
ネット誹謗中傷の場合は、
- オウンドメディア
- 特定のSNSユーザー
- 匿名掲示板
と、様々な方々が様々な手段・方法で情報を拡散します。
そのため、ネットへの書き込みは
- 威圧的な従業員の態度の腹いせに書き込んだ
- 落とされた企業がむかついたから書き込んだ
- 社長や上司の不倫問題が話題になりそうだから書き込んだ
といった個人的な理由が原因とされます。
確かに現代ではインターネット上で個人も企業も色々な形で情報発信していますね。
本当にすぐに情報が拡散されてしまう可能性がありますね。
そうですね。
迅速かつ多方面への対処が必要であることが分かります。
企業が風評被害で受けるダメージ・実害【事例】
近年のネット風評被害のうち、物議を醸すものの大半は客テロ・バイトテロ動画のSNS投稿です。
投稿された動画を見て利用客が減るというケースが多くなっています。
これについて、
ネット炎上対策コンサルタント会社「MiTERU」の代表・おおつねまさふみ氏は、
参考 J-CASTニュース
とコメントしており、実態はより深刻であることを示唆しています。
気づかないところで風評被害が拡散している可能性があると言うことですよね。
その通りです。
そのため、風評被害には「監視」という対策方法も重要となります。
事例その1:”客テロ”で誤った情報が拡散
2019年2月には大手バイキングチェーン「すたみな太郎」が風評被害の対象となりました。
SNSに投稿されたバカッター動画について、バイキングチェーン「すたみな太郎」はおととい12日(2019年2月)、「うちの店ではない」と否定した。
「すたみな太郎じゃないの」といった風評がネット上に広がっているためだ。
その動画では、焼き肉店で女性客がビールジョッキをたたきつけて割り、肉を焼く網にドリンクをぶちまける。
タレを一気飲みし、それを吐き出して、「いくよー」「キャー」などの掛け声や嬌声、笑い声が飛びかう。
引用livedoorNEWS「「すたみな太郎」風評で売上激減 バカッター動画の間違いで拡散」
すたみな太郎を経営する「江戸一」の都村毅社長は、報道各社のインタビューに
「(かき入れ時だったため)5%~10%くらい売上は減少した」
とコメントしており、ネット風評被害と売上の減少が直結していることが分かります。
事例その2:イタズラ動画投稿で”バイトテロ”書類送検に
イタズラ動画の投稿で一時話題となった「くら寿司」ですが、迷惑行為を行った少年らは書類送検されています。
大手回転ずしチェーン「くら寿司」の大阪府守口市の店舗で撮影したいたずら動画をインターネット上に投稿したとして、大阪府警は29日、偽計業務妨害の疑いで元アルバイト店員ら少年3人を書類送検した。
捜査関係者への取材で分かった。同様の行為は「バイトテロ」と呼ばれ、近年相次いでいる。
引用共同通信「いたずら動画投稿疑い、書類送検 くら寿司「バイトテロ」」Yahoo!ニュース
「バイトテロ」を「偽計業務妨害」とみなした事例です。
このようにバイトテロ(または客テロ)は、犯罪行為とみなせる行為であることが分かります。
偽計業務妨害の概要・成立条件と悪質な投稿の関係は下記の記事が参考になりますよ。
注意!風評被害が起こりやすいサイトの特徴
ネット風評被害が発生しやすいサイトの特徴として以下の3つがあります。
上記3つのいずれかを満たすようなサイトには十分に注意しましょう。
特徴その1:内部・外部サービスへの「シェア機能」がある
風評被害の要因は「情報の拡散」です。
シェア機能は、SNSや匿名掲示板上の情報を拡散するのに適していますが、場合によっては風評を拡散することもあります。
シェア機能を導入しているサイト内での風評拡散の流れは以下の2パターン。
- パターン1:サイト内部のシェア機能(リツイート機能など)で拡散
※バズる・炎上→さらに外部サイトへのシェアにより、情報が外部サイトへ伝播 - パターン2:サイト内部の掲示板で話題となり、情報が外部サイトへシェア
→外部サイトのシェア機能(リツイート機能など)で拡散
シェア機能が風評拡散を助長しているわけですね。
また、上記両方のパターンが同時に発生し、風評が急速に拡散されるケースもあります。
シェア機能がある「SNS」も要注意ですが、風評の発端となる「匿名掲示板」などにも注意が必要です。
特徴その2:匿名性が高い
匿名性が高いサイトでは、風評が発生・拡散しやすいとされています。
「匿名性」とは、自分の素性を知らせなくても良い度合いのことです。
つまり、匿名性が高ければ高いほど、自分の素性を知らせなくも良いということになります。
誰が書き込んだか分かりにくい状況とも言えますね。
そして、そのような環境に置かれると、攻撃的になる方が一定数存在します。
ネット上ならば書き込んでも物理的に反撃される心配はありませんからね…。
そのような方の心ない投稿で風評が発生・拡散される可能性は高いです。
匿名性が高いサイトはどのような特徴があるんですか?
