サジェスト汚染とは、Google等の検索エンジンに検索語句を入力した際に、ネガティブな関連ワードが表示される現象です。
放置すれば企業や個人のイメージを悪化させ、風評被害や経済的損失に繋がる可能性があります。
対策方法としては、Googleへの削除申請、コンテンツ作成者に削除依頼、弁護士への相談、サジェスト汚染対策業者への依頼などがあります。
放置すると情報が拡散されてしまい被害が拡大します。早めに適切な対策を講じて、イメージを守りましょう。この記事ではサジェスト汚染の対策について詳しく解説していきます。
サジェスト汚染とは
サジェスト汚染とは、検索エンジンで特定のキーワードを入力した時に、関連キーワードとして表示される「サジェスト」にネガティブな印象を与えるワードが表示されてしまう現象をいいます。
例えば、検索窓に有名人の名前を入力すると
- ○○ 脱税
- ○○ 詐欺
- ○○ 逮捕
などのワードが自動的に表示されることがあります。
企業の場合だと
- ×× ブラック
- ×× パワハラ
- ×× 過労死
などのワードが表示されることも。このような現象がサジェスト汚染です。
サジェストが表示される仕組み
検索エンジンは、ユーザーが入力したキーワードに基づき、関連性が高い、あるいはユーザーのニーズに合うと予測されるキーワードを表示します。そのアルゴリズムは複雑で、さまざまな要素が考慮されています。例えば以下の要素です。
- ユーザー自身の検索履歴
- ユーザーの属性(地域、年齢、性別など)
- トレンド(多くの人が注目・関心を集めるトピック)
- 総検索回数が多いキーワード
サジェスト汚染はなぜ起こる?
サジェスト汚染が起こる原因は、大きく以下の2点です。
過去に多くの人がネガティブなワードと一緒に検索していた
1つ目は、単純にネガティブなワードと一緒に検索する人が多いパターンです。このパターンはさらに2通りに分かれます。
- ネガティブな事件やニュースなどを理由に、そのキーワードに対してネガティブな印象を抱く人が自然と多くなった
- そのキーワードに対して特にネガティブな印象を抱いていない人が、ネガティブなワードのサジェストを見て興味本位で検索した
2つ目のように、悪意やネガティブイメージがなくともネガティブなワードと一緒に検索されてしまう可能性は十分にあります。人はネガティブな情報に反応しやすいのです。
検索する人が増えれば、検索アルゴリズムの考慮要素の1つである「総検索回数」が増加します。総検索回数が増加すると、そのキーワードに注目が集まっていると検索エンジンに判断され、サジェストに表示される可能性が高まるといえます。
誰かが悪意を持ってサジェスト汚染を引き起こしている
2つ目は、特定の人物や企業に悪意を抱く者が、イメージダウンを目的として、意図的にサジェスト汚染を引き起こしているパターンです。
- 記事やブログなどで、キーワードについてのネガティブなコンテンツを投稿する
- 掲示板やSNSで、キーワードについてネガティブな話題を書き込んだり、ネガティブワードと関連付けて発信したりする
このような行為がサジェスト汚染を誘発させます。
また、自らあるいはグループでネガティブワードでの検索を繰り返すという手口も考えられます。ツールを使用し自動化している可能性もあるでしょう。
このように、検索アルゴリズムを悪用することで、サジェストはある程度操作できてしまうのです。
サジェスト汚染を放置するリスク
サジェスト汚染によってネガティブなワードが表示されると、そのキーワードに関係する人物や企業のイメージを悪化させます。サジェスト汚染を放置すると、知らないうちに悪いイメージがどんどん広がっていき、以下のような風評被害をもたらすおそれがあります。
個人の場合
個人の場合には、人間関係の悪化のみならず、就職や結婚といったライフイベントにも悪影響が及ぶなど、人生に関わるリスクも懸念されます。
友人や知人から避けられる
サジェスト汚染によりネガティブなイメージが広がると、友人や知人からの評価も下がるおそれがあります。
- 「そんなことをする人なんだ」と人間性を疑われる
- 友人・知り合いであることで自分の評価も下がると思われる
- 自分も何かよからぬことに巻き込まれるのではないかと不安に思われる
などの理由により、親しかった人から距離を置かれてしまうかもしれません。
誹謗中傷や嫌がらせを受ける
