今回はホスラブの誹謗中傷で損害賠償を請求する方法をお伝えしていきます。
ホスラブ上での誹謗中傷で受けた精神的な苦痛は並々ならぬものでしょう。
慰謝料を請求できてもおかしくないと思う方も多いはずです。
結論から言えば、損害賠償の支払いを命じる事ができる可能性はあります。
馴染みのある言い方に直せば「慰謝料請求」です。
今回は、この慰謝料の請求方法をお伝えしていきます。
今はまだ何も知らなくても構いません。
この記事を読み終える頃には「慰謝料をいくら請求するか」というスタートラインに経ってもらうために全力サポートします。
それでは見ていきましょう。
まずは書き込みが違法かどうか確かめる
はじめに、単なる誹謗中傷(悪口・暴言)で慰謝料請求は困難です。
慰謝料請求は相手方にも負担をかける行為となります。
ゆえに、慰謝料を請求するためには慰謝料を請求できるだけの 「まっとうな理由」が必要です。
つまり、慰謝料を請求するために、ホスラブの書き込みが「違法」であることを証明する必要があります。
まずは誹謗中傷の書き込みが慰謝料請求の条件「権利侵害」に当てはまるか一緒に考えていきましょう。
慰謝料請求の条件:権利侵害
権利侵害とは、法律で守られている(守られるべき)権利を侵害されることで発生します。
例えば、誹謗中傷の書き込みには、以下のような「権利侵害」の可能性があります。
権利 | 権利侵害 | 書き込み例 | |
誹謗中傷 | プライバシーの権利 | プライバシーの侵害 | 「〇〇は電話番号は〇〇で〇〇に住んでいる」「〇〇は毎週日曜日に〇〇で遊んでいる」 |
名誉(権) | 名誉毀損 | 「〇〇は元犯罪者だ」「〇〇は薬をやってる」 | |
侮辱 | 「〇〇は死ね」「〇〇はブス」 | ||
経済的な評価 | 信用毀損 | (詐欺の事実はないのに)「〇〇という店では、リーダーに逆らうとクビになる」「〇〇はブラック企業だ」「〇〇という店では、〇〇という詐欺行為を行っている」 | |
経済活動の自由 | 偽計業務妨害 | ||
行動の自由・意思決定の自由 | 脅迫 | 「〇〇を殺す」「〇〇の家を燃やす」 |
このような権利侵害が認められると、慰謝料を請求できる可能性がグッと高くなります。
「名誉毀損の条件を満たしているから慰謝料請求」「プライバシーの侵害だから慰謝料請求」「業務妨害で苦痛だから慰謝料請求」と権利侵害の可能性を強調する必要があるのです。
その通りです。ここからは権利侵害ごとの慰謝料相場をご紹介します。
権利侵害の条件も提示するので、確認しながら、書き込みが条件を満たしているか確認していきましょう。
条件その1:名誉毀損
慰謝料相場:10~100万円
まずは有名な「名誉毀損」から見ていきましょう。
第三十四章 名誉に対する罪
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法
注目して欲しいのは「 公然と事実を摘示(てきし)し、人の名誉を毀損した者」です。
これは権利侵害「名誉毀損」成立の3つの条件に分けられます。
ホスラブに当てはめながら考えていきましょう。
- 「公然と」:いろんな人が見ることができる場所で=「掲示板で」
- 「事実を摘示し」:何らかの情報を示して=「書き込んで」
- 「人の名誉を毀損した者」:他人の社会的評価を下げた人=「他人を誹謗中傷した犯人」
つまり、「掲示板に他人の社会的評価を下げる目的で誹謗中傷の書き込みを行った犯人」となります。
「〇〇は低学歴だ」
このような投稿がホスラブに投稿された時点で「名誉毀損」が発生しているのです。
もちろん「例外」と認められれば、名誉毀損として慰謝料を請求できません。
名誉毀損にはその例外が以下のように2つあります。
- 公益性のある情報
- そもそも特定の人物を指していない
1つ目の「公益性」とは、 ニュースになるような情報のことです。
「〇〇がセクハラを行っている」「〇〇が誘拐を行った」など事件性が強く、ニュースになるような書き込みが真実ならば「公益性がある」として例外となります。
2つ目は、そもそも 誰を指しているかあやふやな情報です。
