「他人のツイートをパクる」ということで真似された側が不快に思う場合もあり、パクツイをする人間の「ネットリテラシー(ネット情報処理能力)の欠如」として問題視され、最悪「炎上」する例もあります。
パクツイについては、Twitter上で2017年にシリウス(@sirius12229)氏が図解で分かりやすい解説していたので引用します。
再喝
パクツイをする人って時々パクツイに対して左と同じ認識をしてる人がいるから怖いって思って描いたやつ。
パクツイして堂々としてるLINEの人達やTwitter利用者を見るとあなたのしてる事はこういうことだと何度でも言いたくなる。 pic.twitter.com/Pa0uyD83K3— シリウス (@sirius12229) September 2, 2017
このようにパクツイは他人が努力して考えたツイート内容をコピペで盗用する行為であり、到底認められる行為ではありませんので自粛しましょう。
パクツイされてイライラしています。何とか対処する方法はないのですか?
対処はできますよ。状況によっては運営などと協力して対処することもできるでしょう。
今回はこのパクツイの問題点や対処方法を中心に解説していきます。
パクツイとは?投稿者の心理やパクツイの実例
パクツイは元のツイートをまるまる盗用することですが、パクツイ=著作権侵害と考えれば、厳密には「元のツイートを参考に似たような文章を作り出すこと」「元のツイートを改変して再投稿すること」もパクツイ(著作権侵害)に含まれると言えます。
パクツイによる著作権侵害については後で解説します。
さて、ではなぜそのような法的なリスクをおかしてまでもパクツイをしようとするのか、パクツイ投稿者の心理を考えてみます。
パクツイ投稿者の心理
パクツイの動機には「自分の立場を向上させたい」「自分をよくみせたい」といった「自己顕示欲」があるとされます。
ゆえに、パクツイのターゲットとなりやすいツイートは「たくさん反応があった」という評価値である「いいね数」「リツイート数」「リプライ数」といった数値が大きいものと考えられます。
いわゆる「バズ」ですね。
つまり、こうした反響の大きい内容をあたかも自分が考え出してツイートしたかのようにふるまい、有名になろうとしている(自己顕示欲を満たしている)ものと思われます。
単純にこうしたいいねやリツイートの伸びが良いツイートを真似すれば自分にも反応が貰えるのでは?という心理があると思いますね。
また、中にはパクツイで注目を集めてWebサイトやDMへと誘導し、広告収入を得るなど収益目的でパクツイを行う者も散見されます。
パクツイの実例と炎上
ツイッターでは黎明期の2010年頃から「パクリツイート」に対して物議を醸すツイートが増え始めていましたが、有名な例ですと2016年1月の「@Copy_writingパクツイ騒動」があります。
@Copy_writingはTwitter上に投稿されたセンチメンタルなツイートを対象に常習的にパクツイを行い、その話題性から120万人のフォロワーを抱え、10代や20代から人気を得ていました。
しかし、本人に対する直撃インタービュー記事の公開を機に「炎上」、フォロワーが激減する事態となりました。現在、このアカウントは凍結されています。
ずっと一緒にはいられないから、今はずっと一緒にいよう。 by グリコ
— Copy writing (@Copy__writing) January 7, 2021
こちらのアカウントはよく見るとIDが異なります(アンダーバーが1つ多い)が、当時の@Copy_writingと類似しており、2021年現在もツイートを続けています。
パクツイの問題点「著作権侵害」
みなさんもパクツイには「著作権侵害」が生じる可能性があることをなんとなくご存じでしょう。ここからはパクツイの法的な問題について考えていきます。
著作権侵害とは?パクツイで著作権侵害が成立するのか
日本の法律では著作権について「著作権法」と呼ばれる法律で定められています。
著作物は何らかの情報を感情表現を利用して創作的に表現したものと定義されており、単なるデータや事実、アイデアなどは文章や音楽、映画作品などを通して創作的に表現されていない限り、著作物に該当しません。
ところが、ツイートの内容は投稿する過程で投稿者によって創作的に表現(投稿者の個性を反映して作成)された文章であると考えられるので、著作物として認められる可能性が高いです。
すなわち、パクツイは著作権侵害、厳密には著作権の支分権である「複製権(内容をコピーする権利)」「公衆送信権(ネット(Twitter)にアップロードする権利)」に対する不正な侵害行為となります。
その他にも著作権の支分権には「同一性保持権」「翻案権」といった元の著作物を勝手に改変されない権利があるので、元のツイートを参考に内容を「改変」したものを投稿しても著作権侵害となります。
ところがパクツイ投稿者が「出典(出所を明記)」を付けていたらどうでしょうか。弁護士ドットコムには以下のような記載もありました。
>Twitterなどで人気ツイートなどを真似て(パクって)そのままツイートするパクツイ行為は著作権の侵害になる場合もありダメだと言いますが、例えばそのまま真似てツイートしたとしても元のツイート場所を記載すればパクツイにはならないのでしょうか?
