ライン(LINE)は日常生活でもはや必須の便利なコミュニケーションツールですが、便利さ故に悪質なネットいじめなどに悪用されてしまう事例が後を絶ちません。
ラインは事前に友達登録されたユーザー間で投稿や情報が共有される「クローズドSNS」と呼ばれており、外部から様子がうかがえないので、ライン上で発生するいじめは第三者の目が届きにくく発見が遅れがちです。
発見が遅れてしまうのがラインいじめが悪化しやすい原因ですね・・・。
今回紹介するのは発見が遅れてしまい、実際にラインいじめが発生してしまった事例です。
「どのようないじめなのか」ラインいじめの実態を知りたい方も多いと思いますので詳しく解説していきます。
事例の前に「ラインいじめ」とは・・・ラインいじめの実態
ラインいじめとはライン上で発生するいじめ行為であり、ライン上の投稿機能などを活用したいじめ行為が目立ちます。
具体的には・・・
- ラインのメッセージ機能を利用した誹謗中傷行為
- ラインのグループの退会機能を利用した強制退会、またはグループに招待されない仲間はずれ
- ラインの写真・動画送信機能を利用したわいせつな写真の送付・晒し
・・・などが多いです。
特に「学生」の間で起きた例が顕著であり、いじめの結果「自殺」へと追い込まれてしまう例も多いようですね。
実際にニュースになった「いじめ事件」も多く、ラインを利用したいじめについてもどこかで耳にされる方も多いはずです。
必ず一人で悩まずに相談しましょう。両親や学校、職場などに相談できない場合は各都道府県屋自治体などの行政がいじめの相談窓口を用意していますのでそちらを利用してみることもおすすめします。
ラインいじめの事例一覧
ここからはラインいじめ・トラブル事例そして「事件」をいくつか紹介します。ラインいじめの事例は多く、すべてを紹介しきれないため、確認できた以下の6つの事例を中心に解説していきます。
事例には小・中学生そして高校生などの学生がいじめの対象になる例も多かったのですが、中には大人が対象のものもあります。とりわけ「ママ友」と呼ばれるコミュニティで発生する例を多く確認できました。
事例:「川口男子中学生いじめ問題(2016年)」
川口男子中学生いじめ事例は川口市内の男子生徒が入部したサッカー部のグループラインによる嫌がらせ、暴行、体罰、そして市教委の不適切な対応といった問題のことです。
この事例では、その後「損害賠償」の訴訟へと発展しています。
いじめの内容はサッカー部のグループラインから外されたり、ライン上での当該男子中学生に対する誹謗中傷、自宅の写真などの無断撮影とアップロードなどであり、陰湿で悪質なものです。
事例:「新潟男子高校生ラインいじめ事件(2016年11月)」
新潟男子高校生ラインいじめ事件は、新潟市内の高校に通う男子高校生がラインが発端となるいじめで自殺に至った事件のことです。
男子高校生はライングループで加害生徒から不快なあだ名で呼ばれるようになり、ラインでそのあだなが拡散、不快な合成写真もアップロードされています。
こうしたラインいじめ、ライングループ上などで情報が瞬く間に拡散していくので非常に恐怖感を覚えます。
SNSが簡単に利用できる時代に生きる現代の若年層には教育の場面でも、投稿する前に投稿したら相手がどんな気持ちになるのか、情報がどのように拡散され、不特定多数にどのように受け止められるのか、よく考えてから投稿するような指導が必要と感じます。
2019年11月には両親が県を提訴しています。
事例:「熊本男子中学生いじめ問題(2018年4月)」
こちらの事例は熊本日日新聞に掲載されたもので、熊本市内の男子中学生が理由もなく同級生のライングループから外されたり、学校生活では名前を文字った不快なあだ名で呼ばれるようになったいじめの事例です。
理由もなくライングループから外されてしまったりするのは理解ができませんし、焦りますよね。こうした強制退会もれっきとしたラインいじめとなります。
事例:「旭川女子中学生いじめ凍死事件(2021年2月)」
旭川女子中学生いじめ凍死事件とは、北海道旭川市内中学で2019年に発生したいじめにより、2021年2月の女子生徒の死亡につながった事件のことです。
女子生徒はラインでわいせつな画像を送付・拡散されたり、自慰行為を強要されたりするなど執拗な嫌がらせを受けたとされています。