サジェスト汚染の影響は、インターネットを通じて世界に広がります。そうすると、身近な人だけでなく不特定多数の一般人からの評価も下がることになりえます。ネット掲示板やSNSで、どこの誰かもわからない人から悪口を書かれる可能性もあるのです。よりひどい場合には住所や職場などを特定され、現実に嫌がらせを受けるかもしれません。
近年、ネットいじめ問題は深刻化しており、被害者が自殺に追い込まれるケースもあります。不特定多数の人達から誹謗中傷や嫌がらせを受けることのストレスは計り知れません。
就職や結婚などに支障が出る
近年、企業が採用活動をするにあたり、求職者の素行・言動・人格に問題がないかを確認するために、インターネット上の情報(SNSなど)をチェックすることも珍しくありません。サジェスト汚染によりネガティブな情報が表示されれば、企業が採用を見送る可能性が大きく高まることになります。
結婚は、相手だけでなく相手の家族とも親族関係になることを意味します。サジェスト汚染によりネガティブなイメージが世間に広まってしまうと、相手が結婚をためらう可能性もありますし、相手がよくても相手の家族が結婚に反対するかもしれません。
サジェスト汚染の影響により、近所でも変なうわさを立てられたり、白い目で見られたりする可能性があります。そうなると、その場所で暮らし続けるには肩身が狭くなり、転居を考える必要が出てくるかもしれません。
法人(企業)の場合
法人(企業)の場合には、ブランドイメージの低下や社会的信用の喪失などによる経済的損失、人材の流出や人材確保の困難など、その事業活動に多大な悪影響が及ぶことが懸念されます。
顧客が離れて売上が減少する
競合が数多くいる中から自社の商品・サービスを選んでもらうためには、ブランドイメージはとても重要です。サジェスト汚染により重要なブランドイメージに傷がつくと、顧客がその企業の商品やサービスを使うのをためらう可能性が高まります。また、ブランドイメージが悪ければ、新規の顧客を獲得するのも難しくなるでしょう。そうなると、売上の減少は避けられません。
株価の下落などにより資金調達が困難に
ブランドイメージの低下は、株主や投資家からの信用にも影響します。株式市場での評価が下がることで、株価は下落し、投資家も投資をためらうでしょう。そうなると、新規事業などで多額の資金が必要な際などにも、資金の調達が難しくなります。
人材の確保が難しくなる
企業のイメージが悪くなると、そこで働く人たちは、イメージの悪い企業の従業員であることに嫌気がさし、モチベーションが下がるかもしれません。 そうでなくても、業績が悪化した企業で働き続けることは、誰にとっても将来への不安につながるものです。 そうなると、離職率の増加が懸念されます。
イメージの悪い企業、業績の悪い企業で働きたくない。このように考えるのは従業員だけではありません。求職者も同じです。 求職者が、自分が勤めるかもしれない企業について調べるのは自然なことです。その際にネガティブな情報が見つかれば、求職者の足が遠のく可能性は高まるでしょう。
総じて、人材難に苦しむ可能性が想定されます。
3.サジェスト汚染の対策
サジェスト汚染は、被害が拡大しないうちに早急に対策を打つ必要があります。以下、代表的な対策方法を4つ紹介します。
Googleに削除申請
Googleなどの検索エンジンは検索アルゴリズムを管理しているため、サジェスト汚染に対する直接的な対応が可能です。
Googleへの削除申請には以下の2通りの方法があります。
不適切な検索候補の報告
PCでGoogleの検索窓にキーワードを入力すると、サジェスト一覧が表示されるとともに、右下に小さく「不適切な検索候補の報告」という項目が表示されます。ここをクリックして、問題のサジェストについてフィードバックを送信するだけです。
スマートフォン用のGoogleのページでは「不適切な検索候補の報告」は表示されません。スマートフォンからの場合は「デスクトップ用の表示に切り替える」ことで「不適切な検索候補の報告」を行うことができます。
デスクトップ用の表示に切り替える方法は、iPhoneの場合
- URLボックスの左にある「ぁあ」をタップ
- デスクトップ用Webサイトを表示
という手順となります。
法的理由による削除申請
