この記事ではインスタで受けた「なりすまし」への対処方法をご紹介していきます。
なりすましは「ある日突然急に起きること」が大半ですので、焦って正常な対処ができないかもしれません。
そこで今回紹介するのは いつでも誰でも簡単にできるなりすましへの対処方法です。
具体的な方法がわからずにつまずく方が多いと思われますので、1つずつ詳しく説明していきます。
ゆえに、みなさまには読み進めながら、対処方法を実践していただければと思います。
それでは解説していきます。
インスタのなりすまし2パターン
インスタ上の「なりすまし」には大きく分けて2つのパターンがあります。
まずはどちらのパターンに当てはまるか確認にしてから、悪質で違法ななりすましを法的に対処していきましょう。
「一刻も早く対処したい」という方は次章「インスタ上でのなりすまし行為に対する適切な対処方法」をご覧ください。
パターン1:自分と同様のアカウントを模倣して作成・活動
なりすましのパターンの一つに「似たようなアカウントを作り出す」という行為があります。
例えば、他人と同一のユーザー名やプロフィール写真、自己紹介文などを登録して他人のインスタのホーム画面を再現し 、あたかも他人と同一のアカウントを装うという行為です。
しかし残念ながら、このような「似たようなアカウントを作り出す」という行為を規制する法律はありません。
まず、ユーザー名に他人のユーザー名を記入してその人物を名乗る行為を禁止する法律はありません。
同様に自己紹介文に関しても、短い自己紹介文をコピペするなどして同一のものを使用することを法律で規制されているわけではないです。
肖像権・著作権侵害の可能性あり
ただし、プロフィール写真に関しては異なります。
プロフィール写真の転用は肖像権の侵害に該当する可能性が高いです。
肖像権とは、以下のような権利を指します。
自己の容貌,姿態をみだりに写真,絵画,彫刻などにされたり,利用されたりすることのない権利。
引用元:コトバンク「肖像権」
つまり、自分の身体が映った写真などを(許諾なしに)勝手に利用されない権利のことです。
つまり、 インスタ上で他のユーザーの顔写真などを勝手に利用すれば、この肖像権の侵害が発生します。
また、写真以外にも自分が創意工夫して作成したイラストを勝手に転用された場合は著作権侵害が成立します。
つまり、 「プロフィール写真」を転用された場合は、法的に違法な状態となる可能性が高いのです。
名誉毀損の可能性もあり
名誉毀損とは、人が迷惑するような情報を公開して、人の名誉を傷つけるような行為です。
刑法230条で禁止されている行為となっています。
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:e-Gov刑法「第二百三十条」
インスタの例を考えながら、条文をかみ砕いていきましょう。
- 「公然と」:インスタのTL・ストーリー上に不特定多数が閲覧できる形で
- 「事実を摘示し」:写真・投稿文で何らかの情報を示して
- 「人の名誉を傷つけるような行為」:他人の名誉(社会的評価)を傷つける行為
つまり、インスタで他人と同様のアカウントを作成しただけでは名誉毀損とはなりません。
名誉毀損が成立するのは、 同様のアカウントを作成して「他人の名前を名乗りつつ何らかの情報を示して社会的評価を低下させる行為」となります。
言い換えると、「なりすましながらなりすました本人の評価を傷つける行為」ですね。
例えば、有名人と似たようなアカウントを作って有名人になりすました状態で「実は万引きをしていました。」「飲酒運転を繰り返しています」などとデマ・ガセを流したとしましょう。
インスタユーザーの中には、デマ・ガセを信じて本当にその有名人が犯罪行為をしていたと勘違いする方も少なくはありません。
そうなればその有名人の社会的評価は傷つきますよね。
このように なりすました状態で嘘の発言を繰り返すことで名誉毀損が成立します。
そのような場合は肖像権・著作権侵害の方向で法的措置をとることを検討しましょう。
有名人・一般人で違いはあるのか
著作権・肖像権侵害に有名人も一般人も関係はありません。
ただし、名誉毀損に関しては、「知名度」という観点が重要になってきます。
その理由は「名誉」の定義です。
まず「名誉」とは、「人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すもの」とされています。
参考元:昭和45年12月18日,最高裁
すなわち、他人からの評価です。
品性、徳行、名声、信用などといった人格的価値は知名度が高ければ高いほど、価値が高くなる傾向があります。
例えば、政治家や会社の経営者、学者、芸能人など、社会的に重要なポジションを担う職業は 一般人と比べて名声、信用などの価値が高まっていくというわけです。
そのため、必然的に有名人の方が名誉毀損などを立証しやすくなるとされます。
だからといって一般人に対する名誉毀損が立証できないと言うことはありません。
現代はeスポーツ、YOUTUBERなど一般人でも副業的に社会的活動をする方が多い時代です。
