ネット上の誹謗中傷は訴える事ができる!訴える為に知っておきたい必要最低限の知識

「誹謗中傷っていまいちわからない」
「誹謗中傷を訴えるにはどのような流れがあるのか知りたい」

ひょっとしたら、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

誹謗中傷を訴えるには法的な知識が必要で、告訴を諦めてしまうかもしれません。

 

今回の記事では、誹謗中傷の種類から誹謗中傷の対処方法までご紹介します。

必要最低限の知識を押さえて、法的な手続きを効率的に済ませましょう。

 

  1. 誹謗中傷のように法的に権利を侵害する場合は訴えることができる
    1. 名誉毀損について
    2. 名誉
    3. 毀損
    4. 名誉毀損が成立する場合
    5. 名誉毀損が成立しない事例
    6. 侮辱について
    7. 名誉毀損と侮辱罪の違い
    8. プライバシーの侵害について
    9. プライバシ―権
    10. 憲法13条の人格権
    11. 民法709条
    12. プライバシ-の侵害が成立する要件
    13. 忘れられる権利
    14. 信用毀損・業務妨害について
    15. 信用毀損・業務妨害に関する法律
    16. 信用毀損に関する法律
    17. 業務妨害
    18. 信用毀損と業務妨害の違い
    19. 信用毀損・業務妨害の事例
    20. 信用毀損罪
    21. 偽計業務妨害罪
    22. 威力業務妨害罪
    23. 脅迫について
    24. 脅迫罪の事例
  2. 誹謗中傷の被害に遭ったらするべきこと
    1. 証拠保存
    2. 削除依頼
    3. 投稿者に削除依頼を申請する
    4. 運営や管理人に削除依頼を申請する
    5. 削除に応じてもらえない場合は仮処分申し立て
    6. 仮処分とは
    7. 誹謗中傷を投稿した犯人を特定する方法
    8. 手順1:弁護士に相談する
    9. 手順2:誹謗中傷を投稿した投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを特定する
    10. 証拠について
    11. 手順3:プロバイダを特定する
    12. 手順4:プロバイダの記録を保存する
    13. 手順5:プロバイダに契約者(犯人)の氏名、住所を開示させる
  3. 慰謝料を請求したい場合
    1. 具体的な方法と手順
    2. 慰謝料の相場と慰謝料の請求にかかる費用
    3. 慰謝料の相場
    4. 慰謝料の請求にかかる費用
    5. 慰謝料の請求事例
  4. 刑事告訴をしたい場合
    1. 被害の報告
    2. 告訴状と親告罪
    3. 告訴状受理後の流れ
    4. 注意点
  5. まとめ

誹謗中傷のように法的に権利を侵害する場合は訴えることができる

 

誹謗中傷はある特定の人間の社会的評価を損なう行為を指します。

この誹謗中傷の内容によっては、法的に他人の権利を侵害すると立証できるため、損害賠償請求の対象として訴えることができます。

 

誹謗中傷は一つだけを指すものではなく、次のように複数の行為を指します。

  • 名誉毀損
  • 侮辱
  • プライバシーの侵害
  • 信用毀損・業務妨害
  • 脅迫

それぞれについて、詳しく説明していきます。

 

 

名誉毀損について

誹謗中傷のうち、名誉毀損とは、他人の名誉を傷つける行為です。

ここからは次の3つに分けて、名誉毀損を説明します。

  • 名誉
  • 毀損
  • 名誉毀損が成立する事例
  • 名誉毀損が成立しない事例

名誉も毀損も、どちらも難解な意味をもつと感じるかもしれません。

まずは2つの単語の意味を押さえましょう。

 

 

名誉

名誉は、才能や努力の結果やその人の価値を指します。

ただ、この名誉は法律では一概に名誉といっても3種類あるのです。

3つの名誉の意味と具体例をご紹介します。

 

意味 具体例
内部的名誉 人の真価 人間であること
外部的名誉 社会的な評価 他人からの評価、かっこいい、かわいいなど
名誉感情(主観的名誉) 自分が思う自分の価値 自尊心、プライド

「名誉感情」は、民事事件では不法行為として損害賠償の対象と認められることがあります。

 

「内部的名誉」は「私たちが人間である」という客観的な人間の価値を指します。

これは科学的にも揺るぎない価値であるため、他人に何と言われようと低下しません。

 

「外部的名誉」は他人による評価です。

他人の気が変われば、他人によってつくられた価値は簡単に低下してしまいます。

すなわち、名誉毀損とはこの「外部的名誉」を毀損することを指すのです。

 

 

毀損

毀損は傷つける、壊すなどの意味を持つ単語です。

つまり、名誉毀損は、他人の評価によってつくられる社会的評価を傷つけられることを指します。

 

 

名誉毀損が成立する場合

名誉毀損は、他人の評価によってつくられた社会的価値を傷つけられることです。

この名誉毀損は次の3つの要件をすべて満たすと成立します。

  • 不特定多数がみることのできる公然の場
  • 社会的評価を下げる言動
  • その言動が真実か偽りか確かめることができる表現(思想、地位など)

