誹謗中傷とは特定の個人・法人を傷つけることです。インターネット上の誹謗中傷の書き込みは、民法上の不法行為や刑法上の犯罪に該当する可能性があります。よくいわれる「名誉毀損」とは、誹謗中傷の口コミを投稿したことによって問われる可能性のある刑法上の犯罪のことです。
この記事では、口コミで誹謗中傷を受けた方に向け、下記の4つの対処方法をご紹介します。
- 対処方法1:口コミで誹謗中傷されたら通報する
- 対処方法2:口コミで誹謗中傷してきた投稿者を特定して損害賠償を請求する
- 対処方法3:口コミで誹謗中傷してきた投稿者を刑事告訴する
- 対処方法4:誹謗中傷が含まれた口コミの削除を要請する
個別の事情によって最適な手段が変わってくるため、よく比較して自分に合った方法を選ぶようにしましょう。
対処方法1:口コミで誹謗中傷されたら通報する【サービス別】
口コミで誹謗中傷を受けた場合、まず最初に「通報」を検討する方が多いでしょう。通報は誹謗中傷の口コミが投稿されたウェブサイトやSNSの管理者に対して行います。
匿名での投稿ができるウェブサイトやSNSでは、不適切な口コミを禁じています。禁止行為や処分内容についてガイドラインや利用規約に定めているため、通報前に確認するようにしましょう。
ただし、実際に対処するか、どのような対処をするかの判断は管理者に委ねられています。通報による対処が期待できない場合、損害賠償請求や刑事告訴、削除要請など他の対処方法を検討するようにしましょう。
ここでは、主なサービス別に通報方法を解説します。
Googleマップ
Googleマップとは、企業や飲食店、観光名所などに関する口コミを共有できるプラットフォームです。Googleアカウントを持っていれば、誰でもマップ上で口コミを閲覧・投稿できます。
誹謗中傷の口コミが書き込まれた場合、下記の手順で通報します。
- Googleマップのサイトやアプリを開く。
- 報告する口コミを表示する。
- 3点リーダーで表示される「その他」アイコンを選択する。
- 「クチコミを報告」から報告する。
なお、口コミが削除の対象となるのは、Googleのポリシーに違反している場合に限られます。例えば、虚偽の口コミや攻撃的な口コミ、競合他社の評判を傷つける目的で投稿された口コミなどが挙げられます。「内容が気に入らない」「企業側と認識が異なる」などの理由ではGoogleが関与できないことに注意しましょう。
転職会議
転職会議とは、実際の社員(元社員含む)による企業の口コミを集めたプラットフォームです。評判や年収、面接対策など、就職や転職の参考となる情報を閲覧・投稿できます。
誹謗中傷の口コミが書き込まれた場合、下記の手順で通報します。
- お問い合わせフォームから投稿削除希望と送信する。
- 転職会議からの返信を待つ。
- 規定のフォーマットに従って、誹謗中傷口コミの情報や送信防止措置依頼書を作成する。
- 印鑑登録書と書類を送信する。
削除依頼は誹謗中傷を受けた企業あるいは弁護士からのみ受け付けています。度を超えた誹謗中傷は採用活動や企業活動に影響を及ぼす可能性があるため、削除依頼と同時に法的措置も検討すると良いでしょう。
食べログ
食べログとは、飲食店の料理の味や雰囲気、サービスなどを評価した口コミを投稿できるプラットフォームです。食べログは口コミガイドラインで「個人への誹謗中傷、店舗への断定的批判」を禁じています。
誹謗中傷の口コミは下記の手順で通報できます。
- 食べログサイト・アプリから通報する口コミを表示する。
- 口コミの下にある「問題のある口コミを報告する」をタップする。
- 問い合わせ内容とメールアドレスを記入して送信する。
飲食店や飲食店関係者に対する誹謗中傷は、たとえ主観的な表現であっても削除の対象となり得ます。
ぐるなび
ぐるなびとは、飲食店のグルメレビューを投稿・閲覧できるプラットフォームです。2023年10月から楽天グループとの資本提携を明確にするため、「楽天ぐるなび」に名称を変更しています。
ぐるなびは利用規約にて「他人を誹謗中傷する行為、またはその恐れのある行為」を禁止しています。誹謗中傷口コミが投稿された場合、お問い合わせフォームから通報できます。