そういった活動で得た名誉を傷つけられれば、名誉毀損が成立する可能性が高くなります。
インスタのなりすましを対処する前に、一度、有名人・一般人に限らず、 自分の名誉とは何なのかを考えておくことをおすすめします。
インスタの規約では「なりすまし」としてパターン1を禁止している
インスタの利用規約ではなりすまし行為に関して以下のような条文がありました。
Instagramで禁止されている行為 広範囲にわたるコミュニティに安全でオープンなサービスを提供するためには、私たち全員がそれぞれの役割を果たす必要があります。
他人へのなりすましや不正確な情報の提供は禁止されています。
Instagramでは、利用者ご自身の身元を開示していただく必要はありませんが、弊社に対しては、正確かつ最新の情報(登録情報を含む)を提供していただく必要があります。他人へのなりすましは禁止します。また、本人から明示的な許可を得ない限り、他の人のアカウントを作成することはできません。
引用元:Instagram「利用規約」
難解ですが、後半の「 本人から明示的な許可を得ない限り、他の人のアカウントを作成することはできません。」に注目してください。
つまり、許可を得ずに他の人のアカウント、すなわち「他の人のなりすましと疑われるようなアカウント」の作成を禁止しています。
インスタではこのようななりすまし行為を禁止しているわけです。
つまり、 運営に報告すれば協力して対処に当たってくれると考えることができます。
パターン2:不正に取得したID・パスでアカウントにログイン
「インスタのアカウントを乗っ取られた」という方はこのパターン2に該当します。
具体的には、パターン2はインスタ上で他人のアカウントを乗っ取ってしまう「乗っ取り型のなりすまし」です。
パターン2の場合は、有名人・一般人に関係なく、不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)に該当する犯罪行為となります。
乗っ取り主からアカウントを取り戻すための詳しい対処方法は割愛しますので、各自ご確認くださいませ。
インスタ上でのなりすまし行為に対する適切な対処方法
さきほど紹介したなりすましの2パターンに沿って対処していきます。
いずれもインスタ上で簡単に実践できる内容です。
読み進めながら、対処していきましょう。
パターン1:自分と同様のアカウントを模倣して作成・活動
パターン1は何者かがみなさんを装ってインスタのアカウントを作成し、無許可で活動しているパターンでしたね。
パターン1の場合は、基本的にはインスタの運営に報告する流れとなります。
以下の方法で、インスタの運営に報告しましょう。
アプリから報告
インスタアプリから報告する場合は、まず問題のユーザーのホーム画面(投稿数、フォロー数、フォロワー数、投稿写真が記載されている画面)を開きましょう。
後は以下の流れに沿って、アカウントを報告していきます。
- ステップ1:右上の設定アイコンから「報告する」をタップ
- ステップ2:「不適切である」をタップ
- ステップ3:「このアカウントはInstagramコミュニティガイドラインに違反していると思う」をタップ
- ステップ4:「アカウントを報告」をタップ
- ステップ5:「このプロフィールは他の人になりすましている」をタップ
- ステップ6:「自分」をタップ
- ステップ7:報告完了
タップ回数数回で完了する非常に簡単なステップです。
アプリからすぐに実践できるのでまずはこの方法をお試しくださいませ。
ウェブ上から報告
アプリから報告する方法との違いは、インスタの運営により詳細に状況を伝えることができることです。
アプリから報告する方法では、ただ単になりすましアカウントの報告にすぎません。
しかし、この方法を利用すれば、添付ファイルやテキストボックスと追加情報を送付できるため、より詳細に状況を説明できます。
まずはInstagramでのなりすましアカウントを報告を開きましょう。
- ステップ1:「状況を一番よく表しているものを選んでください。」は「誰かが私または友達になりすましたアカウントを作成した」を選択
- ステップ2:「はい、私になりすましています」を選択
- ステップ3:「氏名」「メールアドレス」を記入
- ステップ4:プロフィール画像横の「氏名」を記入
- ステップ5:「ユーザー名」(アプリで開くとホーム画面上に表示される)を記入
- ステップ6:インスタから指定された本人確認書類を手に持ち、写真を撮る(後述)
- ステップ7:追加情報に「アカウントがいつ頃にできたか」「迷惑行為の有無」「アカウントがどのような投稿を行い、どのような被害・影響を受けているか」など現在の状況を詳細に記入
- ステップ8:「送信」
アプリから報告する方法と比べると若干複雑に見えるかもしれませんね。
しかし、より確実な方法ではあるので、ぜひ試していただきたい方法となっています。
ここからはヘルプを元に利用できる証明書を紹介していきます。
- 出生証明書
- 運転免許証
- 婚姻届受理証明書
- 運転者以外用の公的本人確認書類(障害者手帳、SNAP、国のIDカードなど)
- 氏名変更届
