この記事では 企業様がヤフー知恵袋上で悪質な質問・回答により、風評被害・誹謗中傷を受けた際の対処方法を徹底解説していきます。
このようなお悩みを抱える担当者様にむけて、ヤフー知恵袋の質問・回答への適切な対処方法をお伝えしていきます。
ヤフー知恵袋はTwitterなどに次いで利用者が多く、拡散性が高いサービスとなっていますので、 放置は厳禁です。
ヤフー知恵袋の利用者数は2014年時点で1500万人を超え、月間PV(ページビュー)数は8億PVを超えています。
さらに、ヤフー知恵袋は2018年時点で18~29歳の若年層を中心に「スマホ」で利用される傾向があります。
大勢の若いユーザーの好奇の目にさらされてしまうと、TwitterなどのSNSツールであっという真に拡散されてしまう可能性が高いです。
さらに、ヤフー知恵袋自体がGoogleなどの検索エンジンで上位表示されやすく、風評被害ワードなどで検索された際に知恵袋の迷惑質問・回答が上位表示されてしまう恐れもあります。
そこで、みなさまにおかれましては企業のブランドを守るためにも、早急にヤフー知恵袋の質問・回答の削除が求められます。
場合によっては発信者の特定と損失分の売上金などの損害賠償を請求を検討しましょう。
今回はそれらの具体的な方法について解説していきます。
ヤフー知恵袋の削除基準と削除対応状況
ヤフー知恵袋に削除を依頼する前に、「きちんと対応してくれるか」という対応状況と削除の基準について押さえておきましょう。
削除を依頼する際に一番不安なポイントを先に抑えておくことで、スムーズに削除を依頼できるためです。
ヤフー知恵袋の削除基準
ヤフー知恵袋の削除基準はヤフー株式会社の利用規約です。
問題の質問・回答を削除を依頼する際は「ヤフーの利用規約に違反している」として違反報告するところから始まります。
まずは利用規約の第1章第7項「順守事項」を確認しておきましょう。
7.サービス利用にあたっての順守事項
当社のサービスのご利用に際しては以下に定める行為(それらを誘発する行為や準備行為も含みます)を禁止いたします。
(1)日本国またはご利用の際にお客様が所在する国・地域の法令に違反する行為
(2)社会規範・公序良俗に反するものや、他人の権利を侵害し、または他人の迷惑となるようなものを、投稿、掲載、開示、提供または送信(以下これらを総称して「投稿など」といいます)したりする行為
(中略)
(6)ほかのお客様の個人情報や履歴情報および特性情報(第2章プライバシーポリシーにて定義されます)などをお客様に無断で収集したり蓄積したりする行為
(7)サービスを、提供の趣旨に照らして本来のサービス提供の目的とは異なる目的で利用する行為
ヤフーの利用規約の「順守事項」について整理しつつ、みなさまがおかれているシチュエーションや知恵袋のケースに当てはめて考えていきましょう。
- 第1項:日本の法律に違反する質問・回答
- 第2項:社会規範・公序良俗(マナーやモラル)に反する質問・回答
- 第2項:質問・回答上での権利侵害
- 第2項:他人に迷惑をかける行為
- 第6項:質問・回答から個人情報を集める行為
- 第7項:知恵袋の「質問・回答による交流」という趣旨以外目的で利用(質問とは関係がない単なる企業批判など)
知恵袋の質問・回答を報告する場合は「 第1章第7条の〇項に違反している」として「利用規約のどこに違反しているのか」を明記しましょう。
企業に対する悪質な質問・回答の扱い
質問・回答の内容によっては「信用毀損・業務妨害」に該当する違法行為である可能性があります。
「信用毀損・業務妨害」とは、企業の信用を貶め、社会的活動を妨害する違法行為です。
もし問題の質問・回答が信用毀損・業務妨害に該当していれば、利用規約第1章第7条の1項「日本の法律に違反する質問・回答」として違反報告することができます。
信用毀損・業務妨害は以下のように、刑法233条に該当する違法な行為であり、有名な「公務執行妨害」よりも成立しやすい(公務員や警察よりも企業の方が手厚く守られている)とされています。
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法「第二百三十三条」
- 虚偽の風説を流布し:(ヤフー知恵袋の質問・回答で)嘘のうわさ・デマ・ガセネタを流して(世間に広めて)
- 又は偽計を用いて:または、意図的に「勘違い」を誘発させて
- 人の信用を毀損し
- 又はその業務を妨害した者
「(ヤフー知恵袋の質問・回答で)嘘のうわさ・デマ・ガセネタを流出させ、または意図的に「勘違い」を誘発させて、人の信用を毀損、またはその業務を妨害した者」となります。
表で整理してみます。
信用毀損 | 業務妨害 |
|
|
人の経済的信用を傷つけた者 | または経済活動の自由を妨害した者 |
|
知恵袋の質問・回答で企業や製品に対してのデマ・ガセを流され、信用を貶められ、業務を妨害させたとなれば、 信用毀損・業務妨害が成立します。
このように、企業に対する悪質な質問・回答は信用毀損・業務妨害に該当する可能性があるというわけです。
ヤフー知恵袋の質問・回答を削除する方法
知恵袋上の質問・回答は以下の方法で違反報告できます。
- ステップ1:右下の「違反報告」をクリック・タップ
- ステップ2:ヤフーIDとパスワードで知恵袋にログイン
- ステップ3:報告内容の記入、「違反項目」は「不適切な投稿」を選択
スクリーンショット出典元:ヤフー知恵袋
- ステップ4:「違反報告の詳細」に削除依頼文を記入
削除依頼文については、以下のようなテンプレートに沿って記入していきましょう。
お世話になります。
〇〇(会社名・団体名など)の〇〇と申します。
この度は、この質問(または回答)に規約違反があるのでご報告させていただきました。
この質問(または回答) の「〇〇は〇〇だ(問題の表現をコピペ)」 という部分は根も葉もない噂でデマであり、弊社に対する信用を貶めるような内容を含んでいます。