こうしたわいせつな画像のやり取りとしてラインが利用された例ですね・・・。その結果、女子生徒の凍死に繋がってしまった、大変痛ましい事件です。
旭川中央警察署はいじめグループを「児童ポルノ禁止法違反(製造)」「強要罪」の容疑で捜査を行いましたが、いじめグループは当時14歳未満でたったため、刑事責任を問えませんでしたが、厳重注意処分となっています。
市教委や学校側の対応・対策にも問題があり、最悪の事態を防ぐことができなかったとされています。
事例:「名古屋女子中学生自殺事件(2021年3月)」
名古屋女子中学生自殺事件とは、名古屋市内の女子中学生徒がライングループでのいじめを訴えた後、自殺に至った事件です。
女子生徒は2020年頃から同じ学校に通う他の生徒2人からライングループ上で誹謗中傷を受けており、同年11月には担任に相談し、学年集会も開かれていました。
しかし「報復」を恐れた女子生徒の希望により、問題生徒への指導は行われなかったとのことです。名古屋市の教育委員会は重大事態として事実関係の調査を行っています。
「何かしたら裏で報復されるのが怖い」として何もできない・・・という心情で相談や対処が遅れてしまうことはいじめや教育の現場では多々あるようですね・・・。
そのような状況で誰にも相談できなくなる事態が怖いですね。いじめの相談は両親や学校関係者だけではなく、専門の相談窓口などを利用することもおすすめします。
- 法務省「子どもの人権110番」(午前8時30分から午後5時15分):0120-007-110
- 法務省「みんなの人権110番」(午前8時30分から午後5時15分):0570-003-110
- 法務省「インターネット人権相談受付窓口」(24時間受付):https://www.jinken.go.jp/
- 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」:0570-0-78310
大人もラインいじめの対象に「栃木“ママ友”いじめ・母親連続自殺事件(2015年4月)」
ラインいじめの対象は子供だけではありません。栃木県内の同じ小学校に通う子供を持つ母親2人がラインいじめと思しきいじめを受け、自殺に至った事件もあります。
近隣住民の方によれば、原因はママ友グループライン内でのラインいじめとされ、母親2人はいじめられていた子供の母親に抗議したところ、無視されたり、陰口を言われるようになった、とされます。
また、他の都内の事例ではママ友ライングループでコロナ感染者となったママ友を晒す感染者報告グループといった悪質なものもあるようです。
報道された例は少ないですが、SNSやネット上の質問サイトではラインいじめの報告もあり、泣き寝入りもあると考えれば、大人であっても学生であってもラインを利用したいじめに苦しめられている事例はもっと多いと考えます。
「これがラインいじめ」いじめられた側の気持ちが分かるチャットログ
ネット上では、ラインいじめを受けた側の気持ちが分かる「チャットログ」が閲覧できるWebサイトがあります。「lineいじめを見れるサイト」として、ラインいじめを追体験できるWebサイトとなっています。
自動で下にスクロールしていき、ラインでのメッセージのやり取りが再現されていますね。
いじめはいじめる側の想像力の欠如(このようなふるまいをしたら、相手はどう思うか)に起因するところもありますので、こうしたいじめられる側の気持ちが分かるサイトはいじめの予防につながるかもしれませんね。
まとめ
今回はラインいじめの事例について解説してきましたが、誹謗中傷や画像晒し、グループ強制退会など多くの方がラインを悪用したいじめの被害に遭っていることが分かりました。
非常に辛い思いをされ、自らの命を絶つ方も少なくありません。ラインいじめに限らず、いじめといった行為は断じて許されるものではありません。
ラインいじめで共有された攻撃的な内容・情報が、不特定多数に「公然」と拡散された場合「名誉毀損」に問うのことが可能です。
民事では権利侵害による損害賠償、刑事では名誉毀損罪による罰金や懲役・禁固刑に問われる行為となります。
問題のラインユーザーには適切な法の報いを受けてもらいましょう。
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