なお、ぐるなびに投稿されている口コミの中には、他サイトからデータ提供されたものもあります。この場合には、実際に投稿されたサイトにて削除依頼をするようにしましょう。
Retty
Rettyとは、飲食店の口コミを実名で投稿できるプラットフォームです。ユーザー同士で繋がることができるSNS的な要素があるのが特徴です。
Rettyの投稿ガイドラインでは「特定/不特定に関わらず、他のユーザー/店舗関係者/他のお客様等個人への誹謗中傷を禁止します」と明記しています。誹謗中傷口コミはRettyホームページのお問い合わせフォームまたはメールアドレスから報告できます。
じゃらん
じゃらんとは全国のホテルや旅館の予約サイトです。実際に泊まった宿泊施設の口コミを投稿する機能も付いています。
じゃらんは誹謗中傷や差別表現を含む口コミの投稿を制限しています。誹謗中傷被害を受けた場合、じゃらんのお問い合わせフォームから通報が可能です。
ホットペッパービューティー
ホットペッパービューティーとは、全国の美容室やリラクゼーションサロンの予約ができるサイトです。実際に施術を受けた利用者は評価や感想を投稿できます。
原則として口コミの削除はできないものとしていますが、誹謗中傷を含む口コミは違反行為に当たるため削除の対象となります。削除を依頼する場合、お問い合わせフォームに具体的な内容を記入して送信しましょう。
ヘアログ
ヘアログとは、全国の美容室の口コミ情報を集めたプラットフォームです。口コミガイドラインでは「誹謗中傷、名誉棄損にあたる口コミ」を迷惑行為として禁じています。
誹謗中傷口コミの削除依頼はお問い合わせフォームから行うこともできますが、基本的には法定手続きを要するようです。具体的な手続き方法は下記の通りです。
- ヘルプページを参照する。
- 規定の「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」をダウンロードする。
- 必要事項を記入してFAXにて送信する。
- 審査(必要に応じて意見照会)の上、削除を行うか判断する。
Amazon
Amazonは世界最大級のショッピングサイトです。オンライン上で商品の取引を行い、出品者や販売物に対する口コミ投稿が可能です。
Amazonのコミュニティガイドラインでは誹謗中傷の投稿を違反行為として定めており、削除やアカウントの停止などの措置を講じています。
投稿された誹謗中傷口コミを通報したい場合、該当する口コミの下にある「レポート」ボタンから通報できます。より詳細な内容を報告したいときは、下記の手段をとることができます。
- Amazonのアカウントにログインする。
- カスタマーサービスにアクセスする。
- 「その他のお問い合わせ」を選択する。
- 表示された項目の中から「その他」を選択する。
- 「サポートが必要な項目を選択する」の選択肢から「Amazonコミュニティ」を選ぶ。
- 「コミュニティガイドライン違反の報告」→「他のユーザーのコンテンツを報告するには」の順番にタップする。
- 「カスタマーサービスへ連絡」→「Eメールを送信する」のボタンを押す。
- 入力フォームに具体的な内容を記入して送信する。
楽天市場
楽天市場は国内最大級のECサイトです。オンライン上に展開している店舗ごとに買い物をするショッピングモール形式のサイトで、購入した商品や店舗について口コミを投稿する機能もあります。
楽天市場は利用規約で「当社、サービス提供者または第三者を誹謗中傷する内容」を禁止行為として定めています。利用規約違反の口コミは、該当する口コミの下部に表示される「不適切なレビューを報告する」リンクから通報できます。
個別の問い合わせが必要な場合、「ヘルプ・問い合わせ窓口」からも連絡可能です。必要に応じて検討しましょう。
マンションノート
マンションノートとは、賃貸向け・分譲向けのマンションやアパートの口コミを掲載しているウェブサイトです。実際に入居する前に住み心地や周辺情報を知ることができます。
マンションノートの利用規約では「第三者(当社を含む)への誹謗中傷」を削除対象としています。誹謗中傷口コミについてはお問い合わせから通報可能です。
対処方法2:口コミで誹謗中傷してきた投稿者を特定して損害賠償を請求する
