「SNSを利用したら炎上してしまった」という話は最近よくきくようになりましたね。炎上を目にする方も多いでしょうし、自分のアカウントが炎上したという方もいるでしょう。
今回は「ネット炎上」の概要やメカニズム、簡単な対処や対策など基本的な部分について押さえていきましょう。
ネット炎上には個人に対するものと企業に対するものがありますが、企業のネット炎上は以下の記事でも解説していますのでぜひご参照くださいませ。
『ネット炎上』とは
ネット炎上とは、ネット上の特定のユーザーの特定の投稿内容について多くのユーザーがバッシングし、非難が殺到している状態を指します。
あくまでも経験上ですが、炎上対象は個人・法人アカウントを問わず、
- 立場や肩書(芸能人・政治家・企業の重役・専門家など)がある人物の問題表現・発言
- ジェンダーに関する批判的な内容
- 経済的格差に関する批判的な内容
- バイトテロや動画などモラル的に問題がある行動内容
といった投稿内容が炎上するケースが多いです。
実態はネット上での「袋叩き」に等しく、次々に炎上に「加担」するものが増えていく特徴があるとされています。
このようなネット炎上は年々増加傾向にあるとされています。総務省のHPでは以下のようなデータが掲載されていました。
出典総務省が株式会社エルテス公開データより作成した炎上発生件数推移
発生件数が2006年から10年で約24倍に増えていることが分かりますね。専門家によるとデータには反映されないだけで「炎上は1日に1回以上発生している」との言及もあります。
ネット炎上はなぜ発生するのか
ネット炎上が発生する大元の原因はネットユーザーの正義感といわれています。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
の山口真一氏によると(ネット炎上の)「動機は「正義感」に基づいている人が多い(70%程度)」※としており、その考えを裏付けることができます。
炎上加担者はほぼほぼ「正義感」に基づいていることがわかります。「愉快だから」といった動機ではありません。
自分は正しいと思って炎上に加担しているんですね・・・。とても怖いです。
また、同氏は併せて「ネット上では自分の意見と同じ
人が同じように批判しているため、正義感はより満たされ、過剰に。」※と補足しています。
ネット上に同様の意見を見つけると「やっぱり自分は間違っていない」と思ってしまうのでしょう。こうした感情から炎上がさらに拡大していく原因となると考えられます。
※引用「統計分析による炎上の実態解明」『「ネット世論」と「炎上」の実態』p.20
ネット炎上の問題点
ネット炎上は特定のテーマが取り沙汰されることで、今まで明らかではなかった問題や焦点が向けられなかった問題などが明らかになる良い効果があるとされています。
しかしながら、その実態はマイノリティ(少数)の考え方を淘汰している行為に等しく、時が経つと内容の批判から「個人への攻撃」に置き換えられることも多く問題視されています。
このようにネット炎上には問題があります。
ネット炎上問題:投稿内容の批判から人物批判、そして「誹謗中傷」に発展
このような炎上は初めのうちは以下のような投稿内容の批判であることが多いです。
- 「〇〇というテーマが盛り上がっているが、〇〇について自分は〇〇と思う」
- 「〇〇で炎上しているけど、そんなことをいったら〇〇(類似例)はどうなるんだ」
- 「炎上した〇〇さんは〇〇すべき」
いずれも返信機能や共有機能、あるいは匿名掲示板、まとめサイトなどの形式をとり、批判が展開・拡散されています。
これだけならある種「炎上者が反省すれば済む範囲内」ではありますが、問題はこの後、炎上者への人格批判や誹謗中傷に発展しはじめることにあります。
ネット炎上後しばらくすると、炎上者の人格や経歴など個人の価値を否定するような攻撃的な発言、誹謗中傷も目立ち始めます。
無論こういった発言はネット上に公開され、誰でも閲覧できるものである以上、刑事上の「名誉毀損罪」に該当し、民事でも炎上者に「不法行為による損害賠償」を請求できる権利が与えられます。
いくら「正義感」が動機とはいえど、投稿内容ではなく個々人の性格を攻撃の対象とするのは筋違いですし、違法性のある行為となっています。
ネット炎上問題:表現の「萎縮」問題
近年、「ネット炎上」が頻繁に発生するため、SNS上での「広告」が命である企業の間ではこうした炎上を懸念する動きが加速しています。企業向けの「炎上保険」「炎上監視システム」が登場するほどです。
もちろん個人の間でも同様に「あんな風に炎上したくない」という思いはあることでしょう。
こうした炎上への懸念は一部の専門家の間で「表現の萎縮」につながると考えられており、意図せずに「炎上を回避するためにあえて異なる表現を使用せざるを得なくなる」とされています。
このように、ネット炎上への恐怖は表現の萎縮にもつながる問題をはらんでいます。
ネット炎上問題:炎上者はアカウントの凍結(利用停止)や削除、投稿自粛に追い込まれる
会員制サイトで炎上した場合、大量の通報行為によりネット炎上者のアカウントが「凍結」されてしまう恐れもあります。
こうした会員制サイトのアカウントはネット上の「アバター」に等しく、現在ではアカウントを失うことは居場所を失うことを意味します。さらには過去に投稿した投稿も閲覧できなくなるなどの問題もあります。
凍結にならずとも、これ以上「このアカウントで投稿できない」とアカウントを消したり、投稿を自粛したりする方も少なくありません。
このように、ネット炎上によって炎上者がネット上で活動しにくくなるといった問題もあります。
ネット炎上への適切な対処と防ぐ方法
ネット炎上が発生した場合、意外ととりうる対処方法はシンプルであり、以下の3つがあげられています。
- 「謝罪投稿」
- 「無視」
- 「投稿経緯説明」「持論展開」
- 「投稿削除」
専門家や公的機関、炎上経験者、各種メディアの間で対処方法としてあげられている最も有効的な方法は「謝罪」であり、炎上発生後、早ければ早いほど良いとされています。
「無視」や「投稿経緯説明」「持論展開」、「投稿削除」は返って炎上が加速すると思いがちですが、炎上内容が賛否両論の場合、単なる「荒らし」行為の場合は有効とされています。
また、炎上を防ぐ方法としては、炎上しやすい政治、宗教、スポーツ、衛生問題、格差などといったテーマの投稿内容を避けるか、投稿内容に攻撃的な発言を含まないように表現を慎重に選ぶことです。
炎上しやすいテーマ(ネット上では「地雷」などと呼ばれます)を事前に把握しておくことが炎上対策への第一歩とされています。
まとめ
ネット炎上とは、ネット上にある特定ユーザーによる特定の投稿内容について、多くのユーザーがバッシングし、非難が殺到している状態のことでした。
このような炎上が発生する原因にはネットユーザーの正義感があげられていることや炎上者に対する様々な問題があることも分かりましたね。
今現在炎上している方は、事態の収拾させ、さらなる被害を防ぐためにも「謝罪」をすることが大切です。
今回紹介した内容を把握しておき、ネット炎上の実態が把握して「いざ」という場合に備えておきましょう。
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