例えば、「会員登録が不要」「投稿時にもハンドルネームなどを設定する必要すらない」「投稿日時も表示されない」などといったサイトが匿名性が高いと言われています。
特に匿名掲示板には要注意です。
特徴その3:利用者数が多い
Webサイト・サービスの利用者数の多さも風評被害の拡散に影響しています。
利用している方が多ければ多いほど、風評を目にする方も多くなるというわけです。
利用者数が月間100万人を超えるような大手のWebサイトでは、大概「交流サービス」を展開しており、ユーザー間で情報が共有できるような仕組みがあります。
そのようなサービスで風評が拡散されてしまう可能性も否定できません。
ネット風評被害を防ぐには【3つの対策方法】
顧客や売上の減少といった被害を防ぐ前に、まずは現状発生している風評の拡散を防ぐことから始めましょう。
これ以上風評を広げないためにも、以下の3つの方法が考えられます。
- 方法1:問題の書き込みを「削除」
- 方法2:リスクコンサルサービス(風評被害対策業者)
- 方法3:逆SEO対策
方法2のリスクコンサルサービスは、炎上リスクなどの監視を委託する方法のことです。
3つの方法は情報の削除・非表示といった対処方法であり、風評の拡散をストップさせる唯一の方法となります。
こういった事態は「反論すれば炎上」「無視すれば拡散」となる可能性が高いので注意しましょう。
具体的な対策方法と流れを見ていきましょう。
方法1:問題の書き込みを「削除」
問題となっているネット上の書き込みを「削除」しましょう。
風評の原因を絶つという意味でも「削除」という方法は最適です。
書き込みの削除と言っても実感がつかめない方も少なくはないはずです。
基本的な流れをご紹介します。
- ステップ1利用規約・法律を確認問題の投稿にサイトの利用規約違反や法律違反がないか確認
- ステップ2違反項目を通報問題の投稿を違反項目を根拠に通報・報告して削除を依頼する
- ステップ3問題の投稿は削除される問題の投稿は数週間程度で削除される
つまり、利用規約や法律に違反する項目を見つけて、運営に通報し、削除を依頼するという方法となります。
この流れはほぼすべての削除依頼方法に共通していますので、迷ったら上記の流れを思い出しましょう。
(社内の責任者や担当者などが)自力で削除を依頼する場合は金銭的なコストはほとんどかかりません。
具体的な方法はこれから紹介する記事で解説していきます。
問題となっている書き込みがすでに見つかっている場合は、下記の3つの記事を参考に投稿の削除依頼を出していきます。
また、弁護士に削除を依頼する方法も存在します。
- 削除できるか不安
- 利用規約や法律の読解で苦しんでいる
- 削除に失敗した
として削除のことで迷ったら、まずは弁護士を探しましょう。
- ステップ1弁護士を探す
- ステップ2問題の書き込みを削除してくれる弁護士を選ぶ
- ステップ3弁護士と法律相談する
- ステップ4弁護士に問題の書き込みの削除を依頼する
- ステップ5弁護士が裁判所を通じて書き込みを管理する運営会社に「仮処分」の申立を行う(仮処分とは、人権などを保護する権利保護の一種で仮処分が通ると投稿の削除が法的に可能になる)
- ステップ6書き込みの削除が完了
削除を弁護士に依頼するので、当然「弁護士費用」がかかります。
削除にかかる弁護士費用の相場は、100,000円~300,000円とされていますが、風評の拡散度合によって大きく変動しますので、必ず見積もりをとってもらいましょう。
また、弁護士には得意分野と不得意分野があります。
ネットトラブルの対処に特化した弁護士が存在しますので、弁護士に削除を依頼する際には相談してみましょう。
以下の記事でネットトラブルの対処に特化した弁護士の探し方を解説していきます。
方法2:リスクコンサルサービス(風評被害対策業者)
リスクコンサルサービスとは、ネット上で風評による非難・批判が殺到し、騒動が発生する事態(いわゆる「炎上」)を未然に防ぐサービスのことです。
主に「風評被害対策業」と呼ばれる業者が展開するサービスとなっています。
具体的な方法は「ネット上の風評の監視(モニタリング)」です。
具体的には業者に依頼して
- 特殊なシステムを利用して無人で監視
または
- 専門のスタッフが有人で監視
などを委託し、リスクがある投稿のレポートを提出させるというサービスとなります。
費用は月々100,000円程度とされていますが、業者によって前後します。
問題となっている投稿を見つけ出すためにはこの方法がベストです。
ただし、あくまでも「監視」ですので、具体的に対処できるわけではありません。
同時に対処まで行いたい場合は、コンサルだけではなく、「逆SEO対策」まで一貫して行ってくれるトータルサポートの業者を選びましょう。
方法3:逆SEO対策
すでに風評の拡散が進み、ネットニュースに取り上げられるような事態に発展している場合は、すべての情報を削除しようとするとコストが膨大になり、現実的ではありません。
そこでおすすめなのが「逆SEO対策」です。
