この記事では、ブログで受けた嫌がらせ・誹謗中傷への対処方法をご紹介していきます。
このような方に向けて、 科学的・法学的に基づいた誹謗中傷の正しい対処方法をお伝えしていきます。
誹謗中傷を受けたショックにより、この記事を読み進めるのも大変だと思います。
対処に必要となる情報をなるべく簡単かつ丁寧に説明しておりますので、ゆっくりと読み進めていきましょう。
ぜひ最後までご覧になっていただき、今後の対処の参考にしていただければ幸いです。
それではブログの嫌がらせ・誹謗中傷対策について解説していきます。
再確認!「誹謗中傷」に当たる言葉
ネット上の誹謗中傷への対処を始める前に、そもそも「誹謗中傷とは何なのか」という点を押さえていきましょう。
「誹謗中傷」の意味と削除できる条件
しかし、ブログ記事の内容を誹謗中傷として対処する場合は、これから紹介する意味をしっかり押さえておいてください。
そもそも「誹謗中傷」とは「誹謗(そしる)」「中傷(根拠もないことで相手を傷つけること)」の2つの単語からできた言葉で、「根拠のない悪口を言いふらして、他人を傷つけること」を意味します。
しかし、このままではただの「悪口・暴言」に他なりません。
ネット上の誹謗中傷において、重要なのは以下の2つです。
- 誰に向けた内容なのか、対象の人物が明確にわかる表記があること(名前・住所など)
- 誹謗中傷の内容によって対象となった人物が何らかの被害を受けていること
この2つを満たした誹謗中傷は、法律に抵触するような発言となります。
そのような誹謗中傷であれば、 適切なステップを踏むことで誹謗中傷の内容を削除できます 。
つまり、 内容によっては訴えることもできませんし、削除も不可能なのです。
そこで再度確認して欲しいポイントが、問題とするブログの誹謗中傷が「誰に向けられたものなのか明確な記載があるのか」「実際に被害を被っているのか」という先ほどの2点です。
この2点を満たしていない内容については、ブログサービスの運営に通報しても「単なるネガティブな発言だから対処してなくていい」と有耶無耶にされるだけとなっていしまいます。
繰り返しとなりますが、誹謗中傷の内容を削除させ、投稿者に法的な責任を負ってもらうためには 上記2点を満たした内容であることがとても重要なのです。
どんな表現・内容が誹謗中傷となるのか
問題の表現・内容に対処するためには「誰にも向けられたものなのか」が明確にわかる必要があります。
具体的には以下のような表現・内容です。
- 「〇〇は詐欺師だ」:根も葉もないウワサ・デマ・ガセネタを流す行為
- 「〇〇はバカだ」:単に罵倒するような内容
- 「〇〇という会社の出す商品は不良品ばかりだ」:企業に対する根も葉もないウワサ・デマ・ガセネタを流す行為
- 「〇〇を殺す」:脅迫的な発言
こういった表現・内容が、問題として扱うことの可能なネットの誹謗中傷に該当します。
ブログ記事の内容に上記のような表現を見かけた場合は、すみやかに記事の削除を申し出ましょう。
実はネット上の誹謗中傷は「犯罪」とみなせる
ネット上の誹謗中傷は場合によっては法律に違反する「犯罪行為」とみなせます。
誹謗中傷は「権利侵害」
まず、誹謗中傷により、みなさんが生まれながらに持つ「人権」が侵害される 「権利侵害」 が発生している可能性が高いです。
このような権利が侵害されることは民法709条の「不法行為」に該当し、違法です。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:e-Gov「民法709条」
この法律では権利侵害の違法性について定めており、権利侵害を行った者に対して損害賠償を請求できるとしています。
つまり、ブログ記事の誹謗中傷によって 権利侵害が発生している場合は、ブログ記事の投稿者に損害賠償(慰謝料)を請求できるということです。
- 「名誉毀損」:ブログ記事でウワサ・デマ・ガセなどを流し、特定の人物の名声・信用といった人としての価値を傷つけられた場合
- 「侮辱(名誉毀損と類似)」:ウワサ・デマ・ガセなどの情報を流さずとも、特定の個人に治して「バカ」「死ね」などの罵倒にを行い、人としての価値を傷つけられた場合
- 「プライバシー侵害」:未公表であるはずの私生活情報がブログ記事上に勝手に掲載され、不快である場合