「あいつ」「あの野郎」程度では「特定の人物」とみなすのは困難とされ、名誉毀損の例外となります。
「誰が」という主語が抜けているケースも例外です。
特定の人物を指して誹謗中傷をしていることが「名誉毀損」の前提条件となります。
条件その2:侮辱
慰謝料相場:10~50万円
次は「侮辱」について照らし合わせてみましょう。
(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
引用元:刑法
「231条」という番号を見ると分かりますが、こちらの法律は先ほどの名誉毀損(230条)の続きとなります。
守る権利は同じく「 名誉」です。
条件を見ていきましょう。
- 「事実を摘示しなくても」:情報が無くても=「意味をなさない書き込みでも」
- 「公然と」:いろんな人が見ることができる場所で=「掲示板で」
- 「人を侮辱した者」:他人を馬鹿にした人
このように内容はほとんどありませんが、他人の名誉を傷つけることができる書き込みもありますよね。
このような書き込みを「侮辱」と呼び、権利侵害の一つと数えることができます。
単に「死ね」「ブス」だけでは、どの人物に対する書き込みなのか特定できませんので例外となります。
条件その3:プライバシーの侵害
慰謝料相場:10~100万円(ヌード写真などは高額の傾向あり)
名誉毀損・侮辱と並んで事例が多いのが、この「プライバシーの侵害」です。
プライバシー権が侵害されることで発生することは有名ですよね。
以下の3つの条件をすべて満たすとプライバシーの侵害が成立するとされています。
- プライベート情報やプライベート情報と勘違いされるかもしれない情報
- 公開されたくない情報
- まだ公開されていない情報
例えば、ホスラブに「〇〇がいつでどこでどんなことをしている」というプライベートな情報を書き込んだ時点でプライバシーの侵害となります。
プライベートに関する「写真」を公開しても同様にプライバシーの侵害です。
お店のホームページに情報掲載を許可してしまい、そこから情報が漏れるケースもあります。
実はプライバシーの権利やプライバシーの侵害について明確に定める法律はありません。
憲法や民法といった法律から導き出される権利侵害の一つとされます。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
引用元:「日本国憲法」
プライバシーの権利はこの憲法第13条から導き出されるというのが定説です。
第五章 不法行為
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:「民法」
このように民法709条では、権利を侵害すること不法行為としています。
つまり、プライバシーの権利を侵害することは民法709条に違反するということです。
こうしてようやくプライバシーの侵害が「違法」といえるわけですね。
条件その4:信用毀損・偽計業務妨害
慰謝料相場:50万円~数百万円
名誉毀損・侮辱・プライバシーの侵害など、ここまでに紹介してきた権利侵害はすべて個人に対するものでしたね。
この信用毀損・偽計業務妨害は「お店・企業・経営者」に対する権利侵害です。
第三十五章 信用及び業務に対する罪
(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法
信用毀損と業務妨害の成立条件を見ていきましょう。
- 「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて」:デマやガセなどの嘘情報を流して/人をあざむいて=「掲示板に嘘の情報を書き込んで」
- 「人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者」:他人の(経営上の)信頼を損ねた人/業務を妨害した人
ホスラブで例えれば、「お店に関するデマ・ガセ情報を流して、他人の経営上の信頼を損ねた/業務を邪魔した書き込み投稿者」となります。
- 「〇〇という店はぼったくりだ。もう利用しない方がいい。」