- パスポート
- 生命保険証書または車両保険証書
- 有権者IDカード
- 銀行口座の明細書
- バスカード
- 小切手
- クレジットカード
- 雑誌購読の控え
- 医療の記録
- 資格証明書(年金カード、組合員証、名刺など)
- 学生証
- 社会保障カード
- 公共料金領収書
「本人確認に必要のない情報(クレジットカード番号、社会保障番号、住所など)は隠しても大丈夫です。
上記の証明書が準備できたら、指示通り 証明書を手で持った状態をスマホなどでその写真を撮影します。
画像ファイルはパソコンなどにメールで送付し、こちらのサイトを利用して拡張子をJPEGに変換しておきましょう。
できれば、画像ファイルはJPEG形式で保存してください。(中略)注:要件を満たす身分証明書をお送りいただくまで、リクエストの処理を行うことはできません。
とあるので、一応変更しておいた方が良いというだけです。変換しなくても大丈夫です。
法的措置をとりたい方へ!弁護士に相談する方法
最も確実でかつ適切な対処方法は弁護士に相談・依頼する方法です。
肖像権・著作権侵害で訴えたい場合や名誉毀損行為を行っている場合は弁護士に依頼して、法的な措置をとることをおすすめします。
弁護士探しからトラブル解決までは以下のよう流れで進みます。
- ステップ1:弁護士を探す
- ステップ2:インスタ上のトラブル解決に強い弁護士を選ぶ
- ステップ3:法律相談をする
- ステップ4:弁護士にインスタのなりすまし問題解決を依頼する
- ステップ5:弁護士が交渉・訴訟を行う
- ステップ6:弁護士がトラブル解決に導く
法律については難しく考える必要はありません。
弁護士に気軽に相談しに行くようなイメージです。
「弁護士に依頼した際に解決に必要な期間と費用」をふまえて、インスタのトラブルを対処していきましょう。
パターン2:不正に取得したID・パスでアカウントにログイン
なりすまし犯に乗っ取られたアカウントを取り戻す方法は、こちらの記事では割愛しております。
インスタの乗っ取り対処方法!嫌がらせの犯人の特定方法の記事から対処しましょう。
インスタのなりすまし犯を特定する方法
ここからはなりすまし行為の犯人を特定する行為を解説していきますが、あくまで法的な措置をとることを目的としています。
犯人を特定し、犯人に対して報復的な行動をとることは違法行為となる可能性が高いので注意しましょう。
インスタのなりすまし犯を特定するためには、警察や探偵ではなく、弁護士に依頼した方が得策です。
そのため、初めから弁護士に依頼する方法を試しましょう。
犯人の身元を特定するためのキーとなる法律がこのプロバイダ責任制限法です。
(趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
引用元:e-Gov「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」
この法律は「『権利侵害』が起きたときに特定の手続きをふめば犯人の情報を開示できるよ」ということを約束した法律です。
つまり、インスタのなりすまし犯が法律で守られているみなさんの権利を侵害した際に、特定の手続きを行うことで犯人の情報を開示(特定)できるということです。
権利の侵害とは例えば、以下のような状態を指します。
- 名誉(権)の侵害=名誉毀損・侮辱
- プライバシーの権利の侵害=プライバシーの侵害
- 肖像権・著作権侵害
- 経済的信用や社会的活動の自由の侵害=信用毀損・業務妨害(会社の経営者のみ)
このような権利を侵害されたことを明確に立証できる場合、特定の手続きをふむことで犯人の個人情報を開示させることが可能です。
特定の手続きは以下のような流れとなっています。
- ステップ1:権利侵害の立証
- ステップ2:インスタの運営に交渉・訴訟を起こして、IPアドレスなどの情報を開示
- ステップ3:IPアドレスなどの情報から犯人のプロバイダを特定
- ステップ4:プロバイダに交渉・訴訟を起こして、犯人に関する記録を保存
- ステップ5:プロバイダが犯人の名前、住所、メールアドレスを開示
以上5つのステップで犯人の個人情報を特定できます。
法的な手続きを多分に含むため、弁護士に依頼するケースがほとんどです。
詳しい流れや具体的な方法、費用などの知識を押さえたら、弁護士に依頼して犯人を特定しましょう。
例えば、権利侵害をされたとして犯人に損害賠償(慰謝料)を請求しても良いですし、特定した情報を元に弁護士と協力して告訴状を作成して犯人を警察に逮捕させても良いです。
まとめ
今回はなりすましのパターンを2つ紹介して、対処方法を解説してきました。
あとは対処するだけとなります。
なりすましアカウントは平然と投稿を行うなどしますが、なりすまされた方は強い苦痛を感じていることでしょう。
みなさんの尊厳を守るためにも、今回紹介した方法で徹底的に対処していきましょう。
場合によっては弁護士に協力を依頼して、法的な措置を求めることもおすすめします。
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