この3つは刑法第230条では名誉毀損罪について、次のように定めてられています。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以  下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法第230条 – Wikibooks

 

「公然」は、街中やインターネット掲示板などの不特定多数が見ることができる状況を指します。

「事実を摘示」とは、他人の名誉を損なうような具体的な事実を文章や口頭で暴き出すことです。

 

要するに、名誉毀損は具体的な事実を他人にわかるように伝えて社会的評価を低下させるということですね。

 

名誉毀損が成立した事例について、次の事例を紹介します。

傷害致死罪で実刑が確定した女性受刑者(48)が、フジテレビの報道で名誉を傷つけられたとして損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は14日付で、フジテレビの上告を退ける決定をした。20万円の支払いを命じた二審判決が確定した。

受刑者は平成23年8月、里子の女児=当時(3)=を暴行して死なせたとして逮捕された。

一審東京地裁判決は、受刑者が証拠隠滅を図ったとする報道の一部が事実でないと指摘。
二審東京高裁も支持した。

引用元:産経ニュース

 

テレビでこのような報道がされたことによって「社会的地位が低下した」として、女性受刑者がフジテレビを訴訟した事例です。

テレビの報道は誰でも観ることができる「公然」な状況に該当します。

 

事実や偽りを問わず「証拠隠滅を図った」という表現が「事実の摘示」にあたります。

この事例は、名誉毀損罪の成立の要件を満たしていることがわかるのです。

 

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名誉毀損が成立しない事例

名誉毀損が成立する事例がある一方で、名誉毀損が成立しない場合もあります。

その要件は以下の通りです。

  • 事実を示すことで社会のためになる「公共性」
  • 事実を示すことで社会の利益になることを目的とした「公益性」
  • 真実か偽りかわからない事実が真実と証明できる「真実性」

名誉毀損罪の要件を満たしていても、この3つの要件を立証できると、 名誉毀損罪は成立しません。

 

奈良県の老舗旅館に対して、ある新聞社が「水道水で沸かしたお湯を天然温泉と表示したとして、景品表示法違反で県が行政指導を行った」と報道し、老舗旅館側はそのような事実はないと主張し、偽りの記事で信用が損なわれたとして4,800万円の損害賠償を求めています。

しかし、記事は真実の部分があり、老舗旅館側はポンプが故障して天然温泉の提供ができないことを認識しているにもかかわらず、天然温泉の表示をやめなかったという行為に故意があったとして、天然温泉ではないことが真実である以上、その新聞社に温泉偽装であるとみなされても仕方ないと判断されています。

この記事は、公共の利益を図るもので、一部が真実と認められたため、名誉毀損が成立しないと判断された事例です。

このように、名誉毀損が成立しない事例も存在します。

 

 

侮辱について

誹謗中傷のうち、侮辱とは、罵倒や悪口などで相手を見下してはずかしめることです。

刑法では侮辱罪に問われます。

刑法第231条では、侮辱罪について、次のように定めています。

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する

引用:刑法第231条 – Wikibooks

 

「公然」とは、名誉毀損の場合と同様に、不特定多数が見ることができる状況のことですね。

「侮辱」は、他人の人格を否定する、蔑視する表現すべてを指します。

 

侮辱罪は、事実の真偽は関係なく、人の社会的評価を低下させる行為を行った場合が該当します。

 

次のような事例が該当します。

日本裁判所が27日、嫌韓デモなどを繰り返してきた「在日特権を許さない市民の会」(以下、在特会)に損害賠償命令を下した。

27日、NHKなど日本メディアによると、大阪地裁は在日朝鮮人のフリーライター、李信恵さん(45)が在特会と桜井誠前在特会会長を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、在特会側に77万円の支払いを命じた。

裁判所は、桜井氏が2013~14年にインターネット放送や街宣活動で「(李さんが)虚偽の事実を垂れ流している」とした発言が名誉毀損(きそん)にあたると認定した。
さらに「朝鮮人のババア」と名指ししたことも「社会通念上、許容される限度を超える侮辱行為」と認めた。

また、桜井氏の一部の発言について「在日朝鮮人に対する差別を増幅させる意図で行われた」として人種差別を認めたと各メディアは伝えた。

引用元:中央日報

 

以上の事例からわかるように、事実関係に関係なく、名指しでの侮辱が「侮辱行為」とみなされるケースがあります。

このように、侮辱として、罵倒や悪口などで相手を見下し、はずかしめることは、刑法において侮辱罪として罪に問われるのです。

 

 

名誉毀損と侮辱罪の違い

名誉毀損と侮辱罪の違いは、名誉毀損が事実を示して社会的評価を低下させる点に対して、侮辱罪は事実を示さずに社会的評価を低下させる点にあります。

例えば、SNSでAさんが「Bさんは仮病で会社を1ヶ月も休んで、毎日遊び歩いていた」という書き込みを行ったとします。

この書き込みをみて、Bさんは「仮病や遊び歩きという事実はなく、名誉を傷つけられた」として、自分の社会的評価を低下を訴えます。

 

