youtubeは2005年のサービス開始から急速に利用者数を伸ばし、2018年12月時点で世界の月間ユーザーは10億人、国内では6,200万人以上と国民の約2人に1人が使う大手サービスとなっています。
これだけの利用者数を誇るサービスですので、トラブルも発生しかねません。
「youtubeの動画内で自分の個人情報が映り込んでいる」「嫌がらせで個人情報を含んだ動画を投稿された」などといったプライバシー侵害に関する報告もそのトラブルの1つです。
これだけの利用者を抱えるサービスですので、勝手に投稿されたプライバシー侵害動画がいつ誰に再生され、個人情報が漏洩するかわからないという恐怖感があるでしょう。
コメントで個人情報を暴露されてしまう可能性もありますね…。
個人情報が広まってしまう前にできるだけ早い段階で対処していきたいですよね。
そこで今回はこうしたyoutubeのプライバシー侵害動画やコメントなどの有害コンテンツに対する対処方法について解説していきます。
基本的には問題の動画の「削除」を依頼することになります。
どうやって対処していけばいいのか、しっかりと対処方法を覚えていきましょう。
youtubeでプライバシー侵害とみなされる動画コンテンツ
youtubeのプライバシー侵害動画を発見したら、対処の前にまず確認しておきたいのがyoutubeの利用規約です。
youtubeには「プライバシーガイドライン」と呼ばれる規約が存在しています。
こちらでは利用者のプライバシーの保護を前提とし、ガイドラインに違反するような動画コンテンツのアップロードを禁止しています。
この規約にはプライバシーの侵害を申し立てる際に考慮される要素が記載されているので申し立ての前に熟読しておきましょう。
基本的には「個人を一意に特定できるコンテンツ」のが前提条件です。
つまり、個人情報がしっかりと動画に映り込んでいることを確認できるシーンがあることが条件となります。
「一意に」の意味についてはyoutube上で詳しく定義されていました。
一意に特定できるとは、他人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれていることを意味します。単に動画に写っている個人が確認できるだけでは、一意に特定できるとは見なされませんので注意してください。たとえば、下の名前だけで他の情報が含まれない場合や、チラッと映っているだけでは、一意に特定できるとは言えません。
このように「一意に特定できること」が重要であることがわかりますね。あいまいな根拠では削除は難しそうです。
申し立てでは「公益性、ニュースバリュー、コンセンサス」を最終決定の観点とするとしています。
すなわち、社会のためになるような情報は削除されない可能性もあるということですね。
youtubeのプライバシーガイドラインではいくつかのコンテンツが例に挙げられていました。例えば、以下のようなコンテンツです。
- 顔写真・そのほかプライベート画像
- 音声
- フルネーム
- 政府発行の個人番号、社会保障番号
- 銀行口座番号、クレジット カード番号など財務情報
- 連絡先情報(自宅の住所、メールアドレス、電話番号など)
- そのほか個人情報
もちろんこれらは一例にすぎないでしょう。状況によってはこの他にもプライバシー侵害コンテンツとみなせるものも存在していると思います。
このように、みなさんが問題とする動画コンテンツが「個人を一意に特定できるコンテンツ」であることかしっかりと確認しておきましょう。
youtubeのプライバシー侵害動画の削除を依頼する方法
さて、問題とするコンテンツで個人を一意に特定できる個人情報コンテンツが含まれていることを確認できたでしょうか。
ここからはyoutubeのプライバシー侵害動画やコメントを報告する方法を解説していきます。
「プライバシー侵害の申し立て」と準備
申立前に先ほどのプライバシーポリシーを確認し、対処してもらえる問題なのかどうか確かめておきましょう。
また、申立は原則的に「本人から申立」に限定されます。必ず本人が申し立てを行うようにしてください。
ただし、どうしても端末を操作できない理由がある場合や保護者や法定代理人がいる場合は例外です。