- 「業務妨害・信用毀損」:ブログ記事で企業や商品に対するウワサ・デマ・ガセネタを流すか、誤情報で意図的に勘違いを誘発させるなどして、信用が傷つけられ、業務にも支障が及んだ場合
- 「脅迫」:ブログ記事上の「殺す」「盗む」「誘拐する」などといった脅迫的な内容
ブログ記事上に上記のような誹謗中傷が記載された場合、権利侵害が発生している可能性が高いです。
実際に「権利侵害」とみなされれば、ブログサービス運営会社への削除請求(送信防止措置依頼書の提出)や「プロバイダ責任制限法」に基づいた 投稿者の特定、慰謝料の請求が可能となります。
「刑法」に反するものであれば犯人を逮捕できる
誹謗中傷は「権利侵害」として民法709条に該当すると同時に、刑法に定められている違法行為に該当するする行為でもあります。
例えば、先ほどの権利侵害行為は、以下のように刑法の罰則規定に該当する違法行為です。
- 「名誉毀損罪」:「刑法230条」の罰則規定に該当
- 「侮辱罪」:「刑法231条」の罰則規定に該当
- 「業務妨害罪・信用毀損罪」:「刑法233条」「刑法234条」「刑法234条の2」の罰則規定に該当
- 「脅迫罪」:「刑法222条」の罰則規定に該当
このように、刑法に該当するような違法行為であることが分かります。
刑法に違反していることも立証できれば、警察にブログ記事の投稿者を逮捕させることも可能であり、そのまま起訴されれば刑事裁判で刑罰を与えることも可能です。
より詳しく知りたい方は下記の記事で納得していただけると思います。
なぜネットでは誹謗中傷が多い?誹謗中傷する人の心理
ネットで誹謗中傷を受ければ「何もしていないのに、どうしてこんなことに…」と思いますよね。
ネット上で誹謗中傷が多い理由は以下の3つとされています。
- 原因その1:匿名性が高いため
- 原因その2:集団心理が働いているため
- 原因その3:「言論の自由」であるため
原因を一つずつ見ていきましょう。
原因その1:匿名性が高いため
ネットは非常に匿名性が高い(=自他共に名前を知る必要性がない)ツールです。
ブログのようなネット上のサービスでは、自分の素性を明かす必要はありません。
明かす必要がないどころか、性別や年齢、住所、職業など様々な情報を偽ることも可能です。
つまり、誹謗中傷を行う人間は、「どんなに攻撃的な表現を書き込んでも、自分の素性など知る由もないので、安心して攻撃できる」と考えるというわけです。
言い換えれば、「匿名であるため、何をやってもいい」「何をやっても、ネット上の出来事だからやり返されない」「だから、誹謗中傷してもいい」という心理が働いていると考えられます。
あおり運転は「車」という強度が高い乗り物を自由に操れるため、「やり返される」リスクが減り、人間の攻撃性が露出しやすいとされています。
このように、 少しでも「やり返されない」と思うと「強気」になってしまう方もいるのです。
原因その2:集団心理が働いているため
ネット上で誹謗中傷を平気で行う人の中には 「他の人が誹謗中傷しているからいい」と考える方もいます。
ブログだけではなく、匿名掲示板、動画配信サイトではそのような誹謗中傷が蔓延しています。
ネット上で誹謗中傷コンテンツを見た人間が 「ネットで誹謗中傷をするのは普通」と思い込んでしまい、集団心理によって合理的な判断ができなくなっている可能性は高いです。
結果として、同様に攻撃的な表現や内容をブログに書き込んでしまうと考えられます。
原因その3:「言論の自由」であるため
日本国憲法第21条では「言論の自由」が保障されています。
これは国民が自由な表現で思うように発言できるというものです。
誹謗中傷を行う人間は、 この言論の自由に基づき、自らの行為を正当化している可能性が高いです。
しかし、この自由は無制限ではありません。
誹謗中傷によって他人の人権を侵害するような発言は、人権を定める憲法が保障するはずもありませんよね。
ゆえに、「言論の自由で誹謗中傷も許容される」という考え方は誤りとなります。
「SEOに強いブログサービス」は情報の拡散性が高いので注意
SEOとは、「検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)」を意味し、Googleのような検索エンジン上で上位表示されやすくする取り組みを指します。
