Google検索結果から情報を削除するには、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
自分(自社)のサイト・ページであれば、根本的な解決策としてサイトやページ自体を削除する方法、検索結果から除外する方法、緊急時の対応方法があります。
他人(他社)のサイト・ページの場合は非常に困難ですが、コンテンツ管理者への交渉、法的措置、削除後の申請など、段階的な方法で対応できます。
今回の記事では2つに場合分けして詳しく解説していきます。
Google検索結果から自分のサイト・自社サイトの記事を削除する方法
自分(自社)のサイトやページを検索結果から削除する方法は、大きく2パターンに分けられます。
- サイトやページ自体を削除する
- サイトやページ自体は残したまま検索結果に表示されないようにする
以下、それぞれについて具体的な方法を紹介します。
サイトやページ自体を削除する
根本的な解決策は、サイトやページ自体を削除することです。
サイトやページを削除
ウェブサイトの管理画面などを通じて、該当するHTMLファイルをサーバーから直接削除します。
この操作は、情報をインターネット上から完全に消去するため、バックアップが残っていない限り復元は困難です。ファイルを削除する前にバックアップをとるなど、慎重な対応を心がけましょう。
sitemap.xmlの再送信
サイトやページ自体を削除したとしても、ただちに検索結果に表示されなくなるわけではありません。検索結果を表示するための情報源となるインデックスが更新されるまでは、そのサイトやページが存在するものとして扱われるからです。以下、詳しく説明します。
Googleなどの検索エンジンは、ウェブ全体を巡回して情報を集め、その情報を元に検索結果を生成しています。ウェブの巡回は、「クローラー」と呼ばれる自動プログラムによって行われます。クローラーは定期的にウェブサイトを訪れ、ページの内容を読み取って検索エンジンのデータベース(インデックス)を更新しますが、この更新プロセスには時間がかかります。
サイトやページを削除したとしても、クローラーがその変更を検出し、インデックスが更新されるまでの間、検索結果には古い情報が表示され続けることになるのです。
インデックスの更新までのタイムラグを解消するためには、手動でインデックスの再申請を行う必要があります。そのために行うのがsitemap.xmlの再送信です。
sitemap.xmlは、ウェブサイトの内容や構造を検索エンジンに伝えるXMLファイルです。ウェブサイトの階層構造やページ間の関係を示し、検索エンジンがサイトの全体像を理解するのに役立ちます。
ページを削除したら、sitemap.xmlファイルを更新した上で、サーチコンソールを通じて再送信します。これにより、検索エンジンはサイトの最新の状態を把握し、削除したページをインデックスから外すことができるのです。
サイトやページ自体は残したまま検索結果から除外する
サイトやページ自体は残しておきたいけど、検索結果には表示させたくない、一般公開はしたくないなどの場合、以下の方法が役に立つでしょう。
noindexタグの設置
noindexタグは、検索エンジンのクローラーに対して、特定のウェブページを検索結果に表示しないように指示するメタタグです。
noindexタグを使用するには、以下のメタタグをページのHTML<head>セクションに追加します。
<meta name=”robots” content=”noindex”>
このメタタグは、全ての検索エンジンのクローラーに対してページをインデックスに追加しないよう指示します。特定のクローラーにのみ指示を出したい場合は、robotsの代わりに特定のユーザーエージェント名を使用します。例えばGoogleのクローラーに対してのみ指示する場合には、
<meta name=”googlebot” content=”noindex”>
となります。
sitemap.xmlの再送信
ページにnoindexタグを追加しても、インデックスが更新されるまでは変更が反映されないため、検索結果に表示されてしまいます。また、インデックスの更新はクローラーの巡回を待たなければならないため時間がかかります。
そこで、ページ削除の場合と同様に、sitemap.xmlファイルを更新した上で、サーチコンソールを通じて再送信します。
noindexタグの効果で、クローラーがサイトを巡回してもインデックスに追加されることがなくなり、サイトやページを残したまま検索結果から除外できます。
緊急時はサーチコンソールの削除ツールを利用
サイトやページを検索結果から削除する緊急の必要がある場合には、サーチコンソールの「削除ツール」を利用することで、サイト上のURLを一時的にブロックすることができます。
この方法により、特定のURLが約6か月間検索結果に表示されなくなります。リクエストの送信から非表示までの時間はおおむね1日以内です。
削除ツールの利用にあたっては、以下の点に注意が必要です。
- 削除ツールは対象のページの管理権者以外は使用できません
- 削除ツールは一時的な措置にすぎないため、ページ削除やnoindexタグの設置を別途行う必要があります
- Google以外の検索エンジンの検索結果には反映されません
削除ツールの使い方は以下の通りです。
- サーチコンソールのプロパティに、所有しているサイトやページのURLを登録
- プロパティから特定のURLを指定
- 削除ツールを開く
- [一時的な削除] タブを選択する
- [新しいリクエスト] をクリックする
- [URL を一時的に削除する] を選択する
Google検索結果から他人のサイト・他社サイトの記事を削除する方法
自分(自社)のサイトやページの場合とは異なり、他人(他社)のサイトやページを検索結果から削除するのは非常に困難です。
ステップ1:コンテンツの管理者・投稿者に連絡して削除を交渉