特に「〇〇(問題の表現をコピペ)」 という表現は、ネットモラルに違反する行為 であり、「社会規範・公序良俗に反する行為」「他人に迷惑をかける行為」として利用規約第1編基本ガイドライン「第1章総則」第7条第2項違反となります。
また、「〇〇(問題の表現をコピペ)」という内容については、実際にはそのような事実は存在しない虚偽の内容であり、閲覧者様に弊社に対する「勘違い」を誘発させる内容となっていおります。
信用毀損・業務妨害に該当する可能性が高い内容ですので、利用規約第1編基本ガイドライン「第1章総則」第7条第1項違反 とみなすことも可能です。
このように明らかに規約違反が発生しており、誤った情報によるクレームが多発するなど被害が発生(「売上の減少」ばど具体的に被っている被害を記述)しています。
現在「信用毀損・業務妨害」に当たる投稿として弁護士への相談・依頼を検討中です。
何卒、削除・非公開のご検討の程よろしくお願い申し上げます。
削除依頼文記入時のポイントや報告に関する具体的な流れをふまえて、さらに円滑に質問・回答を報告できるように準備しておきましょう。
個人の方はこちらの関連記事が参考になります。
弁護士への相談・依頼が迅速かつ適切な解決策
ヤフー知恵袋の質問・回答上で発生したトラブルの迅速かつ適切な対処は、弁護士に相談・依頼しましょう。
- ステップ1:弁護士を探す
- ステップ2:ヤフー知恵袋上のトラブルを解決してくれそうな弁護士を選ぶ
- ステップ3:弁護士と法律相談する
- ステップ4:弁護士にヤフー知恵袋の質問・回答削除を依頼する
- ステップ5:弁護士がヤフーや投稿者との交渉・訴訟を行う
- ステップ6:弁護士が知恵袋の質問・回答を削除する
具体的な流れを以下の記事で解説しています。
どの弁護士に頼んでも「結果は同じ」ということはありません。
弁護士によって、得意・不得意とするジャンルがあるためです。
そのため、上記のステップ2の 弁護士を選ぶ段階が最も重要と言えます。
弁護士の中には、ネットトラブルに特化した弁護士も存在するので、そのような弁護士を見つけて対策する方法をとりましょう。
ネットトラブルに強い弁護士の探し方はこちらの記事です。
質問・回答の投稿者(発信者)の特定と損害賠償方法
損害賠償を請求するためには、まずは投稿者(以降:「発信者」)の特定が必要となります。
つまり、「犯人を見つけなければ、損害賠償を請求できない」ということです。
そのため、まずは発信者の特定を行いましょう。
発信者特定の根拠となる法律が「 プロバイダ責任制限法」です。
この法律では「ネット上で名誉毀損、プライバシーの侵害、業務の妨害などを受けている人物が、問題となる情報の発信者に関する個人情報の開示を求めることができる」ということを定めた法律となります。
ヤフー株式会社はサイトの運営会社としては珍しく「プロバイダ責任制限法に関する申告を行う方へ(https://about.yahoo.co.jp/info/notice47.html)」として、上記の法律に関する手続きのサポートを行っています。
こちらの内容に沿った特定の手続きをしていきましょう。
まずは侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書(投稿の削除を申請する書類)と発信者情報開示請求書(発信者情報の開示を依頼する書類)をダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、2つの書類に必要事項を記入しましょう。
次にヤフー株式会社と電子メールでやり取りした場合はその内容のプリントアウトと、問題の質問・回答のプリントアウトを準備します。「証拠」となるものですので必ず準備しましょう。
上記の書類をそろえ、指示通りに以下の宛先に「簡易書留」や「内容証明」で送付します。
〒102-8282
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
ヤフー株式会社 プロバイダ責任制限法関連申告受付係
この手続きにより、ヤフー株式会社より返答が来て、 問題の発信者に関する「氏名・住所・メールアドレス」が開示されれば特定は完了です。
- ステップ1:IPアドレスの情報から発信者のプロバイダを特定する
- ステップ2:プロバイダに連絡して、発信者に関する記録を保存させる
- ステップ3:プロバイダが発信者の名前、住所、メールアドレスを開示させる
上記のステップは法的な手続きが増えるため、弁護士に依頼するケースがほとんどです。
具体的な流れや弁護士費用を次の記事で確認して、発信者を特定しましょう。
特定が完了したら、発信者に関する個人情報をもとに、発信者に対する損害賠償を請求します。
信用棄損・業務妨害は民法上の「不法行為」に該当し、ヤフー知恵袋上で企業に損害を与えた場合は、その者が損害を賠償する責任(損害賠償義務)を負うことになります。
弁護士と協力しながら、損失した売上分を立証し、その分の損害賠償を請求しましょう。
まとめ
基本となる違反報告の方法をおさらいしておきましょう。
知恵袋上の質問・回答は以下の方法で違反報告できます。
- ステップ1:右下の「違反報告」をクリック・タップ
- ステップ2:ヤフーIDとパスワードで知恵袋にログイン
- ステップ3:報告内容の記入、「違反項目」は「不適切な投稿」を選択
- ステップ4:「違反報告の詳細」に削除依頼文を記入
削除依頼文は本文で紹介したテンプレを参考にすることでスムーズに記入できますよ。
より迅速で適切な削除依頼を求める場合、特定・損害賠償の請求を行う場合は弁護士への依頼がおすすめです。
この記事がヤフー知恵袋の悪質な質問・回答で悩む担当者様の一助になれば幸甚です。
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