- 「〇〇という店の〇〇という店長は無能だ。」
- 「〇〇という店に爆弾を仕掛ける。」
このように、お店に対する書き込みでも権利侵害に問うことが可能です。
条件その5:脅迫
10万円~数百万円
ネット上では脅迫行為も平然と行われます。ホスラブでも例外ではありません。
脅迫に当てはまらないか確認しておきましょう。
第三十二章 脅迫の罪
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
引用元:刑法
条件を見ていきましょう。
- 「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して」:危害を加えると(あらかじめ)書き込んで予告を行い
- 「人を脅迫した者」:他人を脅した人
ホスラブの書き込みで他人を脅した人のことです。
自分だけではなく、自分の親や子供も含まれている場合も脅迫とみなされます。
例えば、以下のような例が考えられます。
- 生命:「〇〇を殺すぞ」
- 身体:「〇〇を殴るぞ」
- 自由:「〇〇を拘束するぞ」
- 名誉:「〇〇のデマを公開するぞ」
- 財産:「〇〇の金を盗むぞ」
このように他人に危害を加える目的で投稿された書き込みはすべて権利侵害となります。
源氏名でも権利侵害に問えるのか
原則的に個人やお店の名称が明示されていなければ犯罪に問えません。つまり、源氏名、あだ名やイニシャルを含む書き込みは「本当に特定の個人に対する権利侵害って言えるの?」ということです。
源氏名で権利侵害とみなされるかどうかは難しい問題です。
結論から言えば、「状況によっては権利侵害とみなされる」となります。
源氏名で権利侵害を立証する際に大切なのは、 複数人の第3者がみてわかる名前ということです。
例として、仮に本名を「田中太郎」としましょう。源氏名は「龍」とします。
彼は「A店」というホストクラブに務めているとして、ホスラブに彼に対して以下のような書き込みが書き込まれたとします。
- 「田中太郎は元詐欺師でブサイクだ」
このような書き込みは明らかに名指しで名誉を毀損しています。
しかし、これが以下のような書き込みだとすると状況が変わってきます。
- 「龍は元詐欺師でブサイクだ」
「龍」という源氏名は日本中に存在する可能性があります。
第三者が見ても判別は困難です。
これでは特定の個人とはみなされず、一概に名誉を毀損しているとは言い切れません。
しかし、源氏名であっても、以下のような書き込みなら、権利侵害に問える可能性が高いです。
- 「A店の龍は元詐欺師でブサイクだ」
店の名前を指定していることで「龍」という源氏名が該当する人物が一気に絞られます。
このような状況であれば、複数の第三者がみても、「あいつのことだな」と個人を特定できますよね。
このように、源氏名を含んだ書き込みは「状況によっては権利侵害とみなされる」となるわけです。
犯人に慰謝料(損害賠償)を請求する方法
慰謝料を請求する前に以下のポイントは確認しておいてください。
- 投稿が権利を侵害しているか
- 投稿でどれくらいの慰謝料が請求できるか
いずれも前章「まずは書き込みが違法かどうか確かめる」で紹介していますので、準備段階として必ず確認しておきましょう。
自力での見極めが困難な場合は「この書き込みは権利侵害に問えますか」と弁護士に相談してしまっても大丈夫です。
慰謝料請求のステップは以下の通りです。
- ステップ1:ホスラブ書き込み(証拠)を保存する
- ステップ2:犯人を特定する
- ステップ3:犯人に慰謝料を請求する
法的な手続きは必要になるため、基本的には弁護士に依頼します。
どのようなステップなのか見ていきましょう。
ステップ1:ホスラブ書き込み(証拠)を保存する
書き込まれた証拠はいつ削除されるかわかりません。
消えてしまう前にまずはホスラブの書き込みを保存しましょう。
- スクリーンショット(画面キャプチャ)
- ページ情報をPDFで保存
- ページを紙に印刷
- パソコンやスマホの画面を写真や動画で撮影
- インターネットアーカイブ
- ウェブ魚拓
- Googleキャッシュ