ゆえに、「SEOに強いブログサービス」は上位表示されやすくなります。
つまり、そのようなブログサービスのブログ記事は「人目につきやすい」ということです。
例えば、 FC2ブログ、Amabaブログ、ライブドアブログなどといった無料ブログサービスは上位表示されやすく、人目につきやすいとされます。
独自で取得したドメイン(〇〇.jpや〇〇.comのように自由にドメイン名を決定できる)を利用した独自ドメインブログと比べ、無料ブログサービスはドメインパワー(ドメインに付与されるSEOのパワー)が強く、上位表示されやすいので、 早急に対策すべきは「無料ブログサービス」となります。
記事の削除依頼と誹謗中傷コメント対処の流れ【基本】
誹謗中傷の基本をふまえたところで、誹謗中傷記事を削除依頼する流れと誹謗中傷コメントを対処する流れを押さえていきます。
以下の記事を参考に「誹謗中傷された」という証拠を保存したら、ブログコンテンツに「削除依頼」を出していきましょう。
誹謗中傷記事の削除依頼方法
無料ブログサービスのブログ記事の場合は、以下の3つの手段で削除依頼します。
- ブログ記事の投稿者に直接記事の削除を交渉
- 交渉に応じない場合は、ブログ記事を運営会社に通報・削除依頼
- 2も失敗した場合は、ブログの運営会社に「送信防止措置依頼書」を提出し、記事の削除を要請
上記の流れは各ブログサービスでほぼ共通しています。
実際に削除依頼を出す方法・手順
それでは実際に削除依頼を出す方法と手順を紹介していきます。
これから紹介する無料ブログサービスで誹謗中傷記事が投稿されている場合は流れに沿って対処していきましょう。
Amebaブログの場合
Amebaブログの利用規約を見ながら、規約違反として通報していきましょう。
- 方法その1:まずはコメント欄・メッセージで記事の削除を交渉
- 方法その2:交渉に応じない場合は「権利者向け窓口」から対応依頼
- 方法その3:運営からの返答がない場合は「送信防止措置」で削除請求
具体的な流れと準備は下記の記事で紹介します。
Livedoor Blog(ライブドアブログ)の場合
ライブドアブログについても利用規約と照会しながら、規約違反として記事を通報していきます。
- 方法その1:まずはライブドアブログ管理人に直接削除を依頼
- 方法その2:管理人が応じない場合は運営に削除要請
下記の記事では、具体的な依頼方法と一緒に削除依頼に失敗した場合の対処方法も解説していますので、参考にしていただければ幸いです。
gooブログの場合
gooブログについても規約違反として記事の削除依頼を出していきましょう。
- 方法その1:ブログ記事の投稿者に直接削除を依頼
- 方法その2:gooブログのお問い合わせメニューからブログを通報
- 方法その3:gooブログに送信防止措置(削除)依頼書を提出
詳細は下記記事で解説していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
FC2ブログの場合
FC2ブログで誹謗中傷記事を投稿された場合は以下の方法で対処していきます。
- 方法その1:ブログ記事の投稿者に直接削除を交渉【依頼文テンプレ】
- 方法その2:「不適切サイト報告・異議申し立てフォーム」から通報
下記記事で失敗した場合の対処方法も合わせて、具体的な削除依頼方法を押さえておきましょう。
誹謗中傷コメントの対処方法
コメントが掲載されている記事の管理者(ブログ運営者)に直接削除を依頼するか、お問い合わせフォームからコメントを通報し、運営に対処を求めます。
くれぐれも感情的になって、誹謗中傷コメントに返信することのないようにしましょう。
削除から犯人特定まで弁護士へ任せるのがおすすめ
弁護士であれば、みなさんの「代理人」として誹謗中傷の対処に関する様々な法的手続きを行うことができます。
削除が失敗してしまった場合やより的確かつ迅速に対処したい場合、情報がすでに広範囲に拡散されており、個人では対処しきれない場合におすすめです。
まずは弁護士を探す
まずは以下の方法でブログ上の誹謗中傷に対処してくれそうな弁護士を探していきましょう。
- ステップ1:弁護士を探す