まずは、問題のコンテンツを掲載しているウェブサイトの管理者や投稿者に直接連絡し、コンテンツの削除を交渉することが考えられます。サイトの問い合わせフォームやSNSのDMなどを利用するとよいでしょう。
もっとも、コンテンツを削除するかどうかは管理者・投稿者の自由です。他人から削除を求められたとしても、管理者・投稿者が応じる義務は基本的にありません。場合によっては火に油を注ぐ結果となり、より大きなトラブルに発展するかもしれません。
削除を交渉する際には、なぜそのコンテンツが問題となるのか、丁寧かつ明確に理由を説明することが重要です。また、感情的・高圧的な物言いにならないよう、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
ステップ2: 相手が交渉に応じない場合、法的に削除を要請
コンテンツの削除交渉に相手が応じない場合には、法的な手続きを通じて削除を要請することが考えられます。
任意の削除依頼
まずは、強制ではなく相手方の任意の協力を求める形で削除を依頼します。ただしそれだとステップ1と変わらないため、弁護士に相談し、弁護士から依頼してもらうとよいでしょう。
一般人からの要請と弁護士からの要請とでは、相手に与えるプレッシャーが異なります。法的措置をとる可能性があることを弁護士から告知してもらえば、より現実味のある話として認識されやすいでしょう。その結果、削除に応じてもらえる可能性が高まります。
ほかにも、弁護士から削除依頼をしてもらうことで、相手とのトラブルに発展するリスクを回避・軽減できたり、実際に法的措置をとる場合にも弁護士が代理人となってくれたりといったメリットがあります。
送信防止措置依頼
送信防止措置とは、インターネット接続サービス提供事業者(プロバイダ)が特定の情報の送信を防止する措置をいいます(プロバイダ責任制限法3条2項2号)。プロバイダの例としては、OCN、BIGLOBE、So-net、ぷらら、eo光などが挙げられます。
コンテンツの管理者・投稿者が動いてくれない場合でも、プロバイダに情報の送信を止めてもらうことで、問題となるコンテンツを表示させないようにすることができるのです。
送信防止措置は、インターネット上で自己の権利を侵害されたとする者の申出に基づいてなされます。申出の際には、権利を侵害する情報を特定し、その情報がどのような権利をどのような理由で侵害しているのかを示す必要があります。
権利侵害の主張には法的根拠も必要となるでしょうから、専門家(弁護士)の力を借りて行うのが望ましいでしょう。
削除の仮処分
より強力な手続きとして、裁判所に削除の仮処分命令を発してもらうことが考えられます。仮処分とは、正式裁判の前に、裁判に勝訴したときと同様の状態を確保することができる手続きをいいます。
通常の民事訴訟よりも手続きが簡易迅速なため、削除請求のように早期の解決が求められるケースには仮処分が適しています。しかも、削除の仮処分命令が出されたとなれば、削除の必要性が裁判所という国家機関にまで認められたことになりますから、ほとんどのケースで削除に応じてもらうことができます。
簡易迅速な手続きとはいえ、裁判所が関係するため、任意の削除依頼や送信防止措置依頼よりは時間や費用がかかることが考えられます。前2つの手段では効果が見込めない場合の最終手段として想定しておくのがよいでしょう。
ステップ3: 削除されたら「古いコンテンツの更新ツール」で申請
前述した通り、サイトやページが削除されても、クローラーが巡回し、インデックスが更新されるまでの間、検索結果には古い情報が表示され続けます。
自分(自社)のサイトやページであればsitemap.xmlの再送信という方法で解決できますが、他人(他社)のサイトやページにはこの方法は使えません。そこで登場するのが「古いコンテンツの更新ツール」で申請するという方法です。
古いコンテンツの更新ツールは、サイトやページの管理権者でない者が、すでに存在しないサイトやページの検索結果を更新するようGoogleにリクエストするためのツールです。
sitemap.xmlや「削除ツール」とは異なり、管理権者でない者でも使えるというのが大きな特徴です。
「すでに存在しない」ことが前提なので、サイトやページが削除された後のステップとなります。あるいは、サイトやページの内容が大幅に変更されている場合にも、元のサイトやページが存在しないのとほぼ同じなので、ツールを使用できます。
古いコンテンツの更新ツールの使い方は以下の通りです。
- Google「Google 検索で古いコンテンツの更新をリクエストする」にアクセスする
- [新しいリクエスト]を選択する
- 古いコンテンツの削除ツールを使用する理由を回答 ※「変更したウェブページに関する Google の古い検索結果を更新するため」を選択
- ページURLを入力し送信
「法的な理由でコンテンツを報告する」という方法も
違法の可能性があるコンテンツについては、Googleに直接「法的な理由でコンテンツを報告する」こともできます。具体的には、
- 個人情報・プライバシーの侵害
- 名誉毀損・侮辱
- 著作権侵害
などが報告の対象として考えられます。
報告に際しては、
- 権利侵害の事実を示す客観的な証拠(URLやスクリーンショットなど)
- 法律上の根拠(適用される法律やその条文)
を明確にするのがポイントです。
報告は、以下のURLから行うことができます。
Google「Google 検索で古いコンテンツの更新をリクエストする」
Google は、報告を受けたコンテンツについて審査の上、コンテンツへのアクセスのブロック、制限、削除などの措置を検討します。
ただし、以下の2点には注意が必要です。
- 最終的にはGoogleが対応を判断するため、必ずしも措置を講じてくれるとは限りません
- コンテンツの審査から措置の検討まで、おおむね1週間以上はかかることが想定されますす
コメント