このような保存方法があります。
最も簡単でおすすめなのは、 スクリーンショットです。
ただし、ただ撮るだけでは証拠とみなされるわけではありません。
注意すべきポイントがあるので、そちらも押さえながら証拠を保存していきましょう。
ステップ2:犯人を特定する
慰謝料は犯人に直接請求する必要があります。
そのため、 犯人の名前・住所に関する個人情報が必要です。
ゆえに、慰謝料を請求するためには犯人を特定しなければいけません。
以下の流れで特定することができます。
- 投稿が権利を侵害しているか確認
- ホストラブに交渉・訴訟して、IPアドレスなどの情報を開示
- IPアドレスなどの情報から犯人のプロバイダを特定
- プロバイダに訴訟を起こして、犯人に関する記録を保存
- プロバイダが犯人の名前、住所、メールアドレスを開示
恐らく、犯人の特定は慰謝料請求のステップの中で最も重要かつ難関といえるステップです。
こちらは重要項目ですので、具体的な流れを理解して慎重に進めていきましょう。
ステップ3:犯人に慰謝料を請求する
特定した犯人に対して直接慰謝料を請求しに行きます。
ただし、その交渉を行うのは弁護士であり、みなさんがするのは準備だけです。
直接犯人と面会することはないのでご安心ください。
この慰謝料の支払いに反対する場合は、損害賠償請求訴訟と呼ばれる裁判を起こすことになります。
請求できる金額を振り返りましょう。
- 名誉毀損:10~100万円
- 侮辱:10~50万円
- プライバシーの侵害:10~100万円(ヌード写真などは高額の傾向あり)
- 信用毀損・偽計業務妨害:50万円~数百万円
- 脅迫:10万円~数百万円
このような金額が請求可能です。
ここに慰謝料請求にかかった費用を追加で請求することもできます。
慰謝料の請求にかかる費用
- 費用:50~100万円
- 期間:1年前後
慰謝料請求は弁護士と協力して行う手続きでしたね。
中でもステップ2の特定に関する費用が膨大であり、50~100万円の弁護士費用が見込まれます
ステップ3の慰謝料の請求自体はケースバイケースですが、弁護士費用で10万円程度です。
この費用を慰謝料で回収できるか否かは 被害の度合いや弁護士の力量によります。
ただし、もし全額を回収できない場合でも、慰謝料で慰謝料請求にかかった費用の一部を回収できるほか、「犯人の名前・住所」に関する情報を得ることが可能です。
この情報を元に告訴状を作成し、警察に提出することで犯人を逮捕させることもできます。
なぜ慰謝料を請求できるのか
慰謝料を請求できるのにはきちんとした法的な根拠があります。
それがこちら「不法行為による損害賠償」(民法709条)です。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:「民法」
つまり、「名誉毀損」「侮辱」「プライバシーの侵害」「信用毀損・業務妨害」「脅迫」で権利侵害をされた場合、相手方に損害賠償を請求できるという法律です。
この「不法行為による損害賠償」(民法709条)があるからこそ、みなさんが損害賠償を請求できるわけですね。
誹謗中傷投稿は削除を依頼しよう
ホストラブの投稿を放置しておいても、みなさんやお店に対する風評被害の拡散というデメリットしかありません。
そこで、書き込みの削除を依頼しましょう。
方法としては、自力で行うか弁護士に依頼する方法があります。
いずれかの方法で投稿を削除しておきましょう。
まとめ
ここまでご覧頂き、ありがとうございます。
これから慰謝料を請求したいという方に向けて、要点だけ整理してお伝えしておきます。
- ポイント1:今回紹介した内容を確認して、まずは書き込みが違法(権利侵害)しているか確かめる
- ポイント2:ホスラブ書き込み(証拠)を保存する
- ポイント3:犯人を特定する
- ポイント4:犯人に慰謝料を請求する
一貫して、ホスラブの書き込みが権利侵害であることを根拠を元に主張することが重要です。さらには、弁護士との連携も重要になってきます。
この記事がホスラブ書き込みに悩むみなさんの力になれば、幸いです。
コメント