口コミで誹謗中傷された被害者は、投稿者を特定した上で損害賠償を請求することもできます。損害賠償請求は民法に基づいて行う請求です。そもそも請求をするためには、その口コミが民法上の「不法行為」に当てはまっている必要があります。
口コミ投稿者の不法行為により、被害者が権利を侵害されていれば、発信者情報開示請求によって投稿者を特定することが可能です。投稿者が分かり次第、被害者は民事訴訟を提起して損害賠償金を請求できます。
損害賠償金には被害者の精神的苦痛に対する慰謝料と、発信者開示請求などに要した費用や弁護士費用などが含まれることが多いようです。請求できる金額はケースバイケースではありますが、個人の場合は10万〜50万円、法人の場合は50万〜100万円が相場となっています。
ここでは、権利侵害に該当する口コミの内容と発信者情報開示請求から損害賠償請求の流れを紹介します。
どんな口コミが権利侵害に該当するか
投稿された口コミが被害者の権利を侵害していると主張するためには、民法上の不法行為に該当しているかが問題になります。不法行為は民法709条に定められています。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(引用:民法|e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089) |
簡単に説明すると、故意(わざと)または過失(うっかり)、他人に何かしらの被害を与えてしまった場合に、その損害を加害者が補償しなければならないということです。保護される権利や利益には、他人の名誉や財産権も含まれます。
では、実際にどのような口コミ投稿が不法行為とされるのでしょうか。誹謗中傷口コミによって発生する権利侵害としては「名誉権侵害」「名誉感情の侵害」「プライバシーの侵害」「営業権侵害」が挙げられます。
下記、侵害される権利ごとの具体的な内容と投稿例をまとめました。
侵害される権利 | 内容 | 投稿例 |
名誉権 | 口コミにより社会的評価を低下させること
なお、民法上の名誉権においては ・事実を指摘した場合 ・主観的な意見や論評を述べた場合 のいずれも不法行為が認められる可能性がある |
【事実摘示型】
「あのお店は賞味期限切れの食材を利用している」 【意見論評型】 「あのお店はまずい、最悪だ」 |
名誉感情 | 口コミにより主観的評価(プライド)を損なわせること | 「A会社の社長は気持ち悪くて吐き気がする」 |
プライバシー権 | 私生活を世間一般に向けて公表すること | 「A会社の人事部長の住所は〇〇だ」 |
営業権 | 営業を妨害したり、営業秘密を漏らしたりすること | 「あのお店が出している商品に虫が混入していた」
「A会社はデータを改ざんしている」 |
誹謗中傷口コミの発信者情報開示請求〜損害賠償請求の流れ
誹謗中傷の口コミが不法行為に当てはまる場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求ができます。侵害賠償請求の前には、誹謗中傷の口コミを投稿した加害者を特定する必要があります。
発信者開示請求から損害賠償請求にかけてのおおまかな流れは次の通りです。
誹謗中傷が含まれた口コミを特定する
↓ 弁護士に相談する ↓ 発信者情報開示請求または発信者情報開示命令の申立て ↓ 情報開示により投稿者を特定する ↓ 裁判外で交渉をする(省略可) ↓ 裁判上で損害賠償請求をする ↓ 損害賠償金を受け取る |
発信者開示請求でも損害賠償請求でも、最終的には裁判上の手続きが必要となります。法的な知識なくしては手続きにもたついてしまうおそれがあります。
特に誹謗中傷口コミに関しては、時間が経ってしまうと発信者の特定が難しくなる可能性があるため、スピードが重要です。スムーズな問題解決のためにも、なるべく早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
ここでは、発信者情報請求・発信者情報開示命令と損害賠償請求の方法について詳しく解説します。
発信者情報開示請求・発信者情報開示命令
インターネット上の投稿は匿名であることが多く、相手が誰なのかわからない場合がほとんどでしょう。しかし、法的措置をするにはまず加害者を特定しなければなりません。
