この記事ではインスタのなりすましの目的となりすましの対処方法について解説しています。
インスタ上でなりすましの被害に遭いました。犯人は何を考えているのでしょうか?
常識的に考えて目的が想像しにくい行為ですよね。とりわけ芸能人の被害が多かったのですが、最近は一般人を対象とするケースも増えてきた印象を受けます。
今回はそのインスタなりすまし犯の「心理」と「なりすまし対策」について解説していきます。
なりすましに対する不安を解消して、冷静に対処していきましょう。
インスタの「なりすまし」の特徴
インスタ上でのなりすましの特徴としては、
- 他人になりますして本人アカウントの写真を転載して投稿する
- 営利目的のメッセージが送られてくる
- なりすましたうえで、悪意のある写真を公開して本人や他者に対する誹謗中傷を行う
といったものがあります。
もちろん上記に当てはまらないものでも、なりすましと見なせる場合があるでしょう。
インスタの「なりすまし」には2つの意味合いがあります。
- その1:類似のアカウントを作成する行為
- その2:アカウントの乗っ取り行為
いずれも他人になりすます行為には変わりはありませんが、どちらの行為に当てはまるかで今後対応が若干変わりますので注意しましょう。
いわれてみれば、「なりすまし」には2種類ありますね。
まずはみなさんがどのような「なりすまし」被害を受けたのか整理して、上記のどちらに当てはまるか押えておきましょう。
インスタなりすましの目的は何なのか
目的がわからないほど怖いものはありません。
まずはなりすまし犯の目的を理解しておくことが冷静な対処への第一歩となります。
インスタ上のなりすまし(一般人)の目的は大きく分けて3つに分けることが可能です。
目的その1:嫌がらせ・誹謗中傷
「なりすました本人」「特定の人物」「不特定多数」などへの嫌がらせや誹謗中傷のためになりすますパターンです。攻撃的・挑発的な内容の投稿やあえて誤解を誘導するような発言が目立ちます。
目的その2:詐欺
ギフトカードを購入させて残高追加用のコード番号を要求する行為(ギフトカード詐欺)やクレジットカード情報、振込詐欺など「詐欺」目的で利用する場合があります。
なりすました本人の顔写真などを流用し、本人の名声や評判を悪用して詐欺を行う卑劣な行為です。
目的その3:憧れの人間への「なりきり」
羨望の眼差しの対象となるのは女優や俳優などといった芸能人だけではありません。撮影技術や写真加工アプリの向上で、インスタ上では一般人であっても芸能人のような人気を誇る方は多数存在します。
そのため、「なりすまし」と一概に言っても、インスタ上で写真投稿に惹かれた方が、心理学的に「同一化(同一視)」を行っている可能性があります。
同一化(同一視)とは、実現できない欲求をその欲求を実現している他人と同一に見立てることで他人の状況を自分のことのように思うという心理学の用語です。
つまり、他人の真似をして自分の欲求を満たそうとしているわけですね。身近なところで例えれば「好きなアーティストと同じ衣装を着る」「好きな人の仕草を真似する」などです。
ゆえに、その延長線上で「インスタ上で他人と同様のアカウントを作成し、その人物になりきる」という目的でなりすましを行うという状況は十分に考えられます。
もちろん同一視自体は人間なら誰にでもあり得る心理学的行動ですし、明確な悪意があるわけではありません。
しかし、結果的には迷惑行為と感じる方もいるでしょう。なりすましている本人は自覚していなくても、なりすまされた側では迷惑行為と見なせるケースもあります。
投稿内容がなりすました相手の勘違いを誘発するような発言であれば、嫌がらせ・誹謗中傷とみなして対処できます。
これを対処するかどうかはみなさんの良心次第となります。
インスタなりすましは「犯罪」です
インスタ上でのなりすまし行為は「犯罪行為」と見なすことが可能です。
例えば、以下のような犯罪とみなすことが可能です。
悪口・勘違い誘発など「名誉毀損・侮辱」
なりすましアカウントから嫌がらせ・誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損・侮辱に該当する可能性があります。
まず「名誉毀損」とは、不特定多数が閲覧できる場所で他人の名声・地位・評価などを損なう情報を公開する行為を指します。
人格を否定するような発言が該当します。
例えば、
- 特定の人物の誹謗中傷を含む情報の公開している場合
- なりすましアカウントで、なりすまされた側が「犯罪者」や「詐欺師」などに勘違いされるような情報を投稿・公開している場合
が該当します。
