
SNS上では近年、個人間のトラブルやDMのやり取り、写真などをフォロワーから募集し、それを投稿して公開する、いわゆる「晒しアカウント」が目立つようになっています。「迷惑行為の告発」「注意喚起」といった名目を掲げていても、実際には本名や顔写真、勤務先まで掲載され、本人の知らないところで一方的に「晒し者」にされてしまうケースが少なくありません。
晒しアカウントによる被害が通常の誹謗中傷と大きく異なるのは、情報が広がる経路です。情報提供者が晒しアカウントに情報を送り、晒しアカウントがそれを公開し、さらに閲覧者が引用や転載で拡散していくという複数段階の流れがあるため、ひとつの投稿を削除しただけでは被害が収まらないことが多いのです。フォロワー数の多い晒しアカウントに載せられると、短時間のうちに多くの人の目に触れ、スクリーンショットとして半永久的に残ってしまうおそれもあります。
本記事では、晒しアカウントの仕組みや、DM・LINEのスクリーンショット公開、個人情報の掲載がどのような権利侵害にあたるのかを整理したうえで、投稿単位での削除申請、アカウント自体への通報、転載や検索結果への対処、投稿者の特定を検討すべきケースまで、具体的な対応方法を順を追って解説します。晒しアカウントに載せられて不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
晒しアカウントとは?通常の誹謗中傷と異なる拡散の仕組み

この章では、晒しアカウントがどのような目的・手口で運営されているのか、そしてなぜ通常の誹謗中傷よりも被害が広がりやすいのかを整理します。晒しアカウントの最大の特徴は、投稿者本人ではなく「情報提供者」が存在し、情報提供者→晒しアカウント→閲覧者という複数の段階を経て情報が拡散する点にあります。この構造を理解しておくことが、どこに、どの順番で削除や通報を行うべきかを判断するための前提になります。
晒しアカウントの特徴と「情報募集」の手口
晒しアカウントとは、特定の個人のトラブルや言動、やり取りの内容などを公開し、不特定多数の閲覧者に「晒す」ことを主な目的として運営されているSNSアカウントのことです。X(旧Twitter)やInstagram、TikTok、Threadsなど、さまざまなプラットフォームで見られます。
多くの晒しアカウントに共通しているのが、プロフィール欄や固定投稿で「DMで情報提供受付中」「晒してほしい人の情報を募集」などと呼びかけ、第三者から情報を集めている点です。寄せられた情報は、提供者の名前を伏せたうえで、晒しアカウントの投稿として公開されます。
また、「迷惑行為の告発」「被害者のための注意喚起」「暴露系」といった名目を掲げているケースも少なくありません。一見すると正義感や公益性を装っているため、閲覧者も「悪いことをした人が晒されているだけ」と受け止めやすく、拡散や誹謗中傷に加担しているという意識が薄れやすい点が問題です。
さらに、晒しアカウントの中には、閲覧数やフォロワー数を増やすこと自体を目的として、事実確認をしないまま情報を掲載しているものもあります。情報提供者の一方的な言い分だけがそのまま公開され、晒された側の反論や事情はまったく考慮されないことが大半です。
情報提供者・晒しアカウント・閲覧者による多段階の拡散
通常の誹謗中傷では、書き込みをした本人がそのまま投稿者となり、その投稿が拡散していくという比較的単純な構造です。これに対して晒しアカウントの場合は、次のような複数の段階を経て情報が広がっていきます。
・情報提供者:晒された人と実際にトラブルになった相手や、元交際相手、知人などが、DMやスクリーンショット、写真を晒しアカウントに送る
・晒しアカウント:送られてきた情報に煽り文句やコメントを添えて、自分のアカウントから公開する
・閲覧者:投稿を見た人がリポストや引用、スクリーンショットの保存・転載を行い、さらに別のSNSやまとめサイトへと広げていく
このように関与する人物が段階ごとに異なるため、晒しアカウントの投稿を1件削除できたとしても、情報提供者の手元には元データが残り、閲覧者による転載も各所に残り続けるという状況が生まれます。
また、晒しアカウントは多くのフォロワーを抱えていることが多く、ひとつの投稿が短時間で大量に拡散されやすい点も特徴です。晒された本人が気づいたときには、すでに複数のアカウントやサイトに転載されていたというケースも珍しくありません。削除や通報を行う際には、「元の投稿」だけでなく、どの段階でどこに情報が広がっているのかを把握する視点が欠かせません。
晒しアカウントに載せられやすいトラブルの具体例
晒しアカウントに掲載される情報は多岐にわたりますが、典型的なものとしては次のようなケースが挙げられます。