誹謗中傷口コミの投稿者を知るためには、基本的に裁判上の手続きを踏むことになります。裁判外で任意の開示を求めることもできますが、プロバイダ側のリスクが大きいことから、開示してもらえる可能性は低いでしょう。
加害者を特定する方法は「発信者情報開示請求」と「発信者情報開示命令」の2つに大別できます。いずれもプロバイダ責任制限法に定められています。このうち、発信者情報開示命令は2022年10月に新設された制度です。具体的な手続きの流れは次の通りです。
発信者情報開示請求(従来型) | 発信者情報開示命令(2022年新設) |
口コミが投稿されたWebサービスの提供者(コンテンツプロバイダ)にIPアドレスの開示を求める
コンテンツプロバイダが開示に応じない場合は裁判所に仮処分を申し立てる 開示されたIPアドレスから発信者が契約するインターネットサービス事業者(アクセスプロバイダ)を特定する アクセスプロバイダに対して裁判上の発信者情報開示を申し立てる 裁判所が開示を認める判決を出す 発信者の情報が開示される |
裁判所に発信者情報開示命令を申し立てる(非訟手続き)
裁判所はコンテンツプロバイダとアクセスプロバイダの両方に対して発信者情報の開示を命令する 発信者の情報が開示される |
従来の発信者情報開示請求では、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダの両方に別々の開示請求をしなければならず、加害者の特定までに長い期間を要していました。一方、発信者情報開示命令では裁判上の手続きが一本化され、被害者の負担を大きく軽減できる仕組みとなっています。
発信者を特定する方法はどちらを選んでも構いません。どちらの方法が望ましいかは個別の事情によって異なるため、事前に弁護士に相談しておくと安心です。
損害賠償請求
誹謗中傷口コミを投稿した加害者がわかったら損害賠償請求に移ります。
損害賠償請求には裁判外の交渉と裁判上の請求の2パターンがあります。まず裁判外の示談交渉を行い、交渉が整わない場合に民事訴訟に移行するケースがほとんどです。
すぐに裁判をするのは双方の負担が大きいため、最初に話し合いから開始します。示談交渉では謝罪内容や損害賠償額について擦り合わせを行います。示談交渉が成立して、加害者が謝罪や損害賠償金(慰謝料)の支払いをすれば解決です。
なお、裁判外の示談交渉では弁護士を立てるのが一般的です。被害者が加害者と直接交渉を行うと、感情的な口論になってしまうおそれがあるためです。加害者と顔を合わせることによる被害者側の精神的な負担も大きいでしょう。弁護士に依頼することであらかじめ求める条件を整理し、的確な示談交渉が可能となります。
双方の合意ができなければ、民事訴訟を申し立てて損害賠償請求をすることになります。つまり、主張の正当性について裁判官に判断を仰ぐわけです。裁判官は双方の主張や証拠、その他の事情を考慮して判決を下します。判決には法的拘束力があるため、加害者は判決に従って賠償金の支払いを行わなければなりません。
対処方法3:口コミで誹謗中傷してきた投稿者を刑事告訴する
誹謗中傷の口コミを投稿する行為は犯罪に該当する可能性があります。加害者に対して刑事告訴をすれば、懲役刑や罰金刑などの刑罰を求めることができます。
刑事告訴を申し立てる際は、投稿者が誰か分かっていることが前提です。このため、前述の「発信者情報開示請求・発信者情報開示命令」の手続きをする必要があります。加害者が特定できたら、捜査機関に対して処罰を求める手続きをします。これを「刑事告訴」と呼びます。
誹謗中傷口コミを刑事告訴する流れ
ここでは、誹謗中傷口コミを刑事告訴する基本的な流れを解説します。
弁護士に誹謗中傷を相談する
↓ 誹謗中傷の証拠を集める ↓ 発信者情報開示請求/命令の手続きをする ↓ 警察に告訴状を提出する(刑事告訴) ↓ 加害者の逮捕や事件の捜査が行われる ↓ 検察が起訴・不起訴を判断する ↓ 刑事裁判にて有罪・無罪や刑罰の判決がなされる |
インターネット上の犯罪は匿名で行われることが多く、刑事告訴前に加害者の特定をしなければなりません。刑事告訴の際には証拠を揃える必要もあり、被害者の負担が大きくなることが予想されます。あらかじめ弁護士を立てて行うのが一般的です。
誹謗中傷口コミで問われる罪