さらにyoutubeでは、プライバシー侵害の申し立ては一度は直接アップロード者に削除を交渉する必要があるとしています。
アップロード者のチャンネル概要から「メールアドレスの表示」を選択し、一度は直接連絡を取って問題個所の修正または動画の非公開を依頼するようにしましょう。
メールで投稿者宛に「はじめまして○○です。動画の○○秒時点で私の○○という個人情報が映り込んでいるので、修正または削除をお願いいたします。」といった文章が送れると良いでしょう。
なお、直接連絡したくない場合やアップロード者が交渉に応じない場合は次の「プライバシー侵害の申し立て」を行います。
youtubeの「プライバシー侵害の申し立て」の流れ【フロー付】
youtubeの「プライバシー侵害の申し立て」の流れは以下の通りです。
- STEP1専用フォームにアクセスプライバシー侵害の申告は専用のフォームがあるのでこちらから申し立てる。ステップ1/6の内容を確認し、「続行」を押下
- STEP2その後も確認が続くステップ2/6~6/6まで、嫌がらせ行為も含まれていないか、アップロード者に連絡したかなど「確認」をされるので、正直に選択肢を選んでいく。つまづきやすいが、ステップ2/6では「プライバシー侵害の申し立てを行いたい」、ステップ4/6では「既にコミュニティガイドラインを確認した」を押下。
- STEP3「公開されている個人情報の種類」を選ぶステップ6/6で公開されている個人情報の種類として「自分の画像または氏名」または「その他の個人情報」の二択を提示されるので、該当する方を選ぶ。
- STEP4申立フォームの記入申立者(侵害された本人)が氏名、国、メールアドレス、問題のチャンネルURLと動画URL、報告内容などを記載の上、申し立てフォームを記入していく。
記入個所は多いが、侵害コンテンツの特徴をわかりやすく詳細に説明できるのでもれなく記入していくこと。特に動画・コメント内の対象の個人情報に関する情報や、どのタイミング(タイムスタンプ)なのか、詳細な指定は必須。 - STEP5送信報告内容を確認し「送信」を押下、内容をyoutubeに送信する。
上記の流れでyoutubeのプライバシー侵害を手続していきましょう。
報告され、内容が通ると運営から動画アップロード者に向けて「プライバシー侵害の報告」が通知され、アップロード者に48時間の改善の猶予が与えられます。
これにより48時間以内に動画が削除されれば対処完了ですが、48時間経過してもプライバシー侵害のコンテンツが残る場合、運営側で申立内容を審査するようです。
youtubeのプライバシー侵害は違法!損害賠償を請求できる
youtubeのプライバシー侵害は、日本国憲法から導かれるプライバシーの権利を侵害する違法性のある行為です。
民法709条ではこのような権利侵害が発生した場合に損害賠償を請求する権利を保障しています。
ゆえに、youtubeでプライバシー侵害を行った者に対して損害賠償を請求できるということになります。
プライバシー侵害と法律については以下の記事をご覧ください。
ただし、今現在、プライバシー権の侵害には「刑事罰」が存在せず、刑法でも違法な規定がないので刑事告訴はできません。簡単に言えば警察には相談できないということです。
ただし、さらにストーカー行為に発展するような場合は、ストーカー規制法違反として刑罰が科される行為であり、警察に相談できます。
基本的には弁護士に相談してプライバシーの権利の侵害として、
- プロバイダ責任制限法に基づく権利侵害投稿者の特定
- 投稿者の損害賠償請求
- 仮処分申請による動画強制削除
などといった民事で法的な対処をとることになると思います。youtubeのプライバシー侵害コンテンツを法的に対処したい場合、弁護士をお探しください。
まとめ
youtube上のプライバシー侵害の申告は専用の申請フォームから申し立てることがわかりましたね。
この記事ではそのフローと準備、規約についても解説しました。困った際はぜひ参考にしていただければと思います。
youtubeの権利侵害コンテンツについて、より包括的に対処していきたい場合は以下の記事もご参照ください。
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