ネット掲示板に悪口を書き込まれたら徹底的に対処しましょう

 

この記事ではネット掲示板に悪口を書き込まれた際の対処方法について解説しています。

ネット掲示板上に悪口を書き込まれました。違法性はないんですか?

國次 将範
國次 将範

ネット上に書き込まれた悪口は、特定の人物に対するものと断言できる場合違法性があります。例えば「〇〇は馬鹿だ」という個人を特定する場合です。

総務省のデータによるとネットの利用者は1年で約1億人とされています。その中にはネット上で平気で悪口(誹謗中傷)を書き込むような悪質なユーザーが存在するのは事実です。

特に匿名掲示板はユーザー登録が不要で匿名性が高く、実生活での影響がないため、攻撃的な発言が多く見受けられます。誹謗中傷の温床となっています。

そこで今回は「ネット掲示板上の悪口」は

  • どんな罪(犯罪)に該当するのか
  • どのように対処すればいいのか

という2点について解説していきます。

悪質な行為には徹底的に対処していきましょう。

ネット掲示板への悪口書き込みは「罪」

ネット掲示板に書き込まれた悪口は法律上、「刑事」と「民事」の責任を追及することが可能です。

  • 「刑事」:「刑法」に基づき、警察などの国の機関が動いて犯人に対して「刑罰」を与えることができる問題行為/犯罪/警察が動くのはこちら
  • 「民事」:刑法や憲法以外の「私法」に基づき、個人間で責任を追及する問題行為/不法行為/警察は動かない

このうち、ネット上の悪口は名誉毀損罪、業務妨害罪などの刑事上の責任を追及することが可能です。そのため、場合によっては、警察が動いて悪口の投稿者を逮捕させることが可能です。

また、民事上の責任を追及することも可能です。民法709条の「不法行為」の条文に基づき、損害賠償(慰謝料)を請求できます。

第五章 不法行為
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

逮捕はできませんが、このように投稿者に対して「損害賠償」を請求できます。

國次 将範
國次 将範

慰謝料の相談については下記の記事もご参照ください。次章でも解説します。

それではネット掲示板上の悪口にどのような法的問題があるのか見て行きましょう。

「掲示板で誹謗中傷」:名誉毀損罪/名誉権侵害(不法行為)

 

「名誉毀損」とは、誹謗中傷・デマなどで特定の人物の「名誉(社会的な評価・印象)」を損なう行為のことです。

「ネット掲示板で名指しで悪口をいわれて、掲示板を見る人に悪印象を与える」という場合は、名誉毀損となります。

國次 将範
國次 将範

ただし、「特定の人物」というのが重要です。〇〇県民というような漠然とした集団に対する悪口は名誉毀損となりません。この「名誉」とは「集団」ではなく「個人」に帰属します。

「名指し」や「個人を特定できる情報」が伴っていればオッケーということですね。

この名誉毀損は刑事・民事で責任を追及できます。

まずは刑法第230条「名誉毀損罪」です。こちらでは名誉毀損が直接、「犯罪」として定められており、刑罰が与えられます。

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

「名誉毀損罪」が成立するのは赤太字の部分です。分解して考えましょう。

  • 「公然と」:誰でもアクセスできる場所で= ネット掲示板上で
  • 「事実を摘示(てきし)し」何らかの情報を示して
  • 「人の名誉を毀損した者」 特定の「個人」の社会的評価・印象を傷つけた者

「誰でもアクセスできる場所で公然と情報を公開されること」が条件となります。掲示板上のスレッドに悪口レスを投稿・公開した時点で名誉毀損罪が成立することになります。

罰則:3年以下の懲役・禁錮/50万円以下の罰金
「親告罪」:警察への被害の申告が必要
國次 将範
國次 将範

ネット掲示板上の悪口は「名誉毀損罪」の成立が考えやすいですね。

また、ネット掲示板上の悪口は個人の名誉を傷つける「名誉権」の侵害であり、民事上の「不法行為」に該当します。つまり、「損害賠償請求」が可能です。

このようにネット掲示板上の名誉毀損は刑法の「名誉毀損罪」に該当するだけではなく、民法の「名誉権侵害」は不法行為に該当し、「損害賠償」の請求も可能です。

「掲示板で罵倒」:侮辱罪/名誉権侵害(不法行為)

「侮辱罪」は名誉毀損罪と同様の犯罪です。「罵倒」といった文章上で意味をなさない単語でも、特定の個人に向けられている内容ならば、侮辱罪が成立する可能性があります。

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

このように侮辱の場合は「何らかの情報」を伴う必要はありません。ネット掲示板上で「○○はあほ」「〇〇死ね」など罵倒した場合、侮辱罪が成立する可能性があります。

罰則:拘留/科料
(刑事罰としては比較的軽微)
「親告罪」:警察への被害の申告が必要
この侮辱罪も名誉毀損と同じ「名誉」を守る法律です。侮辱罪の場合も「名誉権侵害」として民事上の損害賠償が可能です。

プライバシーの侵害(不法行為)

 

ネット掲示板上の悪口には「個人情報」が含まれる場合があります。

  • 「〇〇の住所は~~~」
  • 「〇〇の電話番号は~~~」
  • 「〇〇の勤務先は~~~」

上記のような書き込みはプライバシーの権利を侵害している可能性が高いです。

「プライバシーの侵害(プライバシーの権利の侵害)」は、プライバシーに関する情報を無断で公開されることで発生する権利侵害となります。

ただし、プライバシーの侵害に対して刑罰を与える刑法は今のところ存在しません。そのため、刑事上の責任はは追及できず、投稿者の逮捕は不可能です。

それでもプライバシーの権利の侵害に該当しますので、民法の「不法行為」に該当します。プライバシーの権利には、以下のような判断基準が存在します。

  • 私生活情報、または私生活情報と勘違いされるような(誤解を与える)情報
  • 公開された結果、不快・不安となった
  • 未公開の情報が公開された

このような個人情報がプライバシーの侵害に該当し、民法に基づく損害賠償請求が可能になります。

該当する場合はひとまず、「プライバシーの侵害」に該当する可能性があるとして他の法的問題が発生していないかチェックしていきましょう。

「会社の悪口」:業務妨害・信用毀損罪/法益侵害(不法行為)