逆SEOとは、問題のページを検索エンジンの検索結果の一覧から除外させる取り組みを指します。
逆SEOの基本的な考え方は以下の通りです。
- ステップ1逆SEO対策開始検索エンジンの仕組み(アルゴリズム)を利用して、どの検索ワードが問題となっているのか絞り込む
- ステップ2優良ページの順位押し上げ問題の検索ワードにヒットする優良なページの検索順位を押し上げ
- ステップ3問題ページの順位押し下げ(除外)ステップ2のページの押し上げによって問題のページの順位を押し下げ、検索されにくくする
業者に委託すれば、費用は月々100,000円以下とされていますが、自力で解決することも可能です。
ただし、逆SEO対策は数日で終わるようなものではなく、数ヶ月数年かけてゆっくりと改善していきます。
ゆえに、逆SEO対策は時間と費用がかかります。
具体的な方法と流れは下記の記事でご紹介します。
風評対策時のポイント
ただ単に風評を対策すれば良いというものではありません。
これから紹介する3つのポイントには十分に注意しましょう。
ポイント1:「損害賠償」を請求することもできる
問題の投稿を書き込んだ相手を特定することで、損害賠償を直接請求することもできます。
まずは、以下の流れで投稿者を特定していきます。
- ステップ1問題の投稿が「権利侵害」に該当するか(違法性があるか)確認
- ステップ2違法性があれば訴訟を起こし、投稿者のIPアドレスなどの情報を開示させる
- ステップ3IPアドレスなどの情報から投稿者のプロバイダを特定する
- ステップ4プロバイダに訴訟を起こして、投稿者の記録を保存させる
- ステップ5プロバイダに投稿者の名前、住所、メールアドレスを開示させる(特定完了)
ステップ1の権利侵害とは、法律で守られている権利(名誉、プライバシーなど)を侵害される行為のことです。
ネット上で権利侵害が発生すると「プロバイダ責任制限法」を適用され、犯人の特定が法的に可能となります。
大半が法的な手続きですので、基本的には弁護士に依頼します。
特定にかかる弁護士費用の合計(相場)は500,000円~1,000,000円と高額になりますが、この弁護士費用は損害賠償請求の際に相手に請求することも可能です。
具体的な手続きの内容や損害賠償(慰謝料)の相場は下記の2記事が参考になりますので、読み進めながら特定の準備を進めていきましょう。
ポイント2:弁護士以外の「削除代行」に注意
風評被害や逆SEO対策をサービスとする業者の中には、「記事の削除代行」を行う業者が存在しますが、これは「非弁行為」に該当し、違法です。
この「非弁行為」とは、弁護士以外のものが弁護士のような業務を行う行為を指し、弁護士法第72条で原則的に禁止されている行為となっています。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用e-Gov「弁護士法」 ※下線部加工
この法律は、法的な手続きなどに必要な事務処理(削除に関する手続きなど)を営利目的で行ってはいけないというものです。
違法業者との取引は企業の信用を失う可能性が高いので、くれぐれも「削除代行」には注意しましょう。
ポイント3:複数の方法を試す
どれか一つの方法を試すのではなく、複数の方法を試すことをおすすめします。
特に事態が深刻である場合は、一つの対策に固執しても事態は改善の方向には向かいません。
- 監視
- 削除
- 逆SEO対策
といった方法を状況に合わせて適宜講じていきましょう。
ネット風評被害を予防する方法
ネット風評被害を未然に防ぐためにも、日頃から企業のエゴサーチなどを行って、企業に対するイメージを確認しておきましょう。
エゴサーチと言えば個人が行うようなイメージがありますが、企業がブランドイメージを模索する方法としても応用できます。
エゴサーチのメリットは以下の4つです。
時にメリットは「イメージが分かる」という点に集約されています。
風評が拡散の兆候を見逃さないためにも
「消費者が自社ブランドにどのような印象を抱いているのか」
という点を定期的に確認しておきましょう。
SNS運用を行い、ブランドイメージのコントロールを図っても良いですね。
良い印象の場合はキープする、悪い印象の場合は問題の書き込みに誠意を持って返信するといった方法をとってイメージアップを図りましょう。
メリット・デメリットや具体的な方法は以下の記事で詳しく解説していきます。
まとめ:関連ワード汚染対策も視野に
今回はネット風評被害の概要と実態、サイトの特徴、そして自力・弁護士・業者で対処・予防方法を中心に解説してきました。
ブランドイメージを悪化させるのは一瞬ですが、改善しようとなると時間を要します。
まずは今回紹介した方法を検討・実践していただき、少しずつ問題の投稿に対処してきましょう。
また、GoogleやYahooなどの検索結果に表示される悪質な関連ワードから風評被害が発生している可能性もあります。
下記の記事を参考にしながら、関連ワード汚染に対処していきましょう。
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