問題の情報が「投稿」という形でインスタ上で他のユーザーが閲覧できる状況であれば「公開」の条件を満たします。
しかし、DMなど1対1というクローズドなサービス上では条件を満たさず、名誉毀損は成立しませんので注意しましょう。
その名誉毀損を定める条文は以下の通りです。
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
※刑法第二百三十条
赤字部分が名誉毀損の成立条件となります。名誉毀損が成立すれば刑法で裁かれ、3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金となります。
また、名誉毀損では特定の人物への名誉を傷つける文脈や表現、写真などが必要でした。しかし「侮辱」の場合は異なり、成立条件は不特定多数が閲覧できる場所で特定の人物を辱めることです。
例えば、「馬鹿」や「死ね」などの投稿内容でも侮辱に該当する可能性があります。そのため、名誉毀損よりは成立しやすいとされています。
(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
※刑法第二百三十条
インスタ上で名誉毀損・侮辱発言は犯罪行為ですが、「親告罪」といって被害の発生を警察に申告する必要がある犯罪となっています。
アカウント乗っ取り「不正アクセス禁止法違反」
「なりすまし」には「他人のアカウントの模倣」だけではなく「アカウントの乗っ取り」という意味合いも含まれますが、こちらは違法行為です。
ID・パスワードを入力してインスタアカウントを乗っ取る行為は「不正アクセス」と呼ばれ、「不正アクセス禁止法」により、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
こちらは名誉毀損のように親告罪ではありませんので、絶対に申告が必要というわけではありません。しかし、警察に親告罪を提出し、不正アクセス発生の事実を認知させると良いでしょう。
本人顔写真の不正利用「肖像権侵害」
SNS上でのなりすまし行為は、本人アカウント上に公開されている顔写真などを不正に転用しているケースが多いです。
とりわけインスタのように「画像コンテンツ」に特化したSNSではその傾向が強くなります。
自分の容姿の一部・全部が映っている写真を勝手に公表する行為は、肖像権の侵害となり権利侵害(人権侵害)です。権利侵害が発生している場合は、民事で損害賠償(慰謝料)の請求が可能となります。
七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
※民法第七百九条
慰謝料については以下の記事で詳しく紹介していきます。
不当に金銭を要求する行為「詐欺罪」
なりすましアカウントで不当に金銭を要求した場合、「詐欺罪」に該当します。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
※刑法第二百四十六条
詐欺罪は特殊で、欺いて金銭を得ようと発言した時点で(詐欺が未遂であっても)罪と見なされる珍しいケースです。未遂でも犯罪が成立するいわゆる「未遂罪」となります。
インスタ上のDMを利用して明らかに詐欺として声をかけられた場合、詐欺罪として警察に被害届を出しましょう。
インスタなりすましへの対処・対策方法
ここまでの内容を踏まえて、インスタ上で発生したなりすましに対処していきましょう。再発防止に向けた対策もあわせて紹介します。
インスタ上でなりすまし行為は明確な規約違反
インスタの利用規約では利用者が何らかの規約違反行為を行った場合、アカウントの終了・停止(削除)をすると定めています。
コンテンツや情報が本利用規約や弊社のポリシー(Instagramコミュニティガイドラインを含む)に違反していると弊社が判断した場合 (中略) 当該コンテンツや情報を削除 (中略) すべてまたは一部のサービスの提供を直ちに拒否または停止することができます(アカウントの終了や停止を含む)。
引用Instagramヘルプセンター「コンテンツの削除およびアカウントの停止または終了」『利用規約』※赤太字加工
このように削除対応が可能であり、場合によってはアカウントの削除も可能であることが分かります。
また、同規約では「Instagramで禁止されている行為」として、以下のように明瞭になりすまし行為を禁止する条文があります。
他人へのなりすましや不正確な情報の提供は禁止されています。