 

ネット掲示板上の悪口の対象は個人だけではありません。「会社の悪口」のような「法人」が対象となる場合もあります。それが刑法上の「信用毀損・業務妨害」です。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

成立の条件は以下の通りです。

  • 「虚偽の風説を流布」「偽計」:ネットなどで会社に関するデマを流す行為、または意図的に誤解を生む情報を流す行為(偽計)
  • 「信用を毀損」「その業務を妨害」:デマや誤情報を流して、経営上の信用や社会活動(業務)を妨害

ネット掲示板上の会社への悪口でデマや誤情報が流れ、その結果「〇〇という会社って最悪」という誤った印象を与えてしまい、経営上の信用を失った場合、信用毀損罪が成立します。

さらに売上が減少するなどして業務に制限がかかった場合、業務妨害罪も成立する可能性があります。

罰則:3年以下の懲役/50万円以下の罰金
「非親告罪」:警察への申告の必要はない(申告は可能)

また、民事上の責任を追及することも可能です。この信用毀損・業務妨害罪には「保護法益」と呼ばれる法律で守られる利益があります。

  • 経済的信用(信用棄損罪)
  • 社会的活動の自由(業務妨害罪)

この法益を侵害される行為に関しても「損害賠償」を請求することが可能です。

民法709条の「不法行為」には「法律上保護される利益を侵害した者は」という条文があり、権利侵害だけではなく法益を侵害された場合でも損害賠償(慰謝料)を請求できます。

信用毀損・業務妨害罪は刑事上の責任だけではなく、民事上の責任も追及できると覚えておきましょう。

脅迫罪/法益侵害(不法行為)

「殺すぞ」などネット掲示板上で脅迫された場合、「脅迫罪」に該当します。

第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

罰則:2年以下の懲役/30万円以下の罰金
「非親告罪」:警察への申告の必要はない(申告は可能)

保護法益は「意思決定の自由」であり、業務妨害・信用毀損罪のように、民法の「不法行為」に基づき、損害賠償請求も可能です。

「強要を含む悪口」:強要罪/法益侵害(不法行為)

「〇〇しろ」などネット掲示板上で「強要」された場合は「強要罪」に該当します。

二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

罰則:3年以下の懲役
「非親告罪」:警察への申告の必要はない(申告は可能)

保護法益は脅迫罪と同様に「意思決定の自由」であり、脅迫罪や業務妨害・信用毀損罪のように、民法の「不法行為」に基づき、損害賠償請求も可能です。

國次 将範
國次 将範

ここまで紹介してきたようにネット上の誹謗中傷には法的な問題点があります。訴えることも可能ですので、下記の記事も参考にしていただければと思います。

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ネット掲示板の悪口書き込みへの対処方法

ここまで述べてきたように、ネット掲示板の悪口の書き込みは違法行為である可能性が高いです。法律や公的機関を頼って、厳格に対処していきましょう。

ネット掲示板の悪口対処:「関係機関への相談」

ネット上の悪口による人権侵害が発生した場合、一度は下記の公的機関に「相談」することをおすすめします。

上記の相談窓口で適切な対処方法の助言を受けましょう。前章などで法的な問題点が明確な場合、弁護士に相談して「損害賠償請求」や「投稿者の特定」を検討しましょう。

ネット掲示板の悪口対処:「削除依頼」

ネット掲示板上の情報は拡散されやすく、個人・企業問わず、デマや誤情報で風評被害を受ける前に投稿を削除することが重要です。

掲示板の運営者が明確である場合、運営に対してプロバイダ責任制限法に基づき、「送信防止措置依頼書」を送付することも可能です。

この依頼書は法的にネットコンテンツの「削除」を要請する書面であり、権利侵害や法益侵害が発生した場合にのみ送付できます。

國次 将範
國次 将範

プロバイダ責任制限法や詳しい書き方については下記の記事をご覧ください。

当メディアでは各掲示板の削除依頼方法について解説をしています。ぜひ参考にしていただき、問題の投稿に対処していただければと思います。

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ネット掲示板の悪口対処:「特定」~「慰謝料(損害賠償)請求」(訴訟)

慰謝料の請求は示談から始まります。そのためには投稿者の「特定」が必要です。その特定については「プロバイダ責任制限法」と呼ばれる法律に基づいた法的な手続きで可能です。

権利侵害や法益侵害の発生が条件ですので、前章を参考に不法行為が発生していないかもう一度ご確認ください。「特定」の詳しい流れは以下の記事を参考にしていただければと思います。

基本的には弁護士に相談し、犯人を特定、その後特定した犯人に弁護士と協力して示談で慰謝料を請求します。その請求に応じない場合は民法に基づき「損害賠償」を請求します。

基本的には弁護士に依頼しましょう。

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まとめ:今後の「悪口」対策

今後の「悪口」対策として重要なのは、以下の2つです。

  • エゴサーチと情報の削除要請
  • 法的対処

ネット掲示板上の悪口はすぐに対処していきましょう。

削除後、グーグル上にしばらく情報が残る可能性もありますので以下の記事を参考にキャッシュを削除していきましょう。

 

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