- ステップ2:ブログ上の誹謗中傷コンテンツを対処してくれそうな弁護士を選ぶ
- ステップ3:弁護士と法律相談する
具体的な探し方やコツ、気になる弁護士費用は下記の記事で紹介していますので、「悩まずに弁護士を見つけ出したい」という方はぜひ参考にしていただければと思います。
弁護士に誹謗中傷コンテンツの削除を依頼する
弁護士に依頼して「権利侵害」として訴訟を起こし、強制的にブログ記事を削除させることが可能です。
- ステップ1:弁護士にブログ記事の削除を依頼する
- ステップ2:弁護士がブログ記事の投稿者やブログサービス運営会社に直接交渉を行い、仮処分申立をするなど訴訟を行う(仮処分:一時的にみなさんの権利を保護する措置で、強制的な記事の削除が可能)
- ステップ3:問題の記事を削除させる(失敗する場合もある)
弁護士にも得意分野と不得意分野がありますので、ネットトラブルに強い弁護士を選ぶことをおすすめします。
弁護士と協力してブログ記事の投稿者を特定、慰謝料を請求
問題のブログ記事を投稿した投稿者を特定して、慰謝料を請求する方法もあります。
特定から慰謝料請求までの流れは以下の通りです。
- ステップ1:問題の表現・内容が「権利侵害」に該当するか判断
- ステップ2:ブログサービス運営会社に交渉・訴訟を起こし、IPアドレスなどの情報を開示させる
- ステップ3:IPアドレスなどの情報から投稿者のプロバイダを特定する
- ステップ4:プロバイダに対して交渉・訴訟を起こし、投稿者に関する記録を保存させる
- ステップ5:プロバイダに訴訟を起こし、投稿者の名前、住所、メールアドレスを開示させる(特定完了)
- ステップ6:弁護士とともに投稿者に対して直接慰謝料の請求を行う
以下の記事では具体的な特定方法が紹介されています。
参考にしながら、投稿者を特定していきましょう。
また、下記の記事では「慰謝料の相場」を紹介しておりますので、「いくら請求できるの?」と疑問に思う方はぜひ参考にしていただければと思います。
ネットの誹謗中傷は警察に相談・通報すればいいのでは?
誹謗中傷で警察はきちんと動いてくれます。
実際に都道府県警察本部ではサイバー犯罪相談窓口を設けており、ネット上での誹謗中傷の相談を受け付けています。
ただし、相談はしますが、その後に警察が投稿者を逮捕してくれるわけではありません。
警察の動きは「民事不介入」「表現の自由」という2つの理由から「消極的」とされ、積極的に問題の書き込みで違法性が立証できない限り、「 積極的に捜査されることはない」とされています。
その詳しい理由や警察が動く場合や動かない場合については次の記事で詳しく解説します。
非弁行為を行う「削除代行業者」は要注意
弁護士や警察以外の削除依頼代行方法として、「逆SEO業者」と「削除代行業者」があります。
「逆SEO業者」は、「逆SEO対策」として問題のキーワードに関するページの検索順位の押し下げ、問題のブログ記事が検索結果に上位表示されにくくする措置を講ずる業者です。
「削除代行業者」はブログサービスなどと交渉してブログ記事の削除を代行する業者とされています。
このうち、 合法なのは逆SEO業者です。
削除代行業者は「違法業者」 であり、依頼したことが明るみに出れば信頼を損なうことになりますので、利用は控えましょう。
「非弁行為」は、法律上固く禁じられています。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
法律では、削除代行業者のような「業者」が弁護士まがいの行為を「事業」として営利目的で行うことは許されないとしています。
このような業者の利用は避けて、弁護士あるいは法的手続きを行わない「逆SEO業者」に依頼しましょう。
まとめ
ここまで誹謗中傷の対処方法を紹介してきました。
まずは、自力で対処して削除するか、弁護士に依頼して削除から特定まで行うか、誹謗中傷の程度によって手段を使い分けましょう。
また、誹謗中傷の犯人の身元を特定すれば、慰謝料の請求も可能でしたね。
法的責任をとってもらいたい場合は、犯人を特定することをおすすめします。
この記事で誹謗中傷で少しでも悩みが解消されれば幸いです。
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