Instagramでは、利用者ご自身の身元を開示していただく必要はありませんが、弊社に対しては、正確かつ最新の情報(登録情報を含む)を提供していただく必要があります。他人へのなりすましは禁止します。また、本人から明示的な許可を得ない限り、他の人のアカウントを作成することはできません。
引用Instagramヘルプセンター「Instagramで禁止されている行為」『利用規約』※赤太字加工
つまり、なりすまし行為はインスタの規約違反であり、報告さえすればアカウントを削除させることが可能です。
なりすましへの対処1:アカウントを「報告」
「なりすまし」はインスタの規約違反行為ですので、運営がアカウントを削除する可能性が高いです。まずはなりすましの存在を運営に知らせましょう。その機能が「報告」です。
アプリでインスタをご利用の方は以下の手順でアカウントを報告しましょう。
- STEP1プロフィールを開く問題の投稿などからなりすましアカウントのプロフィールへ移動、右上の三点をタップしてメニューを開き「報告する」をタップ
- STEP2なりすましアカウントとして報告「不適切である」「アカウントを報告」「なりすましアカウントである」を連続でタップ、このアカウントを報告する理由は適切なものを選択して「報告を送信」をタップ
たったの2ステップで報告が完了しますので、アプリでの報告がおすすめです。
なりすましへの対処2:犯人を特定
なりすまし犯が誹謗中傷による「名誉毀損(名誉権侵害)」顔写真の無断利用による「肖像権侵害」を行っている場合は、法的になりすまし犯の特定が可能になります。
その根拠となる法律が「プロバイダ責任制限法」です。
この法律では、ネット上で権利侵害が発生した際に犯人の情報(発信者情報)の開示請求ができると定めています。
この開示請求をもとに、まずはInstagramからなりすましアカウントのIPアドレスとタイムスタンプを取得、その情報を元に犯人が利用するプロバイダを特定、プロバイダに対して犯人の契約情報(個人情報)を開示させます。
詳しい流れは以下の記事で紹介しています。
まずは開示請求に強い弁護士になりすまし犯の特定を相談してみましょう。
なりすましアカウントが削除されない場合
こういった削除の依頼は1週間程度はかかりますが、それ以外待ってもなりすましアカウントが削除されない場合は、インスタのなりすまし報告専用フォームからも依頼してみましょう。
- STEP1フォームを開く
- STEP2必要事項選択「状況を一番よく表しているものを選んでください。」は「誰かが私または友達になりすましたアカウントを作成した」を選択、「このアカウントはあなたになりすましていますか?」は「Yes, I am the person being impersonated」を選択
- STEP3必要事項記入「氏名」「メールアドレス」「報告するアカウントに記載された氏名」「報告したアカウントのInstagramユーザーネーム」に必要事項を記入、本人確認書類をアップロードする(注意事項要チェック)
- STEP4送信追加情報にアカウントなりすましの経緯や状況をわかる範囲で書き込み、内容に誤りがなければ「送信」
この方法が利用できる条件は自分がなりすましの対象となった場合のみです。当事者以外がなりすましを発見した場合は、DM等を利用してなりすまされた方に「なりすまし」の事実を報告しましょう。
この方法でも失敗する場合、削除は不可能と判断されたということになります。
基本的にはここで諦めるほかありません。ただし、名誉毀損(名誉権侵害)や肖像権侵害など人権侵害が発生している場合は、法律に基づいて問題となるコンテンツの強制的な「削除」の手続きができます。
権利侵害が発生しているとしてプロバイダ責任制限法に基づき、Instagramの日本法人である「フェイスブックジャパン株式会社」に「送信防止措置依頼書」を提出しましょう。
対策方法:なるべく個人情報を出さない姿勢を
なりすまされないように実名を初めとした「個人情報」はインスタ上でなるべく公開しないようにしましょう。
幸いインスタ上では写真コンテンツがメインとなり、文字による情報が伴わなければ個人情報を知るとしても視覚的な情報に頼るほかありません。
また、投稿を非公開にして、親しい間柄にのみ投稿を公開するという設定にしておくのもありでしょう。
とにかく「うっかり個人情報を与えてしまう」という機会を減らすように努めてみましょう。
まとめ
この記事で紹介したことを参考にして、インスタ上でのなりすまし行為の実情を把握して、適切な対処方法でアカウントを「報告」していきましょう。
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