・恋愛・交際トラブル:元交際相手とのLINEやDMのやり取り、別れ話の経緯などが「浮気された」「ひどい別れ方をされた」といった形で公開される
・フリマアプリやネット取引のトラブル:取引相手とのメッセージ画面やアカウント名が「悪質な出品者」「詐欺まがい」として晒される
・アルバイト先や職場での出来事:店舗での接客態度や同僚とのトラブルが、店名や勤務先とともに投稿される
・飲食店・公共の場での迷惑行為とされる動画や写真:本人の顔がはっきり写った状態で「迷惑客」「マナー違反」として拡散される
・SNS上の言い争い:過去の投稿やリプライのスクリーンショットが、前後の文脈を省いた形で切り取られて公開される
これらに共通するのは、当事者間の個人的なトラブルであったにもかかわらず、一方の言い分だけが不特定多数に向けて公開されてしまうという点です。たとえ本人に何らかの落ち度があったとしても、本名や顔写真、勤務先まで晒されたり、過剰な誹謗中傷を受けたりすることが正当化されるわけではありません。
晒された内容によっては、プライバシー侵害や名誉毀損などの権利侵害として、削除を求められる可能性があります。次章では、晒し投稿が具体的にどのような権利侵害にあたるのかを詳しく見ていきます。
晒し投稿はどのような権利侵害にあたるのか

この章では、晒しアカウントの投稿が法的にどのような問題になり得るのかを整理します。削除申請や通報では、「どの権利が侵害されているのか」を具体的に示すことが、対応を受けられるかどうかを大きく左右します。単に「不快だから消してほしい」と伝えるよりも、プライバシー侵害、肖像権侵害、名誉毀損など、該当する権利侵害を明確にしたほうが、プラットフォーム側も判断しやすくなります。
DMやLINEのスクリーンショット公開は問題になるのか
DMやLINEは、特定の相手との間だけでやり取りすることを前提としたメッセージです。そのため、相手の同意なく内容をスクリーンショットで公開する行為は、プライバシー侵害にあたる可能性があります。
プライバシー侵害が認められるかどうかは、一般に、公開された内容が私生活上の事柄であること、一般の人であれば公開を望まない内容であること、まだ広く知られていない内容であることなどを踏まえて判断されます。恋愛関係のやり取りや家族の事情、体調に関する話題など、私的な内容を含むメッセージであれば、これらに当てはまる可能性は高いといえます。
特に問題が大きいのは、次のようなケースです。
・アイコンやアカウント名、LINEの表示名が写り込んでおり、誰のメッセージかが特定できる
・私的なやり取りの一部だけを切り取り、本人が悪者に見えるような説明文を付けて公開している
・メッセージ内に電話番号や住所、勤務先など、個人を特定できる情報が含まれている
一方で、被害の事実を示すために必要な範囲で、相手を特定できる情報を伏せて公開した場合などは、違法性が否定されることもあります。ただし晒しアカウントの投稿は、名前やアイコンを伏せずに攻撃的なコメントを添えていることが多いため、権利侵害と判断されやすい傾向にあります。
本名・顔写真・勤務先などを掲載された場合
晒し投稿の中でも特に深刻なのが、本名や顔写真、勤務先、学校名、住んでいる地域などを掲載されるケースです。
本名や勤務先、住所などの個人情報をみだりに公開されることは、プライバシー侵害にあたる可能性が高いと考えられます。職場への嫌がらせや実生活での危害につながる危険もあるため、早急な対応が必要です。
顔写真については、本人の許可なく容姿を撮影・公開されない権利として「肖像権」の侵害が問題になります。店内や公共の場で無断撮影された写真や動画、本人のSNSから無断で転載された写真などが該当します。また、本人が撮影した写真を無断で使われた場合は、写真の著作権侵害として削除を求められる場合もあります。著作権侵害は多くのSNSで専用窓口が用意されています。
さらに、各プラットフォームの利用規約でも、本人の同意なく個人情報を公開することは禁止行為として定められているのが一般的です。法的な判断を待たなくても、規約違反として削除や凍結の対象となる可能性があるため、通報の際は規約違反である点も明記するとよいでしょう。
名誉毀損・侮辱が成立するケースと成立しにくいケース
晒し投稿に「詐欺師」「不倫している」「犯罪者」など、社会的評価を下げる内容が含まれている場合は、名誉毀損が問題になります。名誉毀損は、具体的な事実を示して、公然と人の社会的評価を低下させた場合に成立し得ます。
ここで注意したいのは、書かれた内容が真実であっても、名誉毀損が成立する可能性があるという点です。違法性が否定されるのは、公共の利害に関する事実であり、公益を図る目的があり、内容が真実である(または真実と信じる相当な理由がある)といった条件を満たす場合に限られます。一般人の私的なトラブルは公共の利害に関わる事実とはいえないことが多く、「真実だから晒してもよい」ということにはなりません。