(中略)
いずれも引用の範囲であれば許されますが、その範囲を超えると、著作権者の許可を得ない限り著作権法違反です。丸々コピーしてしまうのであれば、引用の範囲を超えると考えられます。
黒岩弁護士によればパクツイが元のツイートを全文コピーした場合、例え出典を明記していたとしても「引用」の範囲を超えている、とされており、出典付のパクツイも著作権侵害と考えることができます。
ただし、あまりに短い文章の場合「日常生活でありふれた文章」とみなされやすくなり、創作性のある文章とはみなされにくく、著作物と認められない場合が多いとされます。
そのため、短すぎるツイート(ワンフレーズ・1行程度)は著作物として認められない可能性があるので注意です。
キャッチフレーズに著作権が認められない例と同様ですね。
Twitter運営によるパクツイへの対応
Twitter運営はパクツイに対して規制する姿勢はあまり見られません。
2019年1月頃には会話の促進を目的として試験的にツイートに「元のツイート作成者(Original Tweeter)」というラベルが表示されるようになりましたが、2021年現在では見かけないので正式に実装はされなかったようです。
元のツイート作成者が分かってパクツイの抑止につながると思ったんですけどね・・・。
現時点では、利用規約でアメリカのデジタルミレニアム著作権法(DMCA)で著作権侵害を取り締まる姿勢をみせるだけで、パクツイについて具体的・直接的な規制をかけるような措置を取っているわけではありません。
パクツイの通報・削除依頼方法と訴える方法
パクツイされた場合、ツイッター上での著作権侵害の発生としてパクツイ投稿者またはツイッターに対して対処を求めることになります。
方法1:パクツイ投稿者に対してリプやDMで投稿の削除や自粛を呼びかける
最も簡単なパクツイへの対処は、直接連絡を取ってパクツイの自粛や削除を求めることです。ここでパクツイを止めるようであればこれ以上の対処の必要はありません。
「法的措置も検討している」「すでに弁護士への依頼を検討している」といった文言を添えることで説得力を高めることもできるでしょう。
それでも連絡を無視するなど自粛・削除に応じない場合、強行的な手段を用いるほかないです。
方法2:「著作権侵害」の他「なりすまし」として通報・削除依頼
まず、パクツイは著作権侵害ですので、報告は以下の手順でDMCA通報を行います。
- STEP1専用通報フォームにアクセス「知的財産権に関する問題のヘルプ」にアクセスして、特定のパクツイに関する情報を指示通りに記入していく。
- STEP2著作権侵害の発生を選択選択肢に対し「著作権を侵害している可能性のある行為を報告したい」「私は著作者です」を選択。
- STEP3個人情報の記入氏名や会社、メールアドレス、住所などを記入する。
- STEP4プラットフォームプラットフォームは「Twitter」を指定。
- STEP5元のツイートの説明元のツイートに対して具体的で詳しい説明をする。
- STEP6パクツイの詳細についてパクツイのリンクやパクツイの内容、具体的にどのような文章が著作権を侵害しているかを説明。
- STEP7チェックと署名確認事項に対して内容を確認した上ですべてチェックを入れ、署名を行う。後は送信するだけ。
上記の申請で問題のパクツイが著作権を侵害していることを具体的に証明していきます。申請さえ済めばあとはTwitter側の対処を待つだけです。
なお、この申請により自分の個人情報が相手側に伝わるとされます。
まず、著作権を侵害している疑いがあるコンテンツを投稿したユーザーに、通知に含まれるすべての情報(報告者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスを含む)のコピーを送付します。
個人的な連絡先情報を相手に知られたくない場合は、代理人を介して報告することをおすすめします。
この点にのみ注意ですが、どうしても相手に個人情報を知られたくない場合は弁護士を代理人としてたてて通報できると良いですね。
また、過去に自分が投稿したツイートをすべてパクツイされている場合などはプロフィールの「三点」から通報するか、または専用のプラットフォームにて「なりすまし」として通報することもできます。
詳しくは以下の記事をご覧下さい。
方法3:著作権侵害としてパクツイ投稿者を特定、損害賠償請求・刑事告訴
ネット上で発生した権利侵害に対しては「プロバイダ責任制限法」と呼ばれる法律に基づき、侵害者の個人情報を開示させる手続きを進めることが可能です。
これを「発信者情報開示請求」と呼びます。
具体的な開示請求の流れは以下の記事で紹介します。
上記の手続きでパクツイ投稿者が特定できたら不法行為(著作権侵害)に基づく損害賠償請求と、最寄の警察署に告訴状を提出し、パクツイ投稿者の刑事告訴(著作権法違反)を行います。
法的な手続きとなるので弁護士に依頼することが望まれますね。
まとめ
パクツイは一個人の自己顕示欲によって行われるものとされますが、著作権侵害の可能性が高く、違法性が問われる問題となっています。対処方法は以下の通りです。
- 方法1:パクツイ投稿者に対してリプやDMで投稿の削除や自粛を呼びかける
- 方法2:「著作権侵害」の他「なりすまし」として通報・削除依頼
- 方法3:著作権侵害としてパクツイ投稿者を特定、損害賠償請求・刑事告訴
この記事が問題のパクツイに対して何らかの足がかりとなれば幸いです。
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