このような場合は名誉棄損にあたり、Aさんは「仮病」「遊び歩き」という事実を示して社会的評価を低下させていると考えることができます。

 

SNSでAさんはBさんについて「仮病」「遊び歩き」という事実を示さずに、単に「Bはばかだ」という書き込みをした場合は、事実を示さずに侮辱を行っているとして、侮辱罪にあたります。

 

このように名誉毀損と侮辱罪の違いは、事実を示すか示さないかという点なのです。

 

 

プライバシーの侵害について

誹謗中傷の中でもプライバシーの侵害とは、誰にも知られていない私生活上の事実に関する情報を公開されることです。

要するに、他人に知られたくないことを勝手にバラされてしまうことですね。

  • プライバシー権
  • プライバシ-の侵害が成立する要件
  • 忘れられる権利

この3項目について、詳しく説明していきます。

 

 

プライバシ―権

実はプライバシー権という権利は法律に明記されていません。

ただし、プライバシー権を認める法的根拠は存在します。

  • 憲法13条の人格権
  • 民法709条

2つの法律について、説明していきます。

 

 

憲法13条の人格権

憲法第13条の条文は次の通りです。

すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

引用元:日本国憲法第13条 – Wikipedia

 

人格権は、憲法第13条の「幸福追求に対する国民の権利」から導かれる基本的人権で、個人の人格に関する利益を保護する権利と考えられています。

その人格に関する利益の一つに、プライバシ―の権利が保障されていると関係づけられているため、プライバシ―の権利の法的根拠は憲法第13条にあるといえるのです。

 

 

民法709条

民法709条の条文は、不法行為による損害賠償を次のように定めています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法第709条 – Wikibooks

不法行為とは、他人の権利や利益を違法に侵害することです。

プライバシー権は、憲法第13条の人格権で認められているため、プライバシー権を侵害するものは不法行為に該当し、損害賠償請求が可能になります。

 

このように、民法709条でもプライバシー権の保護を認めているのです。

 

 

プライバシ-の侵害が成立する要件

プライバシーの侵害は、他人に知られたくないことを勝手にバラされてしまうことです。

つまり、プライバシー権が法的に侵害されたケースを指します。

 

次の3つがプライバシー侵害の成立要件です。

  • 私生活の事実または、私生活上の事実なのでは?と受け取られる可能性がある情報
  • 公開されることで不快感や不安感を感じる情報
  • その人以外にはまだ知られていない未公表の情報

 

プライバシーの侵害に関する事例は以下の通りです。

家裁調査官の論文で取り上げられた男性が、プライバシーを侵害されたとして国に500万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁が家裁側の責任を認め、30万円の賠償を命じていたことが分かった。判決は3月22日付。
国は判決を不服として上告した。

判決によると、男性は当時未成年で、東京家裁の調査官が担当。
調査官は大阪家裁に異動後、男性の家庭環境などの内容を含む論文を専門誌で公表した。

一審・東京地裁は男性側の請求を棄却した。
しかし、高裁の白石史子裁判長は「(男性の)家庭環境を知る者にとっては、特定することが可能」として、プライバシーの侵害を認めた。
そのうえで、論文公表時の勤務先だった大阪家裁は公表の取りやめや内容の修正を指導する義務があったのに怠ったとして、国に賠償の責任があると結論づけた。

引用:朝日新聞デジタル

 

「家庭環境」として東京家庭裁判所の調査官が調べたからには、詳細に調査している可能性が高く、その調査からその人物の私生活を知ることは容易でしょう。

男性にとって「家庭環境」は、公開されることで不快感や不安感を感じる情報であるからこそ訴訟に至ったと考えられます。

 

また、「『(男性の)家庭環境を知る者にとっては、特定することが可能』」は、「家庭環境」に関する情報がまだ未公開であったことが前提にあります。

このように、「家庭環境」のような私生活情報の公表がプライバシー権を侵害すると認められるケースがあることがわかりますね。

 

 

忘れられる権利

忘れられる権利は、インターネット上のプライバシーを侵害する情報を削除できる権利です。

プライバシー権の新しい形とも呼ばれています。

 

ヨーロッパでは法律で明文化されていますが、日本ではまだ法律で認められていません。

ただし、忘れられる権利を認め、インターネットの検索結果自体の削除を裁判所が命令した事例があります。

 

男性は2011年に18歳未満の女性にわいせつな行為をしたとして、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」を違反し、罰金50万円の刑罰を受けています。
しかし、逮捕から3年以上経っても、Googleで名前と住所を検索すると記事が表示されるため、Googleに削除を依頼したのです。