また、具体的な事実を示さずに「気持ち悪い」「頭がおかしい」などと罵倒するような投稿は、侮辱にあたる可能性があります。侮辱罪は2022年の法改正で厳罰化されており、ネット上の悪質な書き込みに対しては刑事責任が問われる場面も増えています。
一方で、晒し投稿の中でも次のようなケースは、権利侵害が認められにくい場合があります。
・名前や写真などが伏せられており、投稿を見ても誰のことか特定できない
・社会的評価を下げるとまではいえない、軽い感想や意見にとどまっている
・公人や企業の公的な活動に対する正当な批判である
特に、「誰のことか特定できるか(同定可能性)」は、削除の可否を判断するうえで重要なポイントです。本名が書かれていなくても、アイコンや職場、周囲の人から見て本人とわかる情報があれば、特定可能と判断されることがあります。削除申請の際は、どの情報から本人と特定できるのかを具体的に説明しましょう。
晒し投稿・晒しアカウントへの削除申請と通報の方法

この章では、実際に晒しアカウントに載せられたときの具体的な対応手順を解説します。最初に行うべきは証拠の保存であり、そのうえで「投稿単位の削除申請」と「アカウント単位の通報」を並行して進めるのが基本です。晒しアカウントは複数の人を継続的に晒していることが多いため、個別の投稿を消すだけでなく、アカウント自体の凍結を求める視点も重要になります。
削除申請の前に行うべき証拠の保存
晒し投稿を見つけると、すぐに削除してほしいと考えるのは当然です。しかし、削除されてしまうと、後から発信者情報開示請求や損害賠償請求を行う際の証拠がなくなってしまいます。削除申請や通報の前に、必ず次の情報を記録しておきましょう。
・投稿のスクリーンショット:投稿本文、画像、投稿日時、アカウント名、ユーザーID(@から始まる文字列)が写るように撮影する
・投稿のURL:投稿ごとの個別URLをコピーしてメモしておく
・アカウントのプロフィール画面:「情報提供募集」などの記載やフォロワー数がわかるように保存する
・引用・リプライ・転載の状況:拡散されている投稿のURLやスクリーンショットもまとめておく
パソコンのブラウザで投稿を開き、URLと日時が同時に表示された状態で保存すると、証拠としての信頼性が高まります。
なお、証拠保存のために晒しアカウントをフォローしたり、DMで連絡したりする必要はありません。直接抗議すると、そのやり取り自体が新たに晒されるおそれがあるため、感情的な接触は避けることが大切です。
投稿単位で削除申請する方法(X・Instagram・TikTok・Threads)
主要なSNSでは、個別の投稿ごとに報告(通報)できる機能が用意されています。代表的な手順は次のとおりです。なお、画面の表記や手順はアップデートにより変更されることがあるため、各サービスのヘルプページもあわせて確認してください。
・X(旧Twitter):投稿右上の「…」から「ポストを報告」を選び、該当する理由を選択します。個人情報の無断公開については、ヘルプセンターにプライバシー侵害を報告するための専用フォームも用意されています
・Instagram:投稿右上の「…」から「報告」を選び、理由を選択します。自分の写真や個人情報が無断で使われている場合は、ヘルプセンターのプライバシー侵害に関する報告フォームも利用できます
・TikTok:動画を長押しするか、共有ボタンから「報告する」を選び、理由を選択します。アカウントを持っていない場合でも、ヘルプセンターの報告フォームから申請できる場合があります
・Threads:投稿右上の「…」から「報告する」を選択します。ThreadsはInstagramと同じMeta社のサービスのため、Metaのプライバシー関連の報告窓口も参考になります
申請時には、「本人の同意なく私的なメッセージが公開されている」「本名と勤務先が掲載され、個人が特定されている」など、どの権利がどのように侵害されているのかを具体的に記載することが大切です。
また、2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)により、一定規模以上の大規模プラットフォーム事業者には、削除申出の窓口整備や、一定期間内に対応結果を通知することなどが義務付けられました。X、Meta(Instagram・Facebook・Threads)、TikTokなど主要なSNSの運営会社も対象に指定されており、以前よりも迅速な対応が期待できる環境が整いつつあります。
アカウント自体を通報して凍結・停止を求める方法