ネガティブなコンテンツが法的な権利利益の侵害に至っている場合には、「法的理由によるレポート」の形でGoogleに報告することもできます。具体的には、名誉毀損や侮辱として、被害者の社会的評価や名誉感情を侵害している場合などです。 Googleは、不適切なコンテンツに対し厳格に対応する姿勢を見せています。当該コンテンツが法的に問題のあるものと判断されれば、Googleはアクセス制限や削除などの措置を講じることもあります。
「法的理由によるレポート」は、以下のURLから作成することができます。https://support.google.com/legal/answer/3110420?hl=ja」
注意点
いずれの方法をとったとしても、最終的にはGoogleが対応を判断します。削除申請が必ずしも通るとは限らないことに注意が必要です。
また、申請が通ったとしても対応にはある程度時間がかかることが想定されます。最低でも1週間以上はかかることを見込んでおきましょう。
(2) コンテンツ作成者に連絡し削除申請
ネガティブなコンテンツが特定のサイトに掲載されている場合は、サイト運営者やコンテンツ作成者に直接連絡し、削除を依頼することが考えられます。連絡方法としては、サイトの問い合わせフォームやSNSのDMなどが利用できるでしょう。
依頼に際しては、
- 感情的な表現は控える
- 事実を淡々と述べる(どのような被害が生じているかなど)
- 依頼やお願いなどの形で伝える(命令や義務付けにならないように)
- 丁寧な言葉遣いを心掛ける
などの点に注意しましょう。
あくまで私人間のやり取りなので強制力はなく、依頼やお願いの形にならざるをえません。作成者に悪意がある場合はもちろん、悪意がない場合でも削除に応じてくれるとは限らないことは理解しておきましょう。
(3) 弁護士に相談し削除要請
コンテンツ作成者への削除依頼については、弁護士に相談して手続きを進めてもらうのもひとつの方法です。弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 発信者情報開示請求によりコンテンツ作成者を特定することができる
- 弁護士に連絡や交渉をしてもらうことで、相手にプレッシャーを与えることができる
- 訴訟などの法的措置が必要な場合にも代理人として動いてくれる
ネガティブなコンテンツは、場合によっては名誉毀損や侮辱に当たり、民事責任や刑事責任を問える可能性があります。法的措置の検討も視野に入れていることを示せば、削除に応じてくれる可能性が高まるでしょう。
弁護士に依頼するのであれば、インターネット問題に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。発信者情報開示請求やコンテンツ削除申請などの実績がある弁護士に依頼すれば、対策がスムーズに進むでしょう。
ただし、弁護士は心強い反面、費用も決して安くはありません。相談料(30分で5,000円以上が相場です)に始まり、着手金や成功報酬など、手続きが進むほど費用も積み上がっていきます。
(4) サジェスト汚染の対策業者に依頼
サジェスト汚染対策などを専門に扱う業者に依頼するという方法もあります。専門業者だからこその豊富な経験と実績、ノウハウの蓄積などが魅力です。
サジェスト汚染対策業者は、以下のような対策を行っています。
- サジェスト汚染(ネガティブキーワード)対策
- 逆SEO対策
- 風評の監視
SEOとは、Search Engine Optimizationの頭文字をとったもので、「検索エンジン最適化」という意味です。
SEO対策といえば、通常、Webページを検索上位に表示させることを目的とします。
逆SEO対策は、ネガティブなコンテンツを検索上位に表示させないよう、順位を押し下げるための対策です。
キーワードに関するポジティブかつ高品質なコンテンツを発信し、上位表示させます。そうすることで、ネガティブなコンテンツの順位は下がり、ユーザーの目に触れにくくなります。
ポジティブな話題が増えればイメージアップにつながります。加えて、ポジティブなワードと一緒に検索される回数も増え、サジェスト汚染対策にもなるというわけです。
対策業者の料金の相場はおおむね3万円〜10万円程度です。対策内容によっても変わりますし、料金体系も単発のものや月額制などさまざまです。
依頼を検討する際には、複数の業者に相談し、相見積もりを取るとよいでしょう。相談・見積りは無料の業者も多いです。
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