2015年には、さいたま地裁が削除依頼の判決の中で「忘れられる権利」を認め、「更生を妨げられない利益を侵害している」としてGoogleに削除を命令しています。

Googleはその削除命令に異議を申し立てましたが、さいたま地裁の小林裁判長は、「現代社会では、ネットに情報が表示されると、情報を抹消し、社会から忘れられて、平穏な生活を送るのが極めて困難なことも考慮して、削除の是非を判断すべきだ」として、削除を妥当としています。

 

このように、日本国内でも過去に裁判所で忘れられる権利を認めた事例があるのです。

日本国内で、この忘れられる権利が今後どのように保護されていくのかについては慎重に考えていく必要があるでしょう。

 

 

信用毀損・業務妨害について

誹謗中傷の中には、ある特定の人物の信用を損なわせる信用毀損罪と業務妨害が存在します。

  • 信用毀損・業務妨害に関する法律
  • 信用毀損と業務妨害の違い
  • 信用毀損・業務妨害の事例

これらの項目について、詳しく説明します。

 

 

信用毀損・業務妨害に関する法律

信用毀損と業務妨害に分けて説明します。

 

信用毀損に関する法律

信用毀損とは、嘘の情報を流す、あるいは勘違いを誘発させることで、ある特定の人物の経済的な信用を損わせることです。

刑法では、信用毀損行為を行うと信用毀損罪に問われます。

 

刑法第233条では、信用毀損及び業務妨害として、次のように定めています。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法第233条 – Wikibooks

 

「虚偽の風説を流布」とは嘘の情報を不特定多数に広めることです。

「偽計」は勘違いを誘発させることを指します。

ゆえに、信用毀損とは、嘘の情報を流す、あるいは勘違いを誘発させることで、ある特定の人物の経済的な信用を損わせることを指すのです。

 

 

業務妨害

業務妨害には2種類あります。

  1. 嘘の情報を流す、あるいは勘違いを誘発させることで、ある特定の人物の業務を妨害する
  2. 人の自由意思を制圧することで、ある特定の人物の業務を妨害する

刑法では、1つ目を偽計業務妨害罪、2つ目を威力業務妨害罪と定めています。

 

偽計業務妨害は、さきほどの刑法第233条で定められており、威力業務妨害罪は次の刑法第234条で定められています。

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

引用元:刑法第234条 – Wikibooks

 

この「威力」とは、何らかの形をとって直接邪魔をすることです。

嫌がらせのメールや長時間電話で、業務を妨げられ、店員が自由意思が制圧されるような状況ですね。

前条とはさきほどの刑法第233条のことであり、威力を用いて業務を妨害した場合も業務妨害罪に問われます。

 

威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪の違いは、直接的か否かという点にあります。

威力業務妨害罪は、施設の一部を爆破する、スーパーの店内を荒らすなどの何らかの形をとって、直接的に業務を妨害することです。

 

偽計業務妨害罪は、言葉や情報を用いて間接的に業務を妨害する行為です。

このように、業務妨害罪といっても2種類の犯罪が存在します。

 

 

信用毀損と業務妨害の違い

信用毀損罪と業務妨害罪の違いは、保護されるべき利益です。

信用毀損罪は「ある特定の人物の信用」を保護されるべき利益としています。

 

それに対して、業務妨害罪は「ある特定の人物の業務」を保護されるべき利益としているのです。

信用毀損としてある特定の人物の経済的信用を損なうような行為をすれば、同時に業務を妨害する結果になるケースが多いです。

 

つまり、信用毀損と業務妨害は同時に罪に問われる可能性があります。

ここまでの内容はやや複雑なので以下の表で簡単に整理します。

 

犯罪 要件の概要 保護されるべき利益 事例
信用毀損 信用毀損罪 嘘の噂を逃すこと、勘違いを誘発させること 対象者の経済的な信用 ・あの店の食品は「産地偽装をしている」とネット上に書き込む
・あの店では「支払いをしてもらえない」と嘘を書き込む
業務妨害 偽計業務妨害罪 対象者の業務 ・ネット上で商業施設を目標とした無差別殺人予告を書き込む
威力業務妨害罪 人の自由意思を制圧すること ・業務に支障が出るほど長時間のクレーム電話を行う
・航空機にレーザー光を当てる

 

信用毀損と業務妨害には、このような違いがあるのです。

また、名誉毀損と信用毀損は紛らわしいかもしれません。

名誉毀損はも信用毀損も保護されるべき権利は社会的な評価ですが、信用毀損は経済的信用に限定しています。

 

さらに、信用毀損は嘘の噂を流す、勘違いを誘発させることで要件を満たしますが、犯行を行う場所は必ずしも名誉毀損のように公然である必要がありません。

つまり、信用毀損は犯行場所を選ばないということですね。

 

 

信用毀損・業務妨害の事例

信用毀損罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪の3つの事例を紹介します。

 