晒しアカウントは、特定の1人だけでなく、募集した情報をもとに多くの人を継続的に晒していることがほとんどです。そのため、個々の投稿を削除するだけでは、別の投稿で再び晒されたり、同じアカウントで新たな被害者が生まれたりするおそれがあります。
アカウント自体を通報する場合は、プロフィール画面の「…」メニューから「報告」や「アカウントを報告」を選択します。その際には、次のような点を伝えると効果的です。
・プロフィールや固定投稿で、個人情報や私的なやり取りの提供を募集していること
・複数の投稿で、第三者の個人情報や写真を繰り返し無断公開していること
・特定の個人に対する嫌がらせや誹謗中傷を目的としたアカウントであること
各プラットフォームでは、利用規約において嫌がらせや個人情報の無断公開を禁止しており、繰り返し違反しているアカウントは、投稿の削除だけでなくアカウントの一時停止や永久凍結の対象になることがあります。
なお、凍結されても運営者が新しいアカウントで活動を再開するケースもあるため、凍結後もしばらくは再掲載がないか確認しておくと安心です。
引用・転載・検索結果まで拡散した場合の対処

この章では、晒し投稿が晒しアカウントの外にまで広がってしまった場合の対処法を解説します。晒しアカウントの被害では、元の投稿を削除できても、引用投稿やスクリーンショットの転載、まとめサイト、検索結果などに情報が残り続けることが少なくありません。拡散先ごとに削除の窓口や方法が異なるため、優先順位をつけて一つずつ対応していくことが重要です。
引用リポストやスクリーンショット転載された投稿の削除
SNS上の拡散には、大きく分けて次の3つの形があります。
・単純なリポスト(リツイート):元の投稿がそのまま共有される形式で、元の投稿が削除されれば、リポストも表示されなくなるのが一般的です
・引用リポスト:元の投稿にコメントを付けて共有する形式で、引用した側のコメントは独立した投稿として残ります
・スクリーンショットによる転載:晒し投稿を画像として保存し、別のアカウントから投稿し直す形式で、元の投稿が削除されても画像はそのまま残ります
このうち、引用リポストのコメントに誹謗中傷が含まれている場合や、スクリーンショットで転載されている場合は、それぞれの投稿について個別に削除申請が必要になります。
特にスクリーンショットでの転載は、元の晒し投稿と同じ権利侵害を含んでいることが多いため、元の投稿と同様の理由で削除を求めることができます。申請の際は、「削除済み(または削除申請中)の晒し投稿を画像で転載したものである」と説明すると、状況が伝わりやすくなります。
なお、他人の投稿を単にリポストしただけでも、名誉毀損の責任を認めた裁判例があるため、拡散に加担した閲覧者も無関係とはいえません。
まとめサイトや他SNSへの二次拡散への対応
注目を集めた晒し投稿は、まとめサイトや匿名掲示板、別のSNSなどに転載されることがあります。これらのサイトに対しては、次のような方法で削除を求めます。
・サイト内の問い合わせフォームや削除依頼窓口:多くのまとめサイトや掲示板には、削除依頼の専用窓口が設けられています
・サイト運営者の連絡先が不明な場合:サイトが利用しているレンタルサーバー会社やドメイン管理会社に対して、送信防止措置(削除)を依頼する方法があります
・総務省の「違法・有害情報相談センター」:削除依頼の方法や窓口がわからない場合に、相談して助言を受けることができます
また、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する「誹謗中傷ホットライン」では、誹謗中傷にあたる投稿について、同協会からプラットフォーム事業者等へ利用規約に基づく削除などの対応を促す連絡を行っています。自分で申請しても対応されない場合の選択肢として知っておくとよいでしょう。
Google検索結果やサジェストに残った場合の対策
晒し投稿が拡散すると、自分の名前で検索したときに、晒し投稿や転載ページが検索結果に表示されることがあります。この場合の対処法は次のとおりです。
まず、元のページが削除されている場合は、Googleの「古いコンテンツの削除」ツールを使って、検索結果に残っている古い情報の更新を申請できます。
次に、元のページが削除されていない場合でも、住所や電話番号、メールアドレスなどの個人情報が掲載されているときは、Googleの個人情報削除リクエストを利用して、検索結果からの削除を求められる場合があります。また、Googleには法的な理由によるコンテンツの削除を申請する窓口もあり、名誉毀損などの権利侵害を理由に申請することも可能です。
さらに、名前を検索したときに「〇〇 晒し」「〇〇 勤務先」などの関連キーワードが検索候補(サジェスト)に表示される場合は、Googleの検索候補に関するフィードバック機能やヘルプページの報告窓口から、不適切な予測として報告することができます。