刑法上、「誹謗中傷罪」という犯罪は存在しません。誹謗中傷の口コミは、名誉毀損罪や侮辱罪、信用毀損罪・業務妨害罪に該当する可能性が高いです。
具体的にどの犯罪に該当するかは「構成要件」を元に判断していきます。こうした判断は法的知識が不可欠となるため、弁護士に相談しておくと安心です。ここでは、名誉毀損罪や侮辱罪、信用毀損罪・業務妨害罪の構成要件や口コミ例をご紹介します。
名誉毀損罪
名誉毀損罪が成立するには、「公然性があること」「事実を指摘していること」「社会的な評価を低下させたこと」の3つの構成要件を満たす必要があります。事実の指摘とは、具体的な内容を指摘していることを指し、その内容の真偽は問われません。
具体的には次のような口コミが挙げられます。
- A会社の社長は秘書のBさんと不倫関係にある。
- レストランCの食材は全て国産だと謳っているが、実際は東南アジア産だ。
名誉毀損罪の刑罰は3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金です。
侮辱罪
侮辱罪が成立するには、「公然性があること」「社会的な評価を低下させたこと」の2つの構成要件が求められます。名誉毀損罪との違いは事実の指摘の有無です。このため、主観的な悪口でも侮辱罪が成立する余地があります。
具体的には次のような口コミが挙げられます。
- A店のチャーハンは不味すぎる。最低の店だ。
- B会社の人事部のCさんはキモい
侮辱罪が成立すると、1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金、拘留、科料が科されます。
信用毀損罪・業務妨害罪
信用毀損罪・業務妨害罪の構成要件は「虚偽の内容を広めること」「他人の不知を悪用したこと」「社会的な信用や評価を低下させた/業務を妨害したこと」です。嘘の口コミによって大きな損害を受けた場合、相手に対して信用毀損罪や業務妨害罪を問える可能性があります。
具体的には次のような口コミが挙げられます。
- A店では賞味期限切れの食材を料理に使っている。
- B病院は医療ミスをお金の力でもみ消している。
信用毀損罪・業務妨害罪では3年以下の懲役刑、または、50万円以下の罰金刑が科されます。
対処方法4:誹謗中傷が含まれた口コミの削除を要請する
損害賠償請求や刑事告訴によって加害者の責任を問うよりも、口コミを削除して損害を抑えたいと思われる方も多いでしょう。この場合、プロバイダ責任制限法に基づいて送信防止措置依頼書を送付し、口コミの削除を要請する方法があります。
送信防止措置依頼書は裁判外の手続きとなるため、比較的被害者の負担が少なく済みます。ただし、実際に削除するかどうかは、誹謗中傷口コミが投稿されたサイト管理者の判断に委ねられています。削除に至らない場合、改めて裁判上の仮処分命令を申し立てる必要があります。
ここでは、送信防止措置依頼書と仮処分の流れを解説します。
送信防止措置依頼書
口コミの削除を要請するには、まずコンテンツプロバイダに対して送信防止措置依頼書を送付します。サイト管理者が独自にフォーマットを用意していることもありますが、一般的には、「プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト」からダウンロードして作成します。
送信防止措置依頼書には、主に次のような内容を記載します。
- 被害者の個人情報(氏名・住所・連絡先など)
- 誹謗中傷口コミの掲載場所
- 掲載内容
- 侵害された権利、その理由
依頼を受けたコンテンツプロバイダは実際の対処を判断します。送信防止措置までにはおおむね1カ月程度かかることが多いようです。
仮処分命令の申立て
送信防止措置依頼書では誹謗中傷口コミの削除に至らなかった場合、裁判所に仮処分命令を申し立てる方法があります。そもそもコンテンツプロバイダの対応が望めない場合には、送信防止措置依頼書をスキップして仮処分をすることも可能です。
通常の民事訴訟よりも仮処分までの期間が短く済むため、なるべく早急に口コミを削除したい方に向いています。早ければ数週間ほどで結果が出ます。
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