信用毀損罪

信用毀損罪についてはこちらの事例が挙がります。

転職を検討している人向けに、企業の口コミなどを記載しているインターネットサイト「転職会議」上の投稿で、自社や代表者の名誉や信用を毀損(きそん)されたとして、東京都中央区の広告企画・印刷会社の男性代表者が、転職会議を運営する「リブセンス」(品川区)を相手取り、プロバイダ責任制限法に基づき、投稿の削除や今後損害賠償を請求するために必要な投稿者情報の開示、120万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。

引用元:産経ニュース

 

代表者の信用は経済的な信用でありそれを口コミの掲載によって損なったため、信用毀損罪が成立したと考えられます。

 

 

偽計業務妨害罪

偽計業務妨害罪についてはこちらの事例が挙がります。

熊本県警は20日、熊本地震で熊本市動植物園からライオンが逃げ出したと、ツイッターを使ってデマを流して園の業務を妨げたとして、偽計業務妨害の疑いで神奈川県の会社員(20)を逮捕した。「間違いない。悪ふざけでやった」と容疑を認めているという。

引用元:産経WEST

このように、デマによって動物園の業務を妨害したため、偽計業務妨害が成立しています。

 

 

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪についてはこちらの事例が挙がります。

SNS(会員制交流サイト)上にアニメライブイベントを狙った爆破予告の書き込みをしたとして、埼玉県警所沢署は9日、威力業務妨害の疑いで、岡山県瀬戸内市に住む私立高校3年の少年(17)を逮捕した。
容疑を認めており、調べに対し「目立ちたかった」と供述している。

引用元: 産経ニュース

特定のアニメライブイベントの爆破予告という直接的な手段で、業務を妨害しているため、威力業務妨害罪が成立しています。

 

 

脅迫について

他人を脅すと脅迫罪が成立する可能性があります。
刑法第222条では、脅迫罪を次のように定めています。

  1.  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
  2. 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

引用元:脅迫罪 – Wikipedia

 

このように、脅迫とはある特定の人物あるいはその人物の親族に害を与える旨を伝えて脅すことです。
脅迫の対象は5つあります。

生命 「明日お前を殺す」「お前の命はない」など命を脅かす場合
身体 「痛い目に合わせるぞ」「ただでは済まさないぞ」など身体を傷つけると脅す場合
自由 「誘拐する」「監禁するぞ」など身体の自由を制限すると脅す場合
名誉 「不倫の事実を公表するぞ」「不正をばらす」など名誉を脅す場合(その事実が真実かどうかを問わない)
財産 「金を盗む」「家を燃やす」など

以上からわかるように、脅迫罪の成立には、これら5つを脅迫する告知が必要です。

告知の手段としては次のような手段が考えられます。

  • 発言
  • 手紙
  • メール
  • 電話
  • ネット上の書き込み

このような手段で告知して対象の人物を脅した場合、脅迫罪が成立するのです。

ただし、脅迫罪では、必ずしも相手を怖がらせる必要はありません。

 

つまり、脅迫の対象となる人物が、その脅迫を受けて怖がるか否かは関係なく、脅迫罪はさきほどの5つの条件のいずれかに害を及ぼそうとしている場合に成立するのです。

 

 

脅迫罪の事例

脅迫罪が成立する例として、次のような例があります。

「居場所教えてください。とっ捕まえて絞めたいので」――人気アイドルグループ「乃木坂46」の白石麻衣(25)をツイッターで脅していた25歳の男が警視庁五日市署に捕まった

引用元:日刊ゲンダイDIGITAL0

告知はSNSで行われ、脅迫の対象となったのは人気アイドルグループの女性の「身体」または「自由」です。

このように、メールや電話だけでなく、不特定多数が閲覧可能なネット上の発言でも脅迫罪に問われる可能性があります。

 

 

誹謗中傷の被害に遭ったらするべきこと

 

インターネットで誹謗中傷を受けたら、次の対処を行いましょう。

  • 証拠保存
  • 削除依頼
  • 削除に応じてもらえない場合は仮処分申し立て

この3つの項目について、詳しく説明していきます。

 

 

証拠保存

誹謗中傷にあったらまず一番最初に行うことは、パソコンまたはスマートフォンのスクリーンショット機能を利用して、誹謗中傷と思しき投稿内容を証拠として保存することです。

 

保存の際に、投稿日や投稿時間など、なるべく詳細な情報が記載されているものは証拠として効果的です。

投稿内容と一緒に投稿日時もスクリーンショットで保存しておきましょう。

 

 

削除依頼

削除依頼には2つのパターンがあります。

  • 投稿者に削除依頼を申請する
  • 運営や管理人に削除依頼を申請する

それぞれのパターンについて説明していきます。

 

 

投稿者に削除依頼を申請する

まずはSNSあるいは掲示板で、誹謗中傷を行った相手に対して、投稿の削除を求めましょう

ほぼすべてのSNSあるいは掲示板では、自分の投稿を削除できるしくみがあります。

 

誹謗中傷を含む投稿の削除を促す際には、以下の文言に加えて、相手に削除を促します。


「サイトの管理者に訴えることを検討している」
「警察や弁護士への相談を検討している」
「誹謗中傷のうち侮辱にあたる内容で訴えることもできる」


これらの文言を添えて、誹謗中傷投稿の削除を求めましょう。

 

 

運営や管理人に削除依頼を申請する

SNSあるいは掲示板の運営や管理人に対して、書き込みの削除依頼を申請します。

サイト内に削除依頼や問い合わせのフォームが設置されている場合は、そこから問い合わせて削除を依頼しましょう。

 

削除を依頼できるフォームがない場合は、「送信防止措置依頼書類」を記載し、運営や管理人宛で郵送します。

参考元:プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会

 

この書類を記載の際は、さきほど挙げた誹謗中傷行為の種類を選びます。

  • 名誉毀損
  • 侮辱
  • プライバシーの侵害
  • 信用毀損・業務妨害
  • 脅迫

このような行為から、侵害された権利を明確に示す必要があり、多少法的な知識が必要です。

 

そこで、今回の記事を参考にすることをおすすめします。

誹謗中傷投稿のどこが権利侵害に当たるのかを探しながら、書類を記入できるためです。

 

不安な場合は、「送信防止措置依頼書類」の作成について弁護士に相談しましょう。

書類の記入が完了したら、本人確認書類のコピーとスクリーンショットした誹謗中傷の証拠を添えて、運営や管理人宛で郵送します。

 

 

削除に応じてもらえない場合は仮処分申し立て

SNSあるいは掲示板の運営や管理人に対して、書き込みの削除依頼を申請しても、削除対応に応じてもらえない可能性があります。

削除対応に応じてもらえない場合は、弁護士と協力して裁判所に仮処分の申立てを行います。

 

 

仮処分とは

仮処分とは、裁判所に自分の持つ権利を保護してもらうことです。

つまり、名誉毀損やプライバシー権の侵害などの誹謗中傷から、法律が仮処分で権利を守ってくれます。

ゆえに、仮処分が認められれば、裁判で勝訴したときと同じ状態となり、削除が可能になるのです。

 

ただし、仮処分はあくまで暫定的な処置に過ぎません。

サイトの運営や管理人が仮処分をもってしても削除に応じない場合は、本訴を行う必要があります。

本訴に勝訴すれば、削除が可能な状態が続きますが、敗訴した場合は仮処分が無くなるため、削除はできなくなるのです。

 

この仮処分の手続きは法的な知識が必要とされ、弁護士に依頼するケースが多いです。

削除に応じてもらえない場合は仮処分申し立てを弁護士に依頼することをおすすめします。

 

 

誹謗中傷を投稿した犯人を特定する方法

次の5つの手順を踏むことで、誹謗中傷を投稿した犯人を特定できます。

  • 手順1:弁護士に相談する
  • 手順2:誹謗中傷を投稿した投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを特定する
  • 手順3:プロバイダを特定する
  • 手順4:プロバイダの記録を保存する
  • 手順5:プロバイダに契約者の氏名、住所を開示させる

手順を一つずつ確認していきます。

 

 

手順1:弁護士に相談する

まずは弁護士に対して、どのように手続きを進めていけば、開示が認められるか相談しましょう。

次の3つのポイントが重要です。

  • 誹謗中傷が自分のことを指していることがわかる内容が含まれている
  • 社会的評価を下げる事実が記載されている
  • 誹謗中傷のうちどの行為に該当するか明確である(名誉毀損/侮辱/プライバシーの侵害/信用毀損・業務妨害/脅迫)

この3つのポイントを押さえることで、開示請求が認められる見込みが高くなります。

ゆえに、これらのポイントを確認してから、弁護士に開示の見込みについて相談しましょう。

 

 

手順2:誹謗中傷を投稿した投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを特定する

ここからは、証拠を整理しながら、実際に投稿者を特定する手続きに入ります。

この手順2のゴールは、サイトの運営や管理人に投稿者が誹謗中傷の投稿をしたときのIPアドレスとタイムスタンプを開示させることです。

 

IPアドレスとタイムスタンプの意味については以下の通りになります。

  • IPアドレス:パソコンやスマートフォンを識別するための番号(例:123.456.7.8)
  • タイムスタンプ:投稿日時に関する記録

この2つがわかれば、誹謗中傷の投稿を行ったパソコンやスマートフォンを特定できるのです。

ただし、この2つの情報を知るためには、「発信者情報開示仮処分命令申立」という裁判所への手続きが必要になります。

 

この「発信者情報開示仮処分命令申立」は、裁判所がサイトの運営や管理人に対して、IPアドレスとタイムスタンプを開示するように命令させる申し立てのことです。

弁護士と相談して、この「発信者情報開示仮処分命令申立」を申し立てます。

 

 

証拠について

もう一度以下の証拠を整理しておきます。

  • 誹謗中傷が実名で自分のことを指しているか
  • 社会的評価を下げる内容は見当たるか(名誉毀損や侮辱など)
  • 誹謗中傷のどの犯罪に該当するか説明できるか

これらの点はもう一度確認しましょう。

 

証拠は一つだけとは限りません。

極力証拠になりそうなものは残しておきましょう。

証拠が正確であるほど、「発信者情報開示仮処分命令申立」の成功率が高くなります。

 

 

手順3:プロバイダを特定する

今度はIPアドレスとタイムスタンプをもとに、誹謗中傷の投稿を行った投稿者が投稿時に利用したプロバイダを特定します。

IPアドレスとタイムスタンプさえわかれば、以下のサイトでプロバイダを特定できます。

 

ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】

 

このようなサービスを利用して、プロバイダを特定できるのです。

 

プロバイダは、パソコンやスマートフォンからインターネットへの接続を担う会社のことです。

例えば、NTTやSoftbankなどの会社ですね。

誹謗中傷投稿の投稿者は、投稿時に必ずこのサービスを利用しています。

 

このプロバイダでは、誹謗中傷投稿の投稿者がプロバイダを契約したときに氏名と住所の情報を保管しています。

つまり、プロバイダが特定できれば、プロバイダに対して投稿者の氏名と住所の開示請求ができるのです。

 

 

手順4:プロバイダの記録を保存する

プロバイダを特定したら、プロバイダに記録を保持させて証拠を保存させます。

そのためには、裁判所で「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」の手続きを行う必要があります。

この手続きによって、プロバイダの会社は投稿者の特定に必要な氏名や住所など記録を消去できなくなるのです。

 

この「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」でプロバイダに記録の削除を禁止する理由は、プロバイダが3~6ヶ月の期間でIPアドレスやタイムスタンプの記録を削除してしまうためです。

 

IPアドレスやタイムスタンプが消えると、インターネットを利用したプロバイダ契約者がわからなくなり、氏名と住所が特定できません。

誹謗中傷の犯人を特定するためには、この「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」の手続きをして、プロバイダに記録を保持させる必要があるのです。

 

 

手順5:プロバイダに契約者(犯人)の氏名、住所を開示させる

プロバイダの記録を保存したら、プロバイダに対して訴訟して、契約者の氏名と住所の開示請求を行います。

この訴訟の手続きは「発信者情報開示請求訴訟」といいます。

 

この裁判で投稿が名誉毀損罪や侮辱罪、プライバシーの侵害などに該当すると判断されると、裁判所はプロバイダに対して、プロバイダ契約者の氏名と住所を開示する命令を出します。

このような手続きを経て、開示された犯人の氏名と住所をもとに、特定が可能となるのです。

 

 

慰謝料を請求したい場合

慰謝料を請求するにあたり、次の3つの項目を紹介します。

  • 具体的な方法と手順
  • 慰謝料の相場と慰謝料の請求にかかる費用
  • 慰謝料の請求事例

1つずつ説明していきます。

 

 

具体的な方法と手順

犯人を特定して、犯人に直接的に慰謝料を請求します。

さきほどの5つの手順で、誹謗中傷を投稿した犯人を特定します。

  • 手順1:弁護士に相談する
  • 手順2:誹謗中傷を投稿した投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを特定する
  • 手順3:プロバイダを特定する
  • 手順4:プロバイダの記録を保存する
  • 手順5:プロバイダに契約者の氏名、住所を開示させる

犯人を特定できたら、慰謝料の交渉をします。

この慰謝料の交渉は、弁護士に依頼する場合が多いです。

 

弁護士に依頼する理由は、慰謝料の手続きに法的な知識が必要になるためです。

ほかにも、弁護士の名前が書面などに記載されることによって、誹謗中傷投稿の投稿者が慰謝料の交渉に応じやすくなる傾向があるためでもあります。

 

お互いに慰謝料の金額に納得できるならば、損害賠償請求で投稿者を訴える必要はないでしょう。

投稿者が慰謝料の交渉に応じない場合、慰謝料の話がまとまらない場合は、損害賠償請求で投稿者を訴えることになります。

 

 

慰謝料の相場と慰謝料の請求にかかる費用

ここからは次の2つを紹介します。

  • 慰謝料の相場
  • 慰謝料の請求にかかる費用

それぞれ説明していきます。

 

 

慰謝料の相場

誹謗中傷の対象によって、慰謝料の相場が異なります。

 

誹謗中傷の対象が個人の場合、慰謝料の慰謝料の相場は10~50万円です。

誹謗中傷の対象が法人の事業主の場合、業務に支障が出ることが多く、個人の慰謝料よりも高額になる傾向があり、50万円から100万円となります。

また、個人のうち、誹謗中傷の対象が有名人や政治家の場合は、一般人よりも高額になる可能性が高く、50万円から100万円です。

 

ただし、本人が受けた被害によって金額が変わります。

ヌード写真を公開されたとして、プライバシーの侵害で慰謝料を訴えた例では、数百万円の支払いを命じた例があります。

ゆえに、弁護士と相談して、被害の程度とその程度に応じた妥当な慰謝料の額を相談することをおすすめします。

 

 

慰謝料の請求にかかる費用

犯人の特定から慰謝料の請求まで、弁護士に依頼するケースがほとんどです。

ゆえに、弁護士費用がかかります。

 

犯人の特定と裁判、そのほかの要素を考慮すると、費用総額は50万円~100万円です。

ただし、特定にかかる費用は、誹謗中傷投稿の投稿者に請求できるため、30万円~50万円を回収できる場合があります。

 

そのほか、弁護士の着手金がない場合、報酬金が低額になる場合があるため、弁護士を選ぶ際は着手金や報酬金の項目にも注意しましょう。

 

 

慰謝料の請求事例

慰謝料の請求事例として、次のような例が挙がります。

プロ野球の横浜DeNAベイスターズの井納翔一投手(31)の妻が、ネットの「嫁がブス」という書き込みに怒り、匿名の壁を突破して探し当てた20代の女性に、約200万円の慰謝料を請求した。
匿名に隠れて勝手なことを書いているネット投稿者には衝撃だ。

引用元:ライブドアニュース

このように、ネット上の発言でも、慰謝料の請求額が200万円を超える事例もあります。

有名人に対しての名誉毀損や侮辱といった誹謗中傷で慰謝料が請求される事例が多いです。

 

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刑事告訴をしたい場合

 

刑事告訴では、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 被害の報告
  • 告訴状と親告罪
  • 告訴状受理後の流れ

これらについて説明していきます。

 

 

被害の報告

誹謗中傷の刑事告訴は、警察を介して情報発信者の処罰を求めるものです。

まずは、次の2つのうち、どちらかの方法で警察に被害を報告します。

  • 被害届
  • 告訴状

被害届には、被害を受けたという事実のみ記載します。

警察は被害届を受理して、捜査を開始するか否か判断するのです。

その被害届の内容を判断して、逮捕が必要ならば、いよいよ警察が動くという流れになります。

 

ただし、この被害届は犯罪を受けたと申告するに過ぎず、犯人を告訴するものではありません。

告訴には、告訴状が必要です。

告訴状は、極力詳しく被害について説明して、告訴を前提に警察に捜査を行わせるものです。

 

 

告訴状と親告罪

誹謗中傷のうち、名誉毀損罪、侮辱罪、プライバシーの侵害については、親告罪です。

親告罪は、告訴が無ければ、犯人は訴えることができない犯罪を指します。

ゆえに、親告罪では、告訴状を提出しなければいけません。

 

告訴状を提出する際は、同時に証拠を提出します。

ただ、この証拠が十分に揃っていない場合、揃っているが有罪を立証できない証拠ばかりの場合などは、告訴状を受理しない可能性があります。

 

証拠とは、誹謗中傷投稿の内容のスクリーンショットや投稿日時などです。

もし不安であれば、弁護士に相談してサポートを受けましょう。

 

 

告訴状受理後の流れ

告訴状受理後の流れの例は、次の通りです。

  • 告訴状の受理
  • 捜査をして犯人を逮捕
  • 逮捕後は10日間拘留
  • 被疑者を起訴するか判断
  • 起訴されて、被告人が刑事裁判にかかり、有罪か無罪か審理
  • 有罪の場合は刑罰

このように、告訴を行うことで、最終的には被告人に刑罰を与えることが可能になります。

 

 

注意点

刑事告訴にあたり、注意点が2点あります。

  • 示談金
  • 時効

示談金が欲しい方は示談交渉をしなければいけません。

刑事裁判で被告人に慰謝料の請求を行うことはできないためです。

 

それでも金銭を請求したい場合は、示談を成立させて被告人の罪状を軽くします。

罪状を軽くした代わりに、示談金を請求しましょう。

 

また、時効について、刑事告訴可能な時効期間は3年です。

誹謗中傷の権利侵害として訴える場合は、誹謗中傷を含む投稿が行われた日時から3年間です。

時効が心配な場合は、刑事告訴が必要な場合は、発見から極力早期に告訴しましょう。

 

 

まとめ

今回取り上げた誹謗中傷行為は5種類あります。

  • 名誉毀損
  • 侮辱
  • プライバシーの侵害
  • 信用毀損・業務妨害
  • 脅迫

これらの誹謗中傷の行為に関する知識は、告訴を円滑に進めるために必要な知識でもあります。
きちんと押さえておきましょう。

インターネットで誹謗中傷を受けたら、次の対処で削除を行います。

誹謗中傷対策
この記事の監修者

インターネットの誹謗中傷対策、削除の専門家。5ちゃんねるを始めとする、各種書き込みの削除、下位表示させるプロ。特に企業案件を得意とし、ネガティブな口コミ、サジェストキーワードを常に監視、対策している。携わった案件は1,000以上。お困りの場合は、以下↓LINEからお気軽にお問い合わせください。

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