ただし、検索結果から消えても元のページ自体が消えるわけではないため、元のページへの削除申請と並行して進めることが大切です。
投稿者・情報提供者の特定と再発防止

この章では、晒しアカウントの運営者や情報提供者の責任、そして投稿者を特定するための手続きについて解説します。削除だけでは被害が収まらない場合や、損害賠償を求めたい場合には、発信者情報開示請求によって投稿者を特定することが選択肢になります。あわせて、被害を広げないための初動対応と、晒しアカウントの標的にならないための予防策も紹介します。
情報提供者と晒しアカウントの関係と責任の考え方
まず、実際に投稿を公開した晒しアカウントの運営者は、投稿内容がプライバシー侵害や名誉毀損にあたる場合、その責任を直接負うことになります。「提供された情報を載せただけ」「注意喚起のため」という言い分があっても、責任を免れるわけではありません。
次に、情報提供者についても、晒しアカウントで公開されることを知りながらDMやスクリーンショットを送った場合には、晒し投稿に加担したとして責任を問われる可能性があります。特に、晒しアカウントが「晒す目的で情報を募集している」ことを承知で情報を提供した場合は、公開による被害を予見できたと考えられます。
ただし、情報提供者を特定するのは容易ではありません。情報提供者から晒しアカウントへのDMは、不特定多数に向けた発信ではないため、原則として発信者情報開示請求の対象になりません。そのため、まずは晒しアカウントの運営者を特定し、その後の交渉や裁判の中で、情報の入手経路を明らかにしていくという流れになることが一般的です。
発信者情報開示請求を検討すべきケース
発信者情報開示請求とは、匿名の投稿者について、プラットフォーム事業者や通信事業者に対して、氏名や住所などの情報の開示を求める手続きです。2022年10月の法改正により、「発信者情報開示命令」という裁判所の手続きで、以前よりも迅速に投稿者を特定できる仕組みが導入されました。
次のようなケースでは、発信者情報開示請求を検討する価値があります。
・削除申請をしても対応されない、または削除されても新しいアカウントで晒しが繰り返されている
・本名や勤務先が晒されたことで、職場に嫌がらせの連絡が来るなど、実生活に具体的な被害が生じている
・精神的な苦痛が大きく、損害賠償請求によって責任を追及したい
・名誉毀損罪や侮辱罪などで刑事告訴を検討している
注意したいのは、通信事業者が保存している接続記録(ログ)の保存期間が、数か月程度に限られていることが多い点です。この期間を過ぎると投稿者の特定が困難になるため、特定を考えている場合は、できるだけ早く専門家に相談することが重要です。
また、名誉毀損罪や侮辱罪は、被害者が告訴しなければ起訴されない親告罪であり、原則として犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要がある点にも注意が必要です。開示請求には費用と時間もかかるため、専門家と相談しながら進めましょう。
被害を広げないための初動対応と予防策
晒しアカウントに載せられたことに気づいたときは、次の手順で落ち着いて対応しましょう。
・晒しアカウントや情報提供者と思われる人物に、直接抗議や反論をしない
・投稿のスクリーンショットとURLを保存し、証拠を確保する
・晒し投稿とアカウントを、各プラットフォームに通報する
・自分のSNSアカウントを一時的に非公開にし、プロフィールから勤務先や学校名などの情報を削除する
・被害が深刻な場合は、早めに専門家や公的な相談窓口に相談する
本人が感情的に反論すると、その反論自体が再び晒され、かえって拡散が加速してしまうことがあります。まずは削除と通報を優先しましょう。
また、晒しアカウントの標的にならないためには、日頃から次のような点を意識しておくことが大切です。
・DMやLINEでは、相手に公開されても困らない内容かどうかを意識してやり取りする
・SNSのプロフィールや投稿に、本名、勤務先、学校名、最寄り駅など、個人の特定につながる情報を載せない
・自分の名前やアカウント名で定期的に検索し、晒し投稿がないかを早期に発見できるようにする
晒しアカウントによる被害は、発見が遅れるほど拡散が進み、完全な削除が難しくなります。「早期発見・証拠保存・投稿とアカウント両面での削除申請」の3つを意識して、被害を最小限に抑えましょう。自分だけで対応するのが難しいと感じた場合は、一人で抱え込まず、法務省の「みんなの人権110番」や総務省の「違法・有害情報相談センター」、ネット上の削除対応に詳しい専門